遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

ゾーヤー・アクタル監督『人生は二度とない』(2011年)

2024-06-01 14:31:47 | 映画を見てきた

2024/5/30

・新文芸座のオールナイト上映の一本目。

・開演時間になるとインド映画の配給担当スタッフのかたが出てきてあいさつ。拍手が起きる。

・いかにも映画好きが集っている雰囲気。

・勝手に想像していた、たまたま宿が取れなくて仕方なくここで一晩過ごす、みたいな人は見られなかった。

・確かにただ寝るだけならネカフェのほうが安い。

・結婚を間近に控えた男性が、親友二人とともに、男同士、独身最後の旅行を楽しむ話。

・旅行先はスペイン。旅行先の体験や出会いを通じて、少しずつ三人の過去のわだかまりや、現状の困難さと向き合えるようになっていく。

・少なくとも結婚、長期の海外旅行ができる程度に裕福な三人なので、多少ひどい目にあっても生々しくならない。いい意味で他人事として見られる。

・スカイダイビングのシーンが長くてハラハラした。もっと速くパラシュートを開いてほしかった。

・牛追祭りで荒れ狂う牛にエキストラ的な人が引かれていた。スタントマンなんだろうか。どういう訓練をしたらそんなことができるのか、実際無事だったのか、謎。

・三人ともインド映画特有の鍛え上げられたすごい肉体をしているし、ダンスシーンもしっかり盛り上げている。

・俳優が踊れるというのは大きな武器になる。

・リティクの役は仕事人間。金融ブローカー(wiki参照)で40歳までに貯金を作って引退しようとしている。

・計画に固執しすぎて、過去恋人にこっぴどいフラれ方をしていたりする。

・そんな彼も、旅先で出会った美女とスキューバダイビングをすることで、少しずつ変化していく。

・そのあとの出来事もしっかり時間を使って丁寧に描かれているので、客席から見てインパクトのある出来事はそんなにないのに、見た後の幸福感が強い。

・バチェラーパーティーと言えば「ハングオーバー」シリーズだけど、あんな突拍子もないことが起きなくても立派な作品になりうるんだとわかる。

・少しずつ三人が解放されていく様子を通して、旅行というものの本来の意義らしきものを感じる。

・この作品を旅先で見ている自分はとても運がいい。

・エピローグの過不足の無い描写が美しかった。

(5/24 新文芸坐)

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「早稲田大学演劇博物館」

2024-05-30 20:43:24 | 今月のソロ活

2024/5/24

・早稲田大学自体に行くのも初めて。

・演劇博物館では、毎週金曜13時からボランティアの方のガイドを受けられるということで行ってみる。

・HPを見ても情報量が多すぎるので、詳しい人に聞いたほうが早いなと思った。

・いかにも大学らしい直方体の建物の並びに、あきらかに異質な西洋風の建物がある。

・シェイクスピア作品が多く上演されたイギリスのフォーチュン座を模して作られた建物。演劇の舞台としても使えるそうだ。

・建物の近くに坪内逍遥像。右手の色が剥げている。握手をすると早稲田に縁ができるというゲン担ぎがある。受験生ではないが、とりあえず握手しておく。

・受付でガイド希望の旨を伝え、ご年配の女性に対応していただく。ガイドさんと一対一で館内をまわる。

・長期休暇明けの仕事が怖いので、今回の旅行では人と話せる機会があれば積極的に話す方針。

・ガイドさんのお住まいが某有名劇場の建物内だという話や、宝塚に最近ミソが付いた話、唐十郎の話など、演劇に関する専門知識というより、観劇先輩と世間話をしているような感じだった。これはこれで楽しい。

