遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

アキ・カウリスマキ監督『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』(1986年)

2024-04-30 22:43:57 | NETFLIX/Amazon/UNEXT/Apple TVで観た

2024/4/30

造船会社の社長が殺され、息子ハムレットと伯父が対立する話。

シェイクスピアの『ハムレット』を現代企業の権力闘争に置き換えた話だと言えば聞こえはいいけど、全体的にすごくざっくりしている。

ハムレットの有名イベントは一通りこなしているものの、本作品における展開上の必然性はあまり感じられず、原作がそうだから入れておいたという感じ。事務的。

ネットでは「コメディ」と紹介されているけど、シリアスとコミカルの境界線がわからず、疑心暗鬼になりながら見続ける。

ハムレットがまるっこいおじさん。

この違和感は覚えがあるなと記憶をさかのぼっていくと、昔テレビでやっていた新春かくし芸大会の長編ドラマだった。

伯父の毒殺も雑で回りくどい。真相が輪をかけて雑で回りくどい。

そういう入れ子式の構造を狙っていたのかもしれないけど、たぶん違う。

(U-NEXT)

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DDT「ネタバレ禁止興行 vol.1」

2024-04-29 23:55:29 | DVD・VHS・動画など

2024/4/29

ネタバレ禁止興行とあるのでどこまで感想を書いていいのかわからない。

DDTのことをちゃんと知っているかどうかで、楽しめる度合いが全然違うタイプの試合が多い。

こんなハイコンテクストなプロレスの興行って今まであったんだろうか。

本当に文科系プロレスだった。

それでも観客がちゃんと盛り上がっていてえらい。

第一試合から不条理演劇を見ているような気持ちになった。

ネタバレが禁止というより、広く拡散されると高確率で怒られるという意味ではないかと思いながら見ていたら、出場選手も同じようなことを言っていた。

上田優希選手のことは知らなかったor印象に残っていなかったけど、今回の興行で好きになった。本当におつかれさまでしたとねぎらいたくなった。

こんなに混沌とさせておいて、ひとつの興行としてちゃんと場を締めることはできる。

各人のパフォーマーとしての地肩の強さが光るイベントだった。

※DDT「ネタバレ禁止興行 vol.1」神奈川・鶴見青果市場 DDT 2024.4.21(有料)

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高木三四郎『年商500万円の弱小プロレス団体が上場企業のグループ入りするまで』

2024-04-28 22:07:12 | 読書感想文

2024/4/28

高木三四郎へのインタビューと、藤田晋、ケニー・オメガ、倉持由香それぞれとの対談。

表紙がいい。事務仕事している人たちと、元気いっぱいのプロレスラーのギャップがありすぎて、たぶん違うのにコラージュっぽく見える。

対談では大社長が聞き手として優秀。グラビア業界の話すらプロレス用語に置き換えつつ理解しようとしている。

世界でも有数のプロレス団体になっているのに、まだまだ上を目指している。

そのために新しいことをどんどん取り入れようとしているし、選手たちの自主性を尊重するのもその一環。

強い上昇志向と現場で培った実戦的な柔軟性。納得。

無料興行のマネタイズ、飯伏幸太のデビューの話、鈴木みのるとのかけひき、ハッスルの感想、青木真也を受け入れた意味、どれも楽しく読める。

最後のほうで、そんな柔軟性のある大社長が、理不尽なスターを育てようとしている話も業が深い。

単純に欲の量が多い人は強いと再確認できた。

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DDT「Judgement2022~DDT旗揚げ25周年記念大会~」

