六角オセロ & 右・石田流 & 目くらまし戦法

六角オセロ と 六角碁 と 将棋の浮き飛車めくらまし戦法 の考案者です

王手飛車取り

2021-03-26 09:41:57 | Weblog
王手飛車取り SF傷だらけの天使 87話



結局、きょん姉さんは、あゆみちゃんのドームハウスに住むことになった。朝を迎え、二人は、母の涌井いづみを見送った後、ドームくんと公園にいた。
「今日も、いい天気だねえ。あゆみちゃん」
「そうですねえ」ドームも「そうですねえ」と言った。
「福之助くんは、いつ直るんですか?」
「来週くらいかな?」
「直ったら帰るんですね」
「そうよ」
十時になった。
「あゆみちゃん、わたし買い物に行ってくるわ」
「わたしも行きたいな~~」
「ドームくんと一緒じゃあ、セグウェイに乗れないわ」
「そっか~~」
ドーム
「わたし、走って行きますよ」
「そうか、ドームくんは、福之助と違って走れるんだ」
あゆみ
「とっても早いのよ」
「どのくらいで走れるの?」
ドーム
「時速二十キロくらいです」
「けっこう早いのねえ」
・・
「うわ~~~あ、面白いわ~~」


一条院の近くの公園で、おじさんたちが、ベンチで将棋をやっていた。
「わ~~あ、将棋だわ~~」
きょん姉さんは、セグウェイを止めた。
「あゆみちゃん、将棋知ってるの?」
「うん、知ってる」
「すごいわね~~、はさみ将棋?」
「本将棋」
「へ~~え、凄いなあ~~。誰に教えてもらったの?」
「鎌倉の、近くの、お爺ちゃん。幼稚園に行ってなかったから、教えてもらったの」
「友達がいなかったのね?」
「うん!」
あゆみは、セグウェイから降りると、ベンチの前で見ていた。
「おじさん、そこに逃げたら、王手飛車取りになっちゃうわ」
おじさん左は、びっくりした。
「おお~~、凄いねえ、お嬢ちゃん!いったい何者?」
「余計なこと、教えちゃったかしら?」
おじさん右
「お嬢ちゃん、ありがとうよ!」
「もういいわ、きょん姉さん、行きましょう」
きょん姉さんは、あゆみを乗せると、再び出発した。
「あの人たち、ヘボ将棋だわ」
「どうして、ヘボ将棋って分かるの?」
「駒組みで分かるわ」
「そうなんだ!あゆみちゃんは凄いねえ」
「きょん姉さんは、将棋は?」
「まったく分からないわ」
「じゃあ、こんど教えてあげるわ」
「ありがとう」
「こっちは、勝間屋さんじゃあないわ」
「買い物の前に、よう子お姉ちゃんに会いに行こう」
「そうですね。買い物を先にすると重くなりますからねえ」
「そうなの。さすがに、先を読むねえ~~」
きょん姉さんは、感心していた。
金剛峯寺に着いた。
「皆さん、おはようございま~~す!」
アキラ
「やあ、きょん姉さん!」
ショーケン
「戻って来たんだってねえ、隆二さんから聞いたよ」
よう子も踊っていたけど、駆け寄って来た。
「福之助くん、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですが、精密検査に一週間かかるそうです」
あゆみ
「おはようございます。きょん姉さん、戻って来ちゃったの。今、わたしの家にいるのよ」
アキラ「おはよう、あゆみちゃん」
よう子もショーケンも、同じように言った。
アキラ「じゃあ、帰りに、福之助の見舞いに行こうかなあ」
「行っても無駄です。電源を切ってあります」
「なんだ、そうか」
「あゆみちゃん、凄いんですよ。本将棋ができるの!」
アキラ
「それは凄いや!じゃあ、今度、僕とやろう」
「アキラさんも、将棋やるんですか?」
「ああ、大好きだよ」
「わ~~あ、やりたいなあ~~」
「公園で、おじさんたち将棋をやってて、ヘボ将棋って言ってたんですよ。駒組みで分かるんですって」
「それは凄いや。確かに、その通り!」
「ちっとも、綺麗じゃなかったわ」
「それが分かるってことは、あゆみちゃん、かなり強いんだなあ」
「そうかなあ?鎌倉のお爺ちゃんとしか、やったことないんです」」
「じゃあ、今度、僕とやっろうねえ」
「は~~~い」
あゆみは、嬉しそうに、笑っていた。
「ショーケンさん、歌手だったんでしょう?」
ショーケン「そうだよ」
「じゃあ、何か歌って」
「そうだねえ~~、どんなのがいいかなあ?」
「タヌキの歌じゃないやつ。楽しい歌がいいわ」
「そっか~~~、じゃあ、やきいもグーチーパー」