・そのスタッフさんの専門は古典芸能のようで、貴重な資料もあったのにうまくリアクションが取れない。

・越路吹雪の衣裳展が開かれていた。イヴ・サンローランに頼んだという衣装も並んでいる。

・コンサート用の衣装もあって、調和重視の舞台衣裳と違い、威圧というか、場を魅了するための衣装という感じ。シンプルでも、しっかりかっこいい。

・コンサートの映像もあったけど、すでに全体の半分くらい終わっていた。再訪時に見ることにする。

・越路吹雪とマネージャーの岩谷時子の関係がおもしろく、「二人芝居作られたら見たいです」と言ったら「もうやってる」と言われる。

・後で調べると二人がメインの作品を見つけたけど、二人芝居は見つからなかった。探し方が甘いのかな。

・坪内逍遥が講義をしている様子もビデオに残っている。

・まさに口角泡を飛ばす、熱意にあふれた語り口で、役者や政治家だったとしても大成しただろうなと思う。

・ガイドは1時間半くらい。自分でも足が痛くなるほどだったのに、付き合っていただいて感謝。

※時間がいくらあっても足りない→早稲田大学文化資源データベース

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国立映画アーカイブ「NFAJコレクションで見る日本映画の歴史」

2024-05-29 09:21:51 | 今月のソロ活

2024/5/28

・映画に関する知識は中の下くらいなので33tabというアプリでライムスターの宇多丸さんの音声ガイドが聴く。自分にとってのモグタン的な存在。

・しかし、説明文とアプリの解説が重複していたり、聞きながら文字が読めなかったり、音声ガイドと実際の展示が一致しにくかったり、うまく使いこなせない。

・展示を見る前にガイドを聞いたほうが良かったのかも。

・映画の発明は1895年頃。アメリカ系(エジソン)とフランス系(リュミエール兄弟)がある。

・スクリーンで観客に見せる方式だったリュミエール兄弟が先と言われることが多い。

・映画以前の日本最古の記録映像から見られる。水車を踏んで田んぼに水を送る様子や、何かの踊り。街の往来と犬。

・映像は想像よりはきれいで、加工された映像作品ではなくて、当時の生活がそのまま映っていることに興奮する。

・1912年の「日本南極探検」の映像。おそらくコウテイペンギンと戯れる調査隊の映像。子供向けアニメのような動きでかわいい。

・映像資料から舞台表現の保存と上映、映像作品へ移行していく流れが分かりやすい。

・映像なのに男性が女性を演じていたらしい。

・日本映画黎明期のスター、尾上松之助の紹介。会場に等身大風のパネルもあったけど、頭が大きい。さぞ舞台映えしただろうと想像する。

・同じく日本映画黎明期の要人、牧野省三の目つきが怖い。完全に悪役の目つき。

・サイレントからトーキーの過渡期に隆盛した活弁士のコーナーもある。

・活弁士は日本独自の文化らしい。似たようなものなら他にもありそうだけど、こんな発展の仕方をしているところはたしかになさそう。

・相撲の番付表風に、活弁士のランクが一覧表になっていて、当時の活弁士がいかに人気があったのかがうかがえる。危険人物欄や死亡欄もある。

・戦時のプロパガンダとしてのゆるいマンガの展示もあった。

・やっていることはただの検閲や統制なのに、映画法は映画の慈母役という言葉とともに、擬人化された映写機の子供と世話する母親(映画法)の絵を合わせている。しらじらしい。