2024-04-27 21:04:33 | DVD・VHS・動画など

2024/4/26

・2022年開催。前に見た東京女子とあわせて2DAYS。なので、観客は発声禁止、手拍子のみ。

・ダークマッチの時間差タッグマッチが豪華。

・出てくる選手たちがどんどん大型化していく。

・アンドレザジャイアントパンダのタッグパートナーにスーパーササダンゴマシーンという、偶然にしては出来過ぎの組み合わせ。

・山里亮太さんによる開幕肛門爆破。

・いろんな意味で絶対ミスってはいけないところでミスっていたらしいけど、さすがの対応力だった。

・開幕第1試合はKO-D10人タッグ選手権。

・大鷲透と組むと荒々しくなるヨシヒコが楽しい。

・いま蛇界転生が見られるとは思わなかった。

・大社長と中澤マイケル戦。見た目のわりにプラケースが危険。肩のあたりが気持ち悪い感じで流血していた。

・LiLiCoの引退試合。人前であんなに内面をさらけ出せる人がいるのか。純烈との組み合わせも味わい深い。

・男色“ダンディ”ディーノ。ヘイトも含め、自由自在に会場の空気をコントロールしていた。

・ダウン中のLiLiCoに話しかけている声をマイクが拾っていたけど、残していいものだったのだろうか。

・秋山準と大森隆男を久しぶりに観た。だいぶん年季が入っているけど、単に体がでかいだけではない存在感で、実際強かった。

・サウナカミーナというユニットを覚えた。どちらかというと平和的な響きなのに、あとで確認したら一大勢力だった。

・MAOが、レジェント級のレスラー二人の谷間で、ちゃんと輝いていた。

・会場の空気が誰の味方になるのか、実際に試合をしてみないとなかなかわからなくて、おもしろい。

・メインは竹下幸之助と遠藤哲哉。試合が後半になるほど、シンプルかつ高度な試合になっていく。

・技の命名が詩的になりすぎて、技名と技の組み合わせがなかなか覚えられない。

・個人的に技よりも「哲哉」呼びにドラマを感じてしまう。

・格下が格上を上回ったように見える試合が多い。

・2019年の興行に比べてより世代交代が進んでいて、頼もしいし寂しいし複雑な気持ちになった。

・ここからさらに2年たってどうなっているのか、見るのがちょっと怖い。

「Judgement2022~DDT旗揚げ25周年記念大会~」(東京・両国国技館  2022.3.20)※4/27時点で無料。

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劇団words of hearts『この生は受け入れがたし』