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空戦・袖飛車 & 空戦・石田流


さようなら ≪翼あるもの≫

2021-03-25 20:13:48 | Weblog
 SF傷だらけの天使 85話



よう子
「飛行機ですか?」
「飛行機は、魂が浮いて不安定になるので、あまり乗らないようにしています。新幹線です」
「魂が浮く?」
「はい。浮いて、気分が悪くなってしまうんです」
アキラ
「あゆみちゃん、はい、焼き芋」
「それじゃあ、失礼します。また来ます」
きょん姉さんは、あゆみを乗せて、ドームハウスに帰って行った。
「高野山大学を見てみたいわ」
「いいわよ、行きましょう」
高野山大学に着いた。
「ここよ」
「わ~~あ、大きいわ~~。食堂は、どこかしら?」
守衛さんらしい人が、セグウェイに乗ってやって来た。
「何か御用ですか?」
「この子の母親が、ここの食堂で、今日から働いているもので、この子が見てみたいと言うもので」
「あっ、そうですか。そちらのロボットは?」
「わたしのロボットと、この子のロボットです」
「ああ、通常の補佐ロボットと、高野山警察の番犬ロボットね。それなら、いいでしょう。じゃあ、案内してあげましょう。ついてきてください」
食堂の前に案内された。
「食堂は、ここです」
「あゆみちゃん、ここだって」
「わ~~あ、ママは、ここで働いているのね」
「そうよ」
「写真を撮ってもいいですか?」
「ああ、いいですよ」
きょん姉さんは、写真を撮ると、高野山大学を出た。コンビニで、写真データを印刷すると、あるみに手渡した。
「わ~~あ、どうもありがとう。今日子おねえちゃん」
「きょん姉さんって、呼んで」
あゆみは、大声で言った。
「はい。きょん姉さん!」
ドームハウスに着いた。程塚隆二が、公園で体操をしていた。
「やあ、きょん姉さん。二度目ですねえ。器用に、あゆみちゃんを乗せて、どこに行ってたんですか?」
「あゆみちゃんの靴を買いに行って来ました」
「買ってあげたんですか?」
「はい」
「じゃあ、僕が代金を払いましょう」
「いいんですよ。お別れのプレゼントですから」
「お別れ?もう帰られるんですか?」
「はい、これから」
「どこなんですか?」
「福岡の博多です」
「それは遠いですねえ、折角、お友達になれたのに」
「ドームハウスのことで、連絡するかも知れませんので、そのときはよろしく」
「じゃあ、電話番号とメールアドレスを教えておきますね」
姉さんは、スマホにメモした。
「じゃあね、あゆみちゃん!」
「もう行っちゃうの、きょん姉さん?」
「うん」
「また来てください」
「ええ、きっと。お借りしたセグウェイ、どうもありがとうございました」
「駅まで乗っていけば?あとでクルマで取りに行きますから」
「ここまででいいんです」
「じゃあ、クルマで送りましょう」
「ゆっくりと、高野山の風景を眺めながら帰りたいんです」
「ああ、そうですか・・」
隆二
「それでは、お気をつけて!」
「あゆみちゃん、隆二さん、さようなら~~!」
きょん姉さんは、手を振りながら去って行った。
「きょん姉さ~~~ん、さようなら~~~!」
あゆみちゃんは、涙を流しながら、しきりに手を振っていた。
「きょん姉さんは、行ってしまったねえ~~」

隆二は歌いだした。

 さよなら は 別れの言葉じゃなくって 再び会うまでの遠い約束~~ ♪

「隆二さん、それ何の歌?」
「薬師丸ひろ子の歌」
「ふ~~~ん。わたしは、やっぱり、たぬきさんの歌のほうがいいわ」
あゆみは歌いだした。

 負けるな 負けるな おっちょこちょいに負~~けるな ♪

「おっちょこちょい、じゃないでしょう。和尚さんじゃないの?」
「へへへ~~」
「じゃあ、僕も帰って、仕事をするか」
「もう行っちゃうの?」
「うん。ドームくんと遊んでいなさい」
「は~~~い」
「ドームくん、頼んだよ!」
「分かりました。隆二さん」