・今回は全体的に表面をなぞっただけになってしまったので、また機会を作って行ってみたい。

※牧野省三。悪そうだけどかっこいい。

※活弁士番付。多い。

※尾上松之助。不思議なバランス。

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PARCO PRODUCE『ハムレットQ1』

2024-05-28 16:28:00 | 演劇を見てきた

2024/5/24

・映像では何度もPARCO劇場の作品を観ているが、現地での観劇は初めて。

・わりと暑い日に長々歩いた上に、ちょうどいい感じに休めるところがなく疲労困憊状態だった。みんな、あんな坂をのぼっていたのか。

・中段やや下手。見やすい席でほっとする。

・舞台装置がシンプルで美しい。

・下手奥に向かってせり上がっている。上手側には瓦礫に見えるオブジェ。玉座にも使う。

・ハムレットが父親の仇である叔父に復讐する話(何度も書いているとだんだん雑になる)。

・ハムレット役は吉田羊さん。男性として演じる。

・演者が女性であることの違和感はなかった。

・一昔前だったら「女性が演じる意味とは」が重要になりそうだけど、トピックの一項目程度だったと思う。

・商業レベルでも、こういう性別違いが当たり前になる傾向は進みそう。いい流れ。

・男女逆転の『じゃじゃ馬ならし』とか、もうやっていそうだなと検索したら2019年にやってた。最近。

・ハムレットは、華奢な体つきで耽美。音声の高低を使い分けられるのは女性の演者特有か。狂人と狂人でない時がくっきりしている。

・前々から疑問だった、ポローニアスはなんで刺されたのか問題。「いきなり刺すことなくない?」と思っていた。

・今回はおそらくセリフが足されていて、現国王のクローディアスだと思っていたという説明。

・一瞬なるほどと思ったけど、その直前に殺せるチャンスを見逃しているので納得しにくい。

・あと、ポローニアスが物陰に隠れてからの一連の流れを演劇的にきれいに見せるのは大変そうだといつも思っていた。

・最初、それ用に大きな仕切りが運び込まれたのかと思ったら、劇中劇用の幕だった。そのあとに隠れる用の幕が下りてきた。この順番なら不自然じゃない。なるほど。

・Q1は展開が早い。ラジオCMのものものしい調子とはかなりギャップがある。端的に見やすい。

・序盤、ちょっと雰囲気が重たく感じたものの、誰がどうしてそういう風になったのかがわかりやすい。

・一期一会の演劇という形式なんだから、十分有力な選択肢ではないか。

・というか、Q1を謳わなくても、ハムレットの上演台本を作るときに参考にした人は多いんじゃないかと思う。

(2024/5/24 18:30開演 PARCO劇場)

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伊勢朋矢監督『日日芸術』とCINEMA Chupki TABATA