2024-04-26 22:42:15 | 演劇を見てきた

2024/4/26

・東京から東北の寄生虫研究室に異動してきた研究者とその妻が、環境の変化に対して正反対の反応をしてしまう話。

・会話はほとんどが津軽弁と福島弁、そして標準語。

・おそらく俳優さんのほとんどはネイティブではないので、方言指導を経て、上演に臨んでいる。

・聞いていて言葉の区別や練度がわかるわけじゃないけど、会話のリズムはよく、緊張感を損なわず聴き続けることができた。

・文字にすると意味の分からないようなフィラー的な声を自然に差し込んでいる。

・話にわかりやすい起伏が少ない平田オリザ戯曲では、会話の精度が一番大事。

・個人的に好きでたまに目にしている生き物情報がなぜかハマって心を見透かされた気分になる。

・レイコクロリディウムとかフタゴムシとか。カタツムリは見た目がかなりグロテスクになるので、舞台上で鮮明な映像を出したらダメだったと思う。楽しいけど。

・寄生虫と宿主から、寄生する寄生されるの関係性を、夫と妻、東京と地方、専門家と一般人、親と子供など、異なる複数の組合せに重ねている。

・専業主婦というキーワードひとつ取っても、どっちが寄生しているのかは見方次第。

・あわせて寄生虫という言葉が、一般的に言われるようなネガティブな意味を持つのかどうかも問われる。

・どんなにネガティブなことでも、研究者が新しい発見に喜んでしまうのは仕方ないことだと思う。

・対象を好きかどうかと研究の成果はたぶん直結する。

・例えば、人の体を切るのが好きな医者と嫌いな医者でどちらが外科医として信用できるかは微妙なところ。

・お話は常に平熱で進行する。

・奥さんがぴりっとしたことを言っても、現実がそうであるように、その場は受け流して何なら場を和ませようとしたりする人たち。

・舞台上に起きていることは静かなのに、水面下では色んな関係や感情がドロドロと溶けているような感じ。現実の反映としてとても正しい作品だった。

・奥さんは嫌いな寄生虫の講義を受けているし、夫も歩み寄りを見せたし、たぶんあのあとしっかり話すんだろうなと少しだけポジティブな気持ちで終われた。

(ターミナルプラザことにパトス 4/26 15時の回)

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チャールズ・チャップリン監督『街の灯』(1931年)

2024-04-25 23:25:28 | DVD・VHS・動画など

2024/4/25

・目の見えない女性にお金持ちだと勘違いされた浮浪者のおじさんが、精神不安定な本当の金持ちに振り回されながら援助を続けようとする話。

・無声映画。大げさで記号的な浮浪者の動きと、ほとんど存在しているだけの女性の組み合わせがぴったりあっている。

・お酒で記憶を無くすというところまでは理解できるけど、再び酒を飲むと過去の泥酔時の記憶がよみがえるというのは、どういう理屈なんだろう。

・こちらが先なんだけどどうしてもドリフを思い出す。

・上目づかいで愛想笑いしてるところは手塚治虫マンガも思い出す。

・どちらも、アンド検索したらたくさん記事が出てきたので、一般常識の範囲らしい。

・唐突に始まったボクシングのシーンは、過去作のアレンジとのこと。

・その過去作『拳闘』のシーンが特典映像に入っている。見てみるとそちらの方がはるかに激しくて面白い。

・そのままDDTプロレスで試合していても違和感がない。ロープに沿ってくるくる回ってコーナーに戻る動き、もう誰かやってそう。

・ただ、今回の話には合わないので、あえて滑稽さを抑えて、哀愁あふれる感じにしたっぽい。だったらボクシングのシーンじゃなくてもいいような気はするけど。審判、下手すぎ。

・出所して、子供にバカにされる浮浪者がかわいそう。ぼろっぼろのかっこうで、なけなしの意地で叱ろうとしているのがみじめさを強調している。

・最後の浮浪者、「えっ、チャップリンってそういう自然な表情もできるんだ」という意外性がよかった。

・特典映像で、主演のチャップリンと相手役のヴァージニア・チェリルの仲が悪かったという話。美容院の予約があるので撮影を早退して一回クビになったらしい。

・チャップリンは彼女のことをアマチュアだと冷淡に接していたようだしニワタマな話ではある。

・特典映像の木の端と戯れているシーン、本編ではカットされているけど、とてもたのしい。

・特にウィンドウ越しに男とやりとりしているところ。結局どんなアドバイスしているのか全くわからないところも含めてよかった。

 

 

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東京女子プロレス「GRAND PRINCESS '22」(東京・両国国技館 2022.3.19)※4/23時点で無料配信中