その頃、きょん姉さんは、高野山の街並みを見ながら、時速3キロの福之助と、同じスピードで、高野山駅に向かって歩いていた。
甲斐バンドの≪翼あるもの≫を歌っていた。

 明日は どこへ行こう~~ ♪
  明日は どこへ行こう~~ ♪

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02甲斐バンド LIVE in 薬師寺 翼あるもの

空戦・袖飛車 & 空戦・石田流


生きているから、生きている・・・

2021-03-25 08:59:38 | Weblog
生きているから、生きている・・・   SF傷だらけの天使 79話





「これが、夜のドームハウスか、なかなかロマンチックでいいじゃないか」
「そうですねえ」
「なんか、どっかの星の宇宙人の家って感じだねえ」
「そうですねえ」
「上空にUFOでもいたら、素晴らしい風景になるねえ」
「そうですねえ」
「あんた、そうですねえ、ばっかじゃん」
「そうですねえ」
「宇宙人が歩いてたら、面白いだろうねえ」
「そうですか?」
姉さんの背後から声がした。
「もしもし!」
姉さんは振り向いた。
「きゃ~~~!宇宙人!」
「違います。忍者隊・月光の者です」
宇宙人のような恰好をしていた。
「どうして、そんな恰好を?」
「これから、大スズメ蜂の退治に行くんです」
「こんな夜にですか?」
「はい、夜のほうが、蜂の動きが鈍くなるのです」
「どこなんですか?」
「ドームハウスの側にある、栗の木です」
「三人でやるんですか?」
「二人です。一人は、ここで、人が入って来ないように見張っています」
「大変ですねえ」
「ドームハウスの方ですか?」
「違います」
「じゃあ、この中には入らないでください。終わるまでは」
「わたしたち、もう帰りますので」
「お気を付けて」
・・
「豆乳を買ってくるの忘れたなあ」
「豆乳を投入ですか?」
「おまえ、ちっとも面白くないよ!」
「すみません」
「勝間屋まで買いに行くか」
「はい、そうしましょう」
「秋の夜だねえ、虫が鳴いてるねえ」
「虫は鳴きませんよ。泣くのは、昆虫です」
「昆虫と虫は違うのかい?」
「昆虫は、六本脚で虫の上です。クモやミミズなどの虫とは違います。虫は鳴きません」
「じゃあ、ゴキブリも六本脚だから、昆虫なのかい?」
「はい、そうです!」
「ええ~~~え、ほんとかよ~~?」
「ゴキブリは昆虫綱ゴキブリ目に分類されます」
「気持ち悪い昆虫だなあ」
「そうですねえ」
「昆虫なのに鳴かないじゃないか?」
「でも、ゴキブリは、キュッ、キュッ、と鳴くそうです」
「ええ~~え、ほんとかよ!」
「求愛や威嚇や、危機に瀕している時に鳴くそうです」
「あいつらは、何を食べているんだい?」
「ゴキブリは、生ごみはもちろん、カビやダニも食べます。仲間を食べることもあります」
「ゴキブリがゴキブリを?」
「はい」
「気持ち悪いねえ」
「他の生き物だって、共食いはありますよ。人間だって」
「え~~え、ほんとかよ~~?」
「中国や韓国、北朝鮮には、人食の習慣があって、市場で売られていたそうです」
「マジかよ~~!?」
「中国の史書に書かれてあります。そして、文化大革命の時代にも」
「え~~え、何てことだい!」
「日本人はやらないねえ、そんなことは」
「豊臣秀吉が、兵糧攻めにした鳥取城内で、人食が行われた、という記録が残っています」
「え~~~え、マジかよ!」
「はい」
「じゃあ、人間もゴキブリも同じじゃないか」
「そういうことになりますねえ」
「ああ、いやだいやだ!人間は虫じゃあないから、そんなことをしてはいけないんだよ!」
「そうですねえ」
「なんだか、悲しくって寒くなってきたよ」
「カイロ、出しましょうか?」
「ちょうだい」
福之助は、胸のポケットから、カイロを取り出した。
「ありがとう。考えると、人間も愚かな動物だねえ」
「人間が愚かなのは、人間を作った神様の責任ですね」
「はっ?」
「神様を裁判にかけましょう」
「はっ?」
きょん姉さんは、近くにあった御地蔵さんに向かって、手を合わせた。
「南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!」
「お釈迦様ですね」
「南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!」
「じゃあ、わたしも、南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!」

哀しく切ない秋の風が吹いていた。哀しく切ない昆虫の鳴き声が聞こえていた。
きょん姉さんの脳裏には、吉田拓郎の≪人間なんて≫の歌が流れていた。
「人間は、何のために生きているんだろうね?」
「その答えは簡単です」
「なんだい?」
「生きているから、生きているのです」
「生きているから、生きている・・・」
きょん姉さんは、腕組みをして考え始めた。
「ほ~~~~~~う!?」
「ほけきょう」
「なんだい、それは?」
「ウグイスの鳴き声です」
「あんた、おもしろいねえ~~」
「どういたしまして」