2024-05-27 06:34:22 | 映画を見てきた

2024/5/24

・こちらの映画館は、耳や目が不自由な人も楽しめるユニバーサルシアターとのこと。

・小さい映画館であることは知っていたけど、実際現地に来てみると思っていたよりもかなり小さい。20席。

・どの席にも音声解説用のジャックがある。

・ここに来て普段通りに映画を観ても仕方ないかなと、イヤホンをお借りして音声ガイドのみ鑑賞を試みる。

・映像がなく、音声のみの作品なら、ラジオドラマみたいなものかなという素朴な疑問。

・実際に体験してみると、映像を言葉で説明する音声ガイドと、映像表現自体を想定していないラジオドラマは似て非なるものだった。

・そもそも映画でしか見られない作品は山ほどあるので比較自体あまり意味のないことだった。

・自分は目を閉じていたけど、頭の中には映像が浮かんでいる。中途失明した人はともかく、元々目の見えない人の感じ方をトレースすることはできそうにない。

・でも、映画を見た人と音声ガイドで鑑賞した人が同じ作品のことをちょっと語り合ったりはできる。そのちょっとが大切なんだと思う。

・作品は、若い女優である富田望生が、不思議なメガネをかけることで、様々な芸術活動をする人たちと出会い、成長のきっかけをつかむセミドキュメンタリー。

・幼さの残るヒロインの声とパスカルズの音楽がとてもフィットしていた。

・誰も見たことがないものを表現することが芸術の重要な要素なので、見たものを言葉で説明する音声ガイド鑑賞とは圧倒的に相性が悪かったような気がする。

・始まって数秒でいったん停止。音声ガイド対応の上映ではなかったのでやりなおすとアナウンス。

・視覚障碍のない自分が紛らわしい鑑賞の仕方をしたせいで間違われてしまったかも。申し訳ない。

・私の誕生月なのでジュースをくれたり、アフタートークの無い日なのにアフタートークのアナウンスをしていたり、おちゃめな映画館だった。

・「自分の踊り方で踊ればいいんだ」という言葉が彼女の血肉になっていく様子が感動的ではあるけど、世の中それだけじゃ駄目だということは無数にある。

・そのあたりきれいごとにしないために、どのようなことに注意したのか、しなかったのかということを監督に聞いてみたかった。

・当たり前だけど、双極性障害のかたや七十代から創作をはじめたおじいさんなど、「見たい!」と思える作品を製作されている方がたくさんいた。

・なので、結局帰りにパンフを購入した。折り葉と一筆書き絵の精密さがえぐい。

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「岡本太郎記念館」

2024-05-26 08:06:00 | 今月のソロ活

2024/5/23

・新国立劇場からちょっと歩くと(迷ったので実際には結構歩いた)、岡本太郎記念館がある。

・もともとは自宅兼アトリエだったようなので、美術館というより人の家にお邪魔するような感覚。

・入館する前から、庭に異形のものたちがたくさんいる。

・写真撮影OKかわからなかったので、先に受付で確認してから庭を散策する。

・ドアの取っ手も岡本太郎風の足形だった。

・変なオブジェだなと思っていたら、育ち過ぎたショウブだった。あんなメカっぽくなるんだ。

・『犬の植木鉢』と、ベランダのミニ太陽の塔が圧倒的にかわいい。

・マティスは当時の評論家から「野獣のよう」と言われ、野獣派なんて呼ばれていたけど、本人は「人々を癒す肘掛け椅子のような作品」を目指していたらしい。

・半面、岡本太郎は困難を選べ、楽をするなというようなことを言う。

・実際、それぞれの作品を見ても、野獣っぽいかどうかで言えば、完全に岡本太郎のほうが上。

・赤と黒を大胆に使った絵。ポジティブなタイトルでも禍々しい印象を受ける。

・タイトルが『よろこび』であっても、悪魔との契約感がある。好き。

・小規模ながら、「タローのダンス」という企画展もやっていた。マティスの展覧会を意識しているのかな。

・そのまま『ダンス』という作品もあるが、高島屋大阪店に展示されているのでここでは見られない。

・代わりに油彩の下絵のような作品が展示されている。岡本太郎にしては珍しく余白が多く、おしゃれな感じすらする。カンディンスキーっぽい。

・自分は一か所をじっくり見たいタイプなんだけど、それでも1時間もあれば十分満足できた。

・いつか『太陽の塔』を見に大阪に行きたい。

・この流れなら『明日の神話』も観なければということで、渋谷マークシティに向かう。

・渋谷付近、ものすごく人が多い上に、複雑に交差する道路が理解できず、地図アプリを見ても迷う。スマホが位置情報の取得に難儀している。

・「渋谷のJR線から京王井の頭線へ移動する途中にある」という文字情報が一番わかりやすかった。でかすぎて通り過ぎるところだった。たしかに圧巻。

・原爆モチーフなんだけど、さっきまで見ていた『よろこび』などと受ける印象がそんなに変わらない。

・額面通り受け取っちゃ駄目なんだろうなと受け取った。

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「マティス 自由なフォルム」

2024-05-25 09:29:48 | 今月のソロ活

2024/5/23

・晩年の切紙絵が多いんだろうと思ったら、ごく初期の習作レベルの油絵から展示されていた。

・近い時期に行われた別のマティス展とのすみわけはあるようだけど、本展覧会だけ見ても全体の流れはわかるようになっている。

・最大の見どころは、マティスの集大成である、ヴァンスのロザリオ礼拝堂を完全再現した展示。

・事前に山田五郎さんのYoutube解説、当日は安藤サクラさんの音声ガイドと、迎え撃つ気満々で鑑賞。

・五郎さんの「マティスは同じモチーフを繰り返し描く」という話がいい補助線になった。

・彫刻の『横たわる裸婦像Ⅱ』がのちの『大きな横たわる裸婦』だし(順番は前後するかも)、『アンリエット』の連作も写実→極端なデフォルメ→それらのハイブリットと、繰り返し製作されている。