2024-04-24 07:11:00 | DVD・VHS・動画など

2024/4/23

・前に見たDDT興行から5年後2022年の東京女子。

・感染症対策のため観客の声援や飲食禁止。コロナ自粛期から時間がたつと、意味がわからなくなる人は増えそう。

・知ったばかりの「爆れつシスターズ」のお姉さんが引退。身内対決は燃えるし、悲壮感もなくていい温度感。

・高木三四郎選手が大社長ではなく、ただの社長だと挑発されていたけど、相変わらず大人気なかった。

・早起きして準備したボディペイントと、女性以上に立体感のある大胸筋の組み合わせが生々しい。

・操からハイパーミサオになっていたの混乱する。

・美威獅鬼軍の入場が楽しそう。あれ、舞台に上がるような人でやりたくない人いないんじゃないか。

・ユニット名はなんでヤンキー仕様なんだろう。

・メスと注射器という一線を越えている凶器。

・ラム会長は貫禄がありすぎる。レインメーカーがカメラ割込みでかっこいい。

・三田佐代子さんの解説が的確。ご自身は選手ではないのに、語り口に部活のOG感がある。ぼんやり見ていると伝わりにくいところ、的確に補助線を引いてくれる。

・ゲストのアジャコング選手もレジェンドとして、現場の人間として、良い距離感でコメントしている。こんなに言語化能力が高い人だったのか。

・伊藤麻希対荒井優希。似たような名前と似たようなキャリアの二人の試合が個人的なベストバウトだった。

・挑戦の動機は、アイドルという入れ替わりの激しいジャンルに所属していたからという三田さんの解説。

・伊藤選手の動きが大御所レスラーのようで、立ち方歩き方から見栄えの研究をしているんだろうなとわかる。

・アジャさんが「こんなに立派なプロレスラーになるとは」と言っていた。そっけない言い方なんだけど、言葉の選択がやさしい。

・アイスリボン時代を少し見ていたので、志田光選手が立派になっていてうれしい。

・小柄な渡辺未詩選手、他と桁一つ腕力が違う。

・ディズニー作品を見て技を思いつくらしい。

・メインは山下美優対中島翔子。山下選手と戦って試合になる女子選手いるんだろうかというくらいの雰囲気はあるけど、その彼女が信頼を寄せる中島選手としっかり大会をまとめていた。

・だいぶん選手おぼえたけど、たぶん次に見に行くDDTには出ないんだろうな。

★無料配信中(4/23時点)「GRAND PRINCESS '22」東京・両国国技館 2022.3.19

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クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』第7話 ある告白に関する物語

2024-04-23 00:24:28 | 演劇を見てきた

 

2024/4/22

ある女性が、若くして出産した結果、母親に娘を奪われてしまう話。

解説によると、第八戒「あなたは盗んではならない」がモチーフらしい。

それで母親に娘を奪われた女性のエピソードを扱う飛躍具合が好き。

一番小さい子供を祖母と母で奪い合う感覚は結構いろんな家庭で見られると思うけど、立場の強い弱いがはっきりしすぎている。

実の母親のほうがどんどん追い込まれて誘拐まがいのことをしてしまう。

三代それぞれの立場で盗む盗まれるの見え方が全然違うのがおもしろい。

小さな子供からしたら、自分がずっと母親だと思っていた人が祖母だったから逃げようと言われてもついていけない。

落ち着いたら「ケンカするな、仲良くしろ、私はおまえらの所有物ではないぞ」と言ってあげてほしい。

最後の後味の悪さも嫌いではなく、ここまでのエピソードの中では一番好みだった。

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DDT「Ultimate Party 2019 ~DDTグループ大集合!~」

2024-04-22 23:21:28 | DVD・VHS・動画など

2024/4/22

・DDTはDVDや配信でも見ていたもの、最後に見たのはいつか思い出せないくらい前。ライブで観たのは一回だけで長井満也選手が試合していた。

・プロレス自体も最近スターダムの配信を見始めたくらいで、かなりご無沙汰。

・配信時間6時間半に怯む。二日に分けて視聴。

・DDT、BASARA、東京女子、ガンプロの4ブランド、全14試合、80人を超える選手たちが試合している。

・アイアンマンヘビー級選手権では平田一喜選手が畳みかけるような入場順に翻弄されていた。好感を持った。

・歴代王者の一覧がなぜか英語版Wikiにしかない。

・そういう大会だからそういうものなんだろうけど、とにかく一試合あたりの参加選手が多い。

・3WAYの6人タッグと4WAYタッグは人数多いのに知っている選手が少なくて困る。

・戦いよりワクワクが上回ってしまい、みんなでラダー橋を二つ作るところと、作ってはみたもののリングが狭くなるだけで、そんなに活かせていなかった感じがいかにもライブっぽい。