空戦・袖飛車 & 空戦・石田流


風魔小太郎 SF傷だらけの天使 76話

2021-03-24 19:49:30 | Weblog
風魔小太郎 SF傷だらけの天使 76話



きょん姉さんの踊り酔拳の演武は終わった。三人は、倒れそうになるのを、目を閉じて我慢していた。
「皆さん、大丈夫ですか?」
よう子が目を開けた。
「どうやら大丈夫みたいです」
アキラも目を開けた。
「あ~~あ、びっくりした!地震かと思った」
ショーケンも目を開けた。
「凄い!何だ、今のは?」
よう子
「これなら、何もしなくても、相手を倒せますねえ」
「でも、瞬時に攻撃してこられると、駄目なんです」
「でも、大したものだわ~~、びっくりしちゃった」
誰かが、手を叩いて見ていた。
「紅流踊り酔拳ですね」
風魔忍者の風間だった。
「いやあ、お見事!お見事!」
「ありがとうございます。まだまだ未熟者です」
「どなたから、この技を?」
「わたしの父です」
「高田渡先生ですか?」
「はい、そうです。わたしの父です」
「観光地レポーターの高田今日子さんですか?」
「はい、そうです」
「わたしは、風魔忍者の風間杜夫という者です。どうぞよろしく」
「風魔小太郎の風魔忍者ですか?」
「はい、そうです」
「どんなことができるんですか?」
「いろんなこと、出来ますよ。遠当ての術とか」
「どんな術ですか?」
「気合い術です。たとえば、気合いで飛んでる鳥を落とす、とか」
「ええ~~、そんなことが?」
「じゃあ、やってみましょう」
風間は周りを見た。近くの木に、カラスが止まっていた。
「あのカラスを、落としてみせましょう」
風間は、指で印を結んで、奇声を発した。
「キェェ~~~~~ッ!」
カラスは落下した。
「わ~~~、凄い!」
三人も、びっくりしていた。
「あのカラス、死んだんですか?」
「気絶してるだけです」
「人間も、ああなるんですか?」
「風魔小太郎は、人間や馬も倒せたそうですが、わたしには無理ですね。猫くらいなら」
「声で落とすんですか?」
「気で落とすんです」
「き?」
「遠隔気功です。瞬時に、気を相手に送るんです」
「スズメ蜂とかは?」
「昆虫は無理ですねえ、殺虫剤でないと」
風間は笑っていた。
「ときどき、スズメ蜂退治の依頼が、忍者隊・月光に来ますよ。これが、完全武装して、けっこう大変なんですよ」
「そうでしょうねえ」
「ペットボトルに蜂の入り口を作り、焼酎とジュースを入れて、吊り下げておくと、中に入って溺れ死にますよ」
「へ~~え、そうなんですか?それも忍法?」
「昔は、ひょうたんに酒を入れて使ってたみたいです」
「忍術って、合理的なんですねえ」
「そう、忍術は科学なんです」
「スズメバチ、怖いですもんねえ~~」
「刺傷被害が一番多い蜂はスズメバチでです。とくに、秋口の九、十月は繁殖の時期になるため攻撃性が高まり、五メートル以上離れた場所にいても刺してくることがあります」
「怖いですねえ」
「どういうところにいるんですか?」
「土の中、家屋の壁間、屋根裏などの閉鎖的な場所ですね。樹木、崖、橋下などの開放的な場所にも」
「見たら攻撃してくるんですか?」
「見張りのハチが巣の危険を察知した時に、羽音を立てて警戒行動を取ります。威嚇を無視すると一斉に毒針で攻撃してきます」
「威嚇されたら、すぐに逃げればいいんですね?」
「黒い部分のをめがけて刺してくるため、頭部や目を狙われることが多く、とても危険です」
「よく分かりました。気を付けます」
風間は、三人に挨拶した。
「やあ、よう子ちゃん」
「風間さん、久し振り~~」
風間は、ショーケンを見た。
「元テンプターズのショーケンさんですね?」
ショーケン
「そうです。初めまして、どうぞよろしく!こっちは、相棒のアキラです」
アキラ
「どうぞよろしく!」
よう子
「風間さん、どうして、ショーケンさんを知っているんですか?」
「有名ですから、知ってますよ」
「へ~~~え」
「実は、さっき、犬丸さんに聞いてたんです」
「なんだ、そうだったんですか」
「でも、以前から、テンプターズもショーケンさんのことも、知ってましたよ」
「そうなんですか」
「ショーケンさん、テンプターズのヴォーカルって、最初は女性だったんですよね?代役で、ショーケンさんが飛び入り参加して」
ショーケン
「はい、そうです。詳しいですねえ」
よう子
「風間さん、かなりマニアックなことを知っていますねえ」
「実は、僕は、テンプターズのファンだったんですよ。タイガースと違って、男のファンが多かったんですよ」
「そうなんですか」
「野球のタイガースじゃないよ」
風間は笑っていた。気絶していたカラスが起き上がって、大空へ飛んで行った。
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02甲斐バンド LIVE in 薬師寺 翼あるもの

空戦・袖飛車 & 空戦・石田流


ポップコーンをほうばって♪

2021-03-24 09:07:42 | Weblog
SF傷だらけの天使 19話



「兄貴、芋が無くなっちゃったよ」
「明日の朝、また調達に行こう」
「うん、そうだね」
「兄貴、ここは歩道が無いので怖いねえ」
「そうだなあ」
白いジープが前方の路肩に止まった。
「よう子ちゃん、何してるの?」
「犬丸さ~~ん、仕事の帰りよ」
「仕事って?」
「このリアカーで、石焼き芋を売ってるの」
「へ~~~え、で、ドームハウスまで運んでるんだ?」
「そうなの~~」
「じゃあ、引っ張ってあげるよ」
「ええ、いいの?」
「お安い御用で、まかしんしゃい、まかしんしゃい!」
福岡弁だった。
ショーケンは挨拶した。
「はじめまして、あたらしくドームハウスに来た、八番の萩原健一です。よろしくおねがいします」
「一番の犬丸勝です。よろしく!」
「悪いわねえ、犬丸さん」
「そんなことは、気にせんで、よかたい」
「ありがとう」
「萩原健一さんって、ショーケンと同じ名前。顔も似てるし、ひょっとして本物?」
「はい、ショーケンです」
「ええ~~~、そうなの!びっくり!なんで、こんなところに?」
「程塚さんに会いにね・・」
人の心が読める彼は、それ以上のことは尋ねなかった。
「甲斐バンドの薬師寺ライブを見て来たんですよ」
「薬師寺でですか。そいつは凄いなあ~~。甲斐、頑張ってるなあ~~」