・日本の漫画を想起させる作品も目に付く。「マドレーヌⅢ」は完全にJOJO(順番は逆)。『ジャネットⅢ』は抽象化を重ねた結果、サザエさんみたいになっていた。

・とにかく、作り直すことにためらいがない。

・似たような時期に作られた『蛇女』と『農奴』のアプローチが全然違う。とにかく作ってみるという感じか。

・展覧会のメインモチーフになっている『ブルーヌード』も下書きのような線が残っている。

・描いた跡を残しているものと、一から描きなおしているものがあるので、単に下書きが残っているわけではなく、それも表現の一部なんだと思う。

・下書き線で対象が脈動しているように見える。

・切紙絵で「色彩が線から解放された」らしいんだけど、デジタル作画があったら使ってたのかな。現代に転生したマティスが出てくる「液タブ大好きマティスくん」みたいなマンガできそう。

・『花と果実』は画像撮影OK 。お客さんのマナーがよく、みんな作品から距離を置いて前を歩かないんだけど、これだけ巨大で装飾もシンプルな作品なので、通行人の存在含めて製作されたのではと思ったりした。

・ロザリオ礼拝堂では、日の光の変化を考慮して、照明を変化させていた。展示の工夫もよい。

・書籍で見ていた聖ドミニクスの線画は単に「味がある」という程度だったが、実際に見るとでかいし太いしで結構な迫力があった。

(新国立美美術館)

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新国立劇場『デカローグ5・6』

2024-05-24 23:30:23 | 演劇を見てきた

2024/5/24

・ポーランドの映画監督キシェフロフスキーが旧約聖書の十戒をテーマに作成した10本の中編映像作品のうち、第5話と第6話を演劇に翻案した作品。

・事前にドラマ版のDVD-BOXで全話視聴して予習十分。

・知識ゼロの状態からだいぶん愛着は沸いているものの、第5話と第6話は、端的に言って話が嫌い。

・舞台化したら印象が変わるかもしれないし、行きがかり上、見ない選択肢はない。

・そんな心持ちもあり安価なテラス席を購入。下手側。

・舞台に対して椅子が垂直方向に並んでいるのでずっと左横を向いて観劇することになる。

・加えて左隣の人(舞台に対しては前方の人)が前傾姿勢。舞台の左側半分が見えない。アナウンスしていたのに。これは声掛け案件かと思っていたら開演10分位で姿勢を変えてくれた。

・第5話は、無軌道な若者がタクシー運転手を殺して死刑になる話。

・弁護士が死刑を反対する立場で苦悩している。

・ドラマ版の被告はいかにも無軌道な若者という感じで鬱屈した気持ちに対しては正直だったのに対し、舞台版ではわりと同情しやすい人柄に調整されていたように見えた。

・テーマをはっきりさせる意図だとは思うんだけど、この雰囲気で簡単に殺人を犯せるのはかえって怖い。

・自分も死刑には反対の立場だけど、死刑の考え方についてとりたてて新しいところは見出せなかった。

・第6話は、覗き趣味の若い男性が覗き相手の女性と仲良くなる話。

・覗き、いたずら電話、郵便物の偽造、付きまとい、当てつけの自傷行為、個人情報の私的利用かつ悪用と、自分の感覚では全く同情の要素はないんだけど、本作では全部許されている。