・知らなかった選手では山下美憂が印象的だった。あのケニー・オメガと打撃でやり合って遜色なく見える。

・他の試合でも当たり前のようにミックスドマッチをやっているけど、たしかに説得力のある見せ方は難しそう。

・あの里歩さんがすっかり大人になっていた。この時点でもまだ22歳。キャリアだと13年。脳が混乱する。

・彼女が小学生だった頃は見ていたけど、海外でチャンピオンになっていたとは。線の細さは相変わらずで、見ていてハラハラする。

・いろんな技があったけど、坂崎ユカのコンプリートショットが強かった。エプロン際のカウンター。速い。

・関根龍一と高梨将弘のタイトルマッチ。不器用と器用の対比のように煽られていたけど、関根選手も結構いろんな技を使ってそんなに不器用には見えなかった。

・高梨選手は前から知っていた数少ない選手。その器用さを、いつも引き立て役として発揮していた印象で、キャリアアップについては彼のほうが不器用だったと思う。だから良かった。

・メインの竹下幸之助対HASASHIMA。たぶんもう何度も試合している二人なんだろうけど、ベテランと若手のシンプルな対立軸でまんまと盛り上がってしまった。

・締めのマイクがほのぼのとした喋り方でとてもよかった。一人称「ボク」なんだ。「握手できる?」

「Ultimate Party 2019 ~DDTグループ大集合!~」(東京・両国国技館 2019.11.3)※4/22時点で無料

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トム・マクナブ『遥かなるセントラルパーク』

2024-04-19 00:32:03 | 読書感想文

 

 

2024/4/18

・1931年、ロサンゼルスからニューヨークまでアメリカを横断する三千マイルのフットレースが実行される話。再読。

・3月21日から6月20日の三か月かかる。

・最初のうちは、競技というよりお祭りや興行に近い。

・参加ランナーは一部を除いて記念出場どころか食事目当てだし、サーカスの一団を引き連れて、行く街々でショーを披露する。おしゃべりラバのフリッツ見たい。

・世界的な不況のなか、起死回生を狙うランナーたちは高額賞金を狙ってしのぎを削る。

・一方で、前例のない巨大レースの運営は、ニューヨークまでたどり着けるかどうか、賭けの対象になるくらいの綱渡りを繰り返している。

・灼熱の砂漠や極寒高地のロッキー山脈を越えるようなような過酷なレース風景と、オリンピック招致にあたって賞金レースを目の敵にする政治家たち。

・この頃からすでにオリンピック招致の連中が敵役になっている。幻想としてのアマチュアイズム。

・生まれも育ちも全然違うランナーたちが協力し合って、圧倒的な距離という困難に挑んでいるし、主催者のフラナガンが窮地に陥れば、ランナーたちも知恵や技術を出し合って解決しようとする。

・登場人物たちが、ランナーもスタッフもだんだんチーム化していくところが楽しい。最初はお飾りでしかなかったミスアメリカも運営スタッフとして働き始める。

・フーヴァーやカポネみたいな実在する人物も出てくる。競技も政治も具体的で描写が細かい。

・たくさんの試練を経て、ただのお祭り騒ぎから競技としての崇高さが生まれてくる。イベントそのものの成長物語でもある。

・〈いつだってランナーをつぶすのはペースなんだ。決して距離じゃない。〉〈我々の走る一マイル一マイルが、地面を踏み出す一歩一歩が勝利になるんだ。〉〈次の日につるし首にされることがわかっているとき、人は驚くほど精神を集中できるんだ。〉〈三十年のランニングは勝利の瞬間ではなく、まさにこうした危機への準備期間だったのだ。〉

・常に身なりを気にしていた主催者が絶望してボロボロの姿になっているところに、それまで決して感情を表に出してこなかった冷静な記者が汚い言葉で気合をいれようとしているところが好き。

・なんでいまだに電子化していないのか不思議。

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