三人は、彼の御蔭で楽ちんでドームハウスまで帰ることができた。
「犬丸さん、どうもありがとう!」
彼は「まだちょっと、他に用があるんだ」と言って去って行った。
直観力のあるアキラが尋ねた。
「あの人、普通の人じゃないでしょう?」
「超能力者です、どうして分かりました?」
「目を見れば分かるんですよ」
「人の心が読める超能力者です」
ショーケンが言った。
「アキラも読めるんですよ」
「だから分かったんですね」
ショーケンは、よう子に頭を下げた。
「よう子ちゃん、今日はどうもありがとう。今日の給金、二万五千円です」
「うわ~~あ、こんなに頂いちゃっていいんですか?」
「よう子ちゃんがいなかったら、こんなには売れなかったから」
「どうもありがとうございます。明日も頑張りま~~す」
「明日は、九時に出かける」
「じゃあ、お弁当を作ってきてあげるわ」
「そんなの、悪いよ」
「じゃあ、二人分、千円で」
「千円、安いねえ~~、じゃあ頼みます」


篠原英子が、公園のベンチで泣いていた。よう子は声をかけた。
「ひでちゃん、どうしたの?」
「なんでもない」
「何でも言ってよ」
「なんでもないの~~~!」
「ほんとにどうしたの?」
英子は泣き出した。
「面接に行ったら、病人は要らないって言われたの」
「それはひどいわ~~」
「くやしくって!」
「詳しく話して」
「聞いてくれる?」
「もちろんよ」
「家に帰って泣いてると、お母さんを心配させるから、ここで泣いてたの」
ショーケンも英子の話を聞いていた。
「ひでちゃん、ひでちゃんの大好きな甲斐バンドの歌を歌ってあげるから、元気を出しなよ」
「えっ、ショーケンさんが、甲斐くんの歌を?」
「ポップコーンをほうばって、しか知らないけどね」
「わたしの大好きな歌」「知ってるよ」「歌って~~」
ショーケンは歌いだした。
英子も歌いだした。

僕らは飛べない鳥じゃあなかったはず♪ 翼を広げたら きっと飛べたんだ♪

英子は元気になってきた。

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12甲斐バンド LIVE in 薬師寺 ポップコーンをほうばって

空戦・袖飛車 & 空戦・石田流



ポップコーンをほおばって 百グラム二百円 計算式は?

2021-03-23 17:26:53 | Weblog
ポップコーンをほおばって

百グラム二百円 計算式は?

「一本、二本で売るより、百グラムいくらで売ったほうが良心的じゃないかしら?」
「そうだねえ~~、兄貴、どう思う?」
「そうだなあ、そうするか」
「じゃあ、百グラム二百円とかではどうだろう?」
「それで行こう」
ショーケンは考え込んでいた。
「だけど、計算が面倒だなあ」
ポップコーンを食べ始めた。ショーケンには、深く何か考えるときには、何かを食べるクセがあった。
「どっこが?」
「うん?」
「簡単じゃん」
「そっかあ?」
「兄貴、馬っ鹿じゃないの?」
「計算式は?」
「百グラム、二百円だから、単純にグラムに二倍すればいいんじゃない」
「うん?」
「二百グラムだったら、二倍の四百円、百二十グラムだったら、二百四十円」
「グラムが円になるってことか?」
「そいうこと」
「なるほど、そういうことか」
「式とか要らないよ。電卓で二倍すればいいの」
「おまえ、頭いいなあ~~」
アキラは呆れかえっていた。
「とにかく、百グラム二百円の札、作っとくよ」


育ちが違うってことだな




翌日がやって来た。
「兄貴~~~、リアカー持って来たよ~~」
「今、行く!」
二人で、リアカーに石焼き芋機を載せていると、よう子がやって来た。
バスケットを持って、まるでアルプスの少女ハイジのような恰好でやって来た。
「どうかしら~~?」
二人は、ぽかんとして見ていた。
「このバスケットに石焼き芋を入れて、踊りながら売るの。どうかしら~~?」
ショーケンが答えた。
「別に踊らなくても」
「わたし、踊りも得意なんですよ~~♪子供の頃にバレエをやってたんですよ~~♪」と言いながらも踊っていた。
「兄貴、いいんじゃない、うけるかもよ」
「そうかなあ?」
「男が、不愛想に売るよりかは売れるよ」
「そうかもなあ」
「外国人には、絶対にうけるよ」
「よう子ちゃんが、大丈夫なら、いいよ」
「だいじょ~~ぶ、でええ~~す♪」
「まるで、ミュージカルだねえ」
「ミュージカルで売りましょうね~~~♪」
アキラはため息をついた。
「ピクニック気分だねえ~~」
「明るく楽しく行きましょ~~う♪」
「小島さんの、そういうのって、どこから出るのかなあ?」
「生まれつきの、根明なんです」
「俺たちとは、育ちが違うってことだな」
「育ちがいいと、根明になるんだ?」
「そうだよ。頭もいい」
「頭も?」
「環境も食べ物もいいと、脳も元気になるってこと」
「な~~るほどね~~」
「じゃあ、芋が焼けたら出発しよう」
「兄貴、計りが無いよ」
「あっ、そうか」
「わたしの家に小さいのがあります。今、持って来ます」
「芋って、どのくらいあるんだ?」
「さ~~~あ?」
よう子が計りを持って来た。
「計ってみよう」
・・
「だいたい、二百から四百だね」
「二百だと、四百円だなあ、売れるかなあ?」
「そのくらいの値段だったら売れるよ」
「りゅうちゃんからもらった新聞紙で袋も作ったし、大丈夫みたいだな」
・・
リアカーは、隆二の運転するクルマに牽引されて、無事に大通りに辿り着いた。
高野山の鐘が、午前十時を告げていた。
「兄貴、どっちに行く?」
「そうだなあ~~?」
「とりあえず、ここから始めましょう」
精進料理を食べた一条院の前だった。よう子は踊り始めた。そして、すぐに止めた。
「ちょっと、道が狭いわね。もう少し広いところに行きましょう」
彼女は、近くの金剛峯寺(こんごうぶじ)の正門前に案内した。
彼女は踊り始めた。すると、外国人の観光客が集まって来た。
「兄貴、来たよ来たよ!」
アキラがコマーシャルを開始した。
「え~~え、ベイクト・スウィートポテイト、ベイクト・スウィートポテイト!」
「え~~え、は日本語だよ」
「あっ、そっか」
彼女は、踊りながら、バスケットの焼き芋を、うまそうに食べ始めた。
「ベイクト・スウィートポテイト、ベイクト・スウィートポテイト!」と言いながら、
アキラは感心して見ていた。
「おお、やるねえ、彼女!」
リアカーの両サイドには、よう子が提案した英語で『焼き石で焼いたサツマイモ』と書かれてあった。
よう子のパフォーマンスで、石焼き芋は、外国人観光客に次から次に売れ始めた。
「兄貴、すごい売れ行きだねえ~~」
五時までに、百個持って来たサツマイモが売れ切れてしまった。
「兄貴、売れ切れちゃったよ」
「おおお、凄いなあ~~」
「今日の売り上げ、ざっと六万円、すげ~~~!」
「金剛峯寺(こんごうぶじ)に、お礼を言って帰りましょ」
「そうだね」
「そうだな」