・男性から見た、理想的な女性という感じ。都合が良すぎる。

・舞台版では、女性の自暴自棄になっている部分が強調されて、覗き男の存在が、彼女にとっても救いになるという要素が強め。

・舞台版でおどけた感じの演技が足されていたけど、どういう意図だったんだろう。

・若干見やすくはなっているものの、「経験がないからと言って何でも許されると思うなよ」という感想は変わらなかった。

(2024/5/23 19:00開演 新国立劇場小劇場)

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TLPW「TJPW LIVE TOUR 2024 SPRING」

2024-05-23 09:26:25 | DVD・VHS・動画など

2024/5/23

・最初にアップアップガールズ(プロレス)のミニライブから始まる。

・アイドルに詳しくなくありがたみがいまいちピンときていないけど、イベントの始めに唄うのは一種の景気づけのようなものでいいんだと思う。

・演劇の場合、作中ならあるけど、開演の前に唄うのはあまりないような。場合によってはアリかも。

・原宿ぽむが気になる。名前も衣装も他で見たことない感じ。

・前々から目には入っていたけど、あんなにはっちゃけた感じだったっけ。

・対戦相手にリング上で551を貢ぐという浅はかすぎる作戦が楽しい。

・妙に体が硬い感じとか、動きに少しクセがあって長めの攻防も見ていられる。

・動きに関してはプロレスラーとして危なっかしい部分かもしれないので、今後変化していくかも。

・一連のイベントの中で、かなり高度なことができる選手と、まだ初心者マークが取れていないような選手が共存している。なんなら同じ試合内でそういう組み合わせもある。

・どんなにすごいことをしていても、長時間見続けていると慣れてしまうので、そういう変化をつけてくれると見やすい。すごい人がよりすごいとわかる。

・伊藤麻希がアイドルと女子プロレスラーのハイブリットとして頭一つ抜けている。ダンスの切れもいい。円熟期。

・吉田豪との対談動画ではちょっと自虐的なことを言っていたけど、海外団体でチャンピオンになっているし、しばらくこの勢いは続きそう。

・瑞希があいかわらずのメルヘン狂気で楽しい。ウエイトが少ないのをいいことに、遠慮のないタイプのフットスタンプをきめていた。

・前回までの配信で見て、圧倒的に強そうだった山下実優は不参加。沙希様も引退(たぶん)なので寂しい。

・結果、渡辺未詩がアスリートとしてのプロレスラーのかなりの部分を担うことになっていた。

・もうちょっと選手の知識が増えてくれば別の見方もできると思うので、しばらくはTJPWを追っていきたい。

・変にヒリヒリした感じもなく、コンパクトにまとまった見やすい大会だった。

TLPW「TJPW LIVE TOUR 2024 SPRING」 大阪・アゼリア大正 TJPW 2024.5.11

 

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クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』キェシロフスキ監督に関する”100の質問”

2024-05-22 22:23:00 | DVD・VHS・動画など



2024/5/20

『デカローグ』DVD-BOXの特典映像。

マスコミが監督キェシロフスキーを囲んで質問漬けにする42分間の映像。

本当に100問があったかどうかはわからない。

最初から「あなたは賞を取っているが観客の関心を獲得していない」と指摘され、ピリッとした空気になっている。

監督の「検閲の話をするのは好きだ」「機能している機関が好きだから」「検閲は嫌いだ」の流れがいかにも一筋縄ではいかない。

フランスの批評家に比べてポーランドは…みたいなことを言ったりもする。

同じヨーロッパの中でもやっぱり温度差がある。

監督の「神は至高の存在だが仲介者は必要ない」もいい。

もともとドキュメンタリー作家だからということもあるけど、作品の中に政治的なメッセージは入っているのかいないのかみたいな、いかにも1980年代の東ヨーロッパっぽい話が続く。

記者は記者で「監督自身は否定しているが、私はメッセージは入っていると思う」とまで言っている。

たしかに、解釈は自由なんだから監督の言葉に引きずられる必要はない。

こういうヒリヒリしたやりとりは今の日本ではあまり見られない感じでスリリングだった。

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