他人事じゃない『祭の馬』
海外で絶賛のドキュメンタリー映画公開。
第10回ドバイ国際映画祭 ドキュメンタリー部門の
最優秀作品賞を受賞した松林要樹監督の『祭の馬』
東京の三畳一間を拠点にして、
ドキュメンタリー映画を制作する松林監督。
映画『祭の馬』公式サイト
シネマトゥデイより 2013年12月14日
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原発事故で生殖器が腫れた馬を「他人事じゃない」
海外で絶賛のドキュメンタリー映画が公開
シネマトゥデイより 2013年12月14日
第10回ドバイ国際映画祭でアジアアフリカ・ドキュメンタリー部門の最優秀作品賞を受賞した松林要樹監督の『祭の馬』が14日、渋谷のシアター・イメージフォーラムで初日を迎え、松林監督が受賞の喜びを語った。
本作は、福島第一原発事故の被害を受けた福島県にカメラを向けたドキュメンタリー映画『相馬看花(そうまかんか) -第一部 奪われた土地の記憶-』の続編的作品。
原発事故の際に半径20キロ圏内にいた生殖器が腫れた馬を通じて、福島の現状を伝えている。
この日の舞台あいさつは、松林監督に向けて会場から「おめでとう!」と祝福する声が飛び出すなど、アットホームな雰囲気の中で行われた。
海外の映画祭では「なぜ、股間が腫れた馬を取り上げたのか?」という質問が多く寄せられたと切り出した松林監督は「放射能が生殖機能に与える因果関係は証明できていないんですが、生殖器が腫れた姿を見て、男として他人事じゃない、こいつは友達だと思ったのがきっかけ」と明かす。
「人間が発達した社会を作っていく過程で、馬が自分たちの生活の犠牲になってしまっているなと感じた」という松林監督。
「この映画のモチーフは何ですかとよく聞かれるんですが、僕は人間が唯一火が使えると思い上がった結果、原発を作ったんだと思うんです。でも、原発と人間と馬が共存できるかというと、共存できない、ということを強く残したかった」とメッセージを説いた。
自身のプロダクションを「三畳間フィルム」と名付けるなど、東京の三畳一間を拠点にして、ドキュメンタリー映画を制作する松林監督。
観客から「有名な監督になって、大きな部屋に住むようになっても初志を忘れずに頑張ってください」と激励のコメントが飛び出すと、「家の前の駐車場が2万5,000円で。うちの家賃よりも駐車場の方が高いんです」とおどけてみせる一幕も。
「長期間東京を離れることが多いので、やはり何かを犠牲にしないと取材はできない。そうすると家賃を節約するのが手っ取り早い。ただ、僕は酒飲みなので、酒の量は減らせないんですけどね」と笑いながら付け加えていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『祭の馬』は渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開中
シネマトゥデイより 2013年12月14日
http://s.news.nifty.com/entame/moviedetail/cnmtoday-N0058974_1.htm
2007年の春、まだ雪の残る青森の牧場で生まれた黒鹿毛の牡馬は、ミラーズクエストと名づけられた。
2010年9月18日、中山競馬場でデビューするが、結果は16頭中16着。その後も勝つことができず、2011年1月2日の水沢競馬場でも9頭中9着。
翌日、地方競走馬登録を抹消された。通算成績は、4戦0勝・獲得賞金0円。引退後は福島県南相馬市へ移され、未勝利馬はそこで余生をおくることになった。
そして、あの3月11日を迎える。激しい津波が彼の馬房を襲った。濁流から奇跡的に生還したものの、不運は続いた。
東京電力福島第一原子力発電所の事故により、水と食料を絶たれ、飢え、渇いた。さらに、けがをしたおちんちんが大きくハレたまま、もとにもどらなくなってしまったのだ。
そこに、一人の映画作家がカメラを持って現われた。彼の名は松林要樹。ミラーズクエストを一目見た松林は思った。
「これは、他人ごとではない――」
震災直後の福島県相馬地方から、雪の北海道日高地方へ、そして再び相馬野馬追の夏へ。
ミラーズクエストと松林の旅は続く。映画は、馬と人とが培ってきた長い歴史を紐解きながら、
とんでもない時代に生まれてしまったミラーズクエストの運命を優しく、可笑しく、まなざす。
馬たちの瞳もまた、静かに私たち人間の姿を映している。
イントロダクション | 映画『祭の馬』公式サイト
福島原発事故を描いた『祭の馬』に
ドキュメンタリー部門最優秀作品賞【第10回ドバイ国際映画祭】
シネマトゥデイより 2013年12月14日
『祭の馬』にドキュメンタリー部門最優秀作品賞(C) 2013記録映画『祭の馬』製作委員会
アラブ首長国連邦(UAE)で開催された第10回ドバイ国際映画祭で、松林要樹監督の映画『祭の馬』がアジアアフリカ・ドキュメンタリー部門の最優秀作品賞を受賞した。
なお、同部門に選出されていた想田和弘監督の『選挙2』は賞を逃した。
本作は、福島第一原発事故の被害を受けた福島県にカメラを向けたドキュメンタリー映画『相馬看花(そうまかんか) -第一部 奪われた土地の記憶-』に続く第2部。
今回は東日本大震災の津波被害から奇跡的に助かったものの、福島第一原発事故時、半径20キロ圏内にいたために数奇な運命をたどることになった馬の姿を通して、被災地の現状を伝えている。
残念ながら松林監督はすでに帰国の途に着いており授賞式には参加できなかったが、14日の映画公開初日に花を添える朗報となった。
受賞結果を聞いた松林監督は「まさかの受賞で驚きです。インシャラー(アラビア語で『神の思し召しのままに』の意味)でした。
東京の三畳一間で暮らす住人にこんな時が来るとは思いませんでした」と喜びのコメントを寄せた。
一方、本年度のカンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)受賞後、中国圏のアカデミー賞こと台北金馬奨で最優秀長編作品賞を含む4冠を受賞するなど、世界の映画祭で台風の目となっているアンソニー・チェン監督の『イロイロ(原題) / ILO ILO』が、アジアアフリカ長編部門で最優秀作品賞と最優秀女優賞の2冠を制した。
同作は米アカデミー賞外国語映画賞のシンガポール代表に選ばれており、このままの勢いでオスカーまで獲得するのか、さらに注目が高まりそうだ。(取材・文:中山治美)
主な受賞結果は以下の通り。
【アジアアフリカ・ドキュメンタリー部門】
■最優秀作品賞
『祭の馬』(日本)松林要樹監督
【アジアアフリカ長編部門】
■最優秀作品賞
『イロイロ(原題) / ILO ILO』(シンガポール)アンソニー・チェン監督
■最優秀男優賞
イルファン・カーン 『ザ・ランチボックス(原題) / The Lunch Box』(仏・独・インド)
■最優秀女優賞
ヨー・ヤンヤン 『イロイロ(原題) / ILO ILO』(シンガポール)
■最優秀監督賞
ツァイ・ミンリャン監督 『ピクニック』(台湾)
映画『祭の馬』は12月14日よりシアター・イメージフォーラムにて公開 全国順次公開
シネマトゥデイより 2013年12月14日
http://s.news.nifty.com/entame/moviedetail/cnmtoday-N0058982_1.htm