空戦・袖飛車 & 空戦・石田流


水谷豊さん / カリフォルニア・コネクション

2021-03-22 18:21:25 | Weblog
水谷豊さん / カリフォルニア・コネクション

宇宙刑事アニー SF傷だらけの天使 38話



アキラは、観光客の多さに、びっくりしていた。
「金剛峯寺は、やっぱり凄いなあ~~」
「境内に、色んな建物がありますからねえ」
「神社もあるしねえ」
「はい」
よう子は、ショーケンを見ていた。
「ショーケンさんに、質問してもいいですか?」
「どうぞ」
「ネットで見たんですけど、こういうことが書いてあったんですよ」
よう子は、スマホの画面を見せた。


負けん気の強かった中学生の萩原さんは、ダイケンと呼ばれる高校生の大番長、そしてチューケンと呼ばれる副番長にもケンカで一歩も引かなかった。彼等はその勇気を認め萩原さんを「ショーケン」と任命。萩原さんのショーケンとしての人生が始まる。


「そうですよ」
「そんなに負けん気が強かったんですか?」
「そうみたいですねえ」
ショーケンは笑っていた。
「凄かったんですねえ」
「子供だったんですよ」
「今は?」
「臆病になっちまったかな」
「利口になったんですよ」
「利口にねえ・・」
「今日は、悲しいテディボーイで行こうかな?」
アキラが尋ねた。
「悲しいテディボーイ?」
「アイドルのミケの歌」
「悲しいテディボーイ、どういう意味?」
「悲しい不良少年」


山伏が、リアカーの前で立ち止まった。
「焼き芋を、一つ所望(しょもう)したい」
「かしこまりました」
山伏は、アキラの目を見ていた。
「おぬし、心の目を持っておるな?」
「はっ?」
「ただ者ではないと観た」


詩人の深澤が、歌いながらやって来た。
 わたしはわたしで 生きて来ました~~♪
 そし今 思っています 明日からも
 わたしはわたしで 生きて行こうと~~~ ♪


山伏が深澤に言った。
「なんだそれ、拓郎の替え歌じゃないかよ」
「そうです。ばれましかた?」
「誰でも知ってるよ」
山伏は去って行った。
「今日も、カップラーメン無いの?」
「ありません」
「な~~んだ!」
深澤は去って行った。
「こっちが、な~~んだ?だよ」
赤いジーンズの若い女性が、ロボットを連れてやって来た。
「福之助、こっちだよ。早く早く」
ロボットは、旧型のアルミの足の遅い偏平足ロボットだった。
「姉さん、早すぎますよ~~」
「あんたが遅すぎるの」
「最高速度、時速三キロなんですから~~」
「まったく、世話が焼けるねえ」
「世話が焼ける。はて?焼いて食べる物ですか?」
「調べて、登録しとけよ」
「はい」
「お腹が空いたから、焼き芋でも食べるか」
「お客さん、大きいのにしますか?」
「中くらいのをください」
「福之助、お参りに行くぞ」
「はい」
女性は、焼き芋を食べながら、金剛峯寺に入って行った。
「あの人、宇宙刑事アニーに似てたわねえ」
「宇宙刑事アニー?」
「紅(くれない)流のアニー」
よう子は、構えて見せた。
「これ!」
「かっこいいねえ~~」

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空戦・袖飛車 & 空戦・石田流



宇宙人の家

2021-03-22 16:36:02 | Weblog
宇宙人の家 SF傷だらけの天使


「うわ~~~あ!ここが、お家(うち)なの~~?」
「そうよ」
「お家(うち)が丸いの~~?」
「おもしろいでしょう」
「うわ~~~あ!」
あゆみは、きょろきょろしてドームハウスを見ていた。
「宇宙人の家みたいだわ~~」
「宇宙人の家?」
「鎌倉の幼稚園にあったの」
「ふ~~~ん、あゆみちゃんも行ってたの、その幼稚園?」
「ううん、行ってない」
「そうなんだ」
「いつも、幼稚園って何だろうって見てたの。宇宙人の家に入ってみたいなあって、見ていたの」
「そっか~~」
「幼稚園に行かないと、小学校に入れないの?」
「そんなことないわよ」
「よかった!」
アキラが言った。
「大丈夫だよ、あゆみちゃん。僕も、幼稚園には行ってないんだから」
「わたしと同んなじだわ~~」
「仲間だな。へへへ~~」
ショーケンが、よう子に言った。
「じゃあ、よう子ちゃん。よろしく頼みます」
「わかりました!」
「じゃあ、また明日」
「はい!」
三人は、それぞれのドームハウスに帰って行った。
・・
「うわ~~あ、公園もあるわ~~」
「いつも、ここで体操してるのよ」
「どんな体操?」
よう子は、シャドーボクシングをやって見せた。
「ふ~~~ん」
「やってみる?」
「こう?」
「そう!上手ねえ~~」
「これ楽しいわ!」
狸のポンが、少女に近付いて来た。
「わっ!犬だわ」
「これは、狸よ」
「たぬき?たぬきってなあに?」
「犬の仲間。山に棲んでるの」
「ふ~~~ん」
狸のポンは、シッポを振っていた。
「ポンちゃんって名前なの」
「ぽんちゃん!ぽんちゃん!」
あゆみが近づいたら逃げて行った。
「行っちゃったわ!」
「こわがりなの」
「また来ると、いいなあ~~」
あゆみは、ベンチに座った。
「お姉ちゃん、お腹空いちゃった」
「さっきの、ここで食べる?」
「うん」
よう子は、無花果とサンドイッチを出した。
「どっち食べる?」
「こっち」無花果を指さした。
「ポンちゃん、また来ないかな~~」
「ポンちゃんにあげるの?」
「うん、ちょっとだけ」
「山に帰ったら、もう来ないよ」
「なあんだ!」
あゆみは食べ始めた。
「おいしいわ、これ」
「よかったね~~」
「お姉ちゃん、狸の歌を歌おうよ」
「うん、歌おう!」


証 証 証城寺
証城寺の庭は
つ つ 月夜だ
みんな出て 来い来い来い
おいらの友だちゃ
ぽんぽこ ぽんの ぽん


負けるな 負けるな
和尚(おしょう)さんに 負けるな
来い 来い 来い
来い 来い 来い
みんな出て 来い来い来い

証城寺のたぬきばやし 歌:AIきりたん、AI謡子(歌詞付き)

「寒くなって来たわ。あゆみちゃん、帰りましょう!」
「うん!」
・・
「ここよ」
「うわ~~あ、宇宙人の家だわ!」
ハウスの上に、カラスが一羽止まっていた。
「カラスさんも、早く、お家に帰りなさ~~~い!」
カァーと言って、カラスは飛び去って行った。


そして
あゆみは、よう子の両親に喜んで迎えられた。
そして、夕食。
「うわ~~~、温っかいごはんだわ~~~!」
あゆみは、涙ぐんでいた。
「いつも、何を食べてたの?」
「パンかコンビニの弁当」
よう子も、よう子の父も、胸が熱くなり涙を浮かべていた。
「可哀想になあ~~」
よう子の母も泣いていた。
「はい、お茶。よく噛んで食べるんだよ」
「おかずも、温っかくて、おいしいわ~~!」
「うわあ、お茶も美味しいわ~~」
「いつも、何を飲んでたんだい?」
「ペットボトルの冷たいもの」
「そうかい、そうかい・・・」
ドームハウスの外は冷たい風が吹いていたが、中は温かい空気で満たされていた。

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ブライトン・ロック/甲斐バンド【甲斐よしひろコメント映像付き】

ポンコツのおまえがいいの

2021-03-22 09:08:10 | Weblog
ポンコツのおまえがいいの SF・傷だらけの天使


高野山は、朝から雨が降っていた。
ロボットが、傘も差さずに歩いていた。
「兄貴、昨日の時速三キロのロボットだよ」
「ほんとだ、あいつ何してるんだ?」
雷鳴が聞こえていた。雨は強くなって来た。
急に、ロボットの動きが止まった。
「あれ、どうしたんだ?」
「雨に濡れて、ショートしたんじゃないか?」
「そうかもね」
ロボットは倒れ込んだ。
「故障だな!」
「兄貴、助けに行こう!」
二人は、UFOカッパを着て、外に飛び出した。
「おい、福ちゃん、大丈夫か?」
ロボットは、まったく反応しなかった。
「駄目だ、兄貴」
「かついで連れて行こう」
「重くて駄目だ、兄貴」
「リアカー、持って来よう」
二人は、リアカーを持って来て、ロボットを載せ、運び、家の中に入れた。
「重いなあ、こいつ」
「邪魔だけど、このまま、ここに置いておこう」
「このまま、ここに?」
「そのうちに乾いたら、動き出すんじゃないか?」
「そうかもしれないね」
「携帯も、洗って乾かしておけば使えるようになるだろう」
「じゃあ、バッテリー、抜いておかないと」
「バッテリー?」
「ロボットのバッテリー」
「それ、どこにあんだ?」
「お腹か背中あたりにあるんじゃないの?」
アキラは、ロボットを調べた。
「背中に六角ボルトがあるよ、これかなあ?」
「たぶん、それじゃないか?」
「でも、道具が無いよ」
「そういえば、りゅうちゃん、バッテリーに詳しかったなあ」
「特許を持ってるとか言ってたねえ」
「知ってるかもしれないから、電話で聞いてみよう」
ショーケンは電話した。
「やっぱり、そうだ。でも、その前に、リセットボタンを押せって」
「どこにあるの?」
「お腹のヘソのところに穴があるらしい、そこをボールペンみたいなもので押せって」
アキラは、再度調べた。
「あったあった、ここだな」
割り箸で押し込んだ。
ロボットは目を開け、上体を起こした。
「ここは、どこですか?」
「ここは、あの世じゃないよ」
「ロボットに、あの世はありません」
「ここは、ドームハウスの中だよ。おまえ、外で倒れてたんだよ」
「発作です、ときどき起こすんです」
「発作?」
「プログラムのループです」
「それで倒れるんだ」
「はい」
ロボットは立ち上がった。
「助けていただいて、どうもありがとうございました」
「こんな雨の日に、傘も差さずに外に出るからだよ」
「そうですね」
「ポンコツの旧型なんだから、気を付けろよ」
「はい、気を付けます」
・・
「遅いねえ福之助は、バスの時刻表を見に行っただけなのに、何してるのかなあ?」
姉さんは、窓から外を見た。雨が降って、視界が真っ白になっていた。
「大雨じゃないか・・」
雷鳴が鳴り響いていた。
「また発作を起こしたかなあ?」
姉さんは、心配になって外に出た。
「福之助~~~!」
傘を持って歩き出した。
「福之助~~~!」
福之助が、変な恰好で歩いて来た。
「福之助~~~!」
「きょん姉さ~~ん!」
「どうしたんだい、その恰好は?」
「UFOカッパです。借りたんです」
「誰にだい?」
「昨日の石焼き芋屋の人です、ドームハウスに住んでいます」
「また、ドームハウスの人かい?」
「はい。発作を起こして倒れていたら、助けてもらったんです」
「やっぱり、そうだったのか」
「後で、お礼に行ってください」
「ああ、行くよ」
「最新型のロボットに変えてほうがいいんじゃないですか?」
「わたしは、おまえがいいの」
「変な人ですねえ」
「ポンコツのおまえがいいの」
「不思議ですねえ」
「人間は、理屈で動いてるんじゃないの」
「何で動いてるんですか?」
「心で動いてるの」
「理解できませんねえ~~」
「濡れちゃうから、早く帰ろう!帰ろう!」
近くの白い野菊の花が、雑草と一緒に雨に濡れていた。

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ひでちゃんが、公園で泣いてた・・

2021-03-21 17:59:03 | Weblog
SF 傷だらけの天使 ひでちゃんが、公園で泣いてた・・

「客もいなくなったし、俺たちも帰るか」
「今日の売り上げは、ざっと三万二千円」
「まあまあだな」
「やっぱり、他の場所のほうが良かったかしら?」
「よう子ちゃん、そんなことはないよ」
「あんまり欲張ると罰が当たるよ」
「そういうことだな」
「神様が、少しは休めって言ってんだと思うよ」
「そういうことだ。帰って休もう」
ショーケンは、よう子に一万円を渡した。
「こんなに、いいんですか?」
「いいんですよ。よう子ちゃんがいるから、楽しくやってられるんだよ」
「そういうことですねえ、兄貴」
「男二人じゃあ、まったく売れないと思うよ」
「そういうことになりますね~~」
「つまり、俺たちの女神様ってこと」
「そうです!」
よう子は、シャドーボクシングを始めた。
「じゃあ、明日から、また頑張りましょう!」
「アキラさん、ストレートはこれでいいの?」
「うん、いいよ」
一羽の雀が、石焼き芋機の上に止まって、焼き芋のカスを食べていた。
三人の背後から声がかかった。
「やあ、君たち。売れたかい?」
よこ子が答えた「まあまあ売れました」
「そえは良かった」
超能力者の犬丸勝だった。
「まだいたんですか?」
「ちょっとね、ログハウスを見てきたんだよ、友人に頼まれて」
「使うんですか?」「そうらしい」
転軸山公園には、三棟のログハウスがあった。
「四時から、九度山の真田屋敷で、四時から高野山忍者隊による、真田忍者のパフォーマンスがあるらしいんだ。それを見に行く。君たちも行かない?」
「わたしたちは、いいわ。帰って少し休みますので」
「あっ、そう」
彼は速足で去って行った。
「あの人も忍者みたいだねえ」
「以前は、高野山忍者隊・月光の超能力隊員だったんです」
「どうりで、目つきが鋭いんだ」
「ただ者じゃあないってことだな」
「百円って言ってました」
よう子は笑っていた。
「九度山と高野山って、何か関係あるの?」
「九度山の慈尊院と関係あるんです。弘法大師が、月に九回、母に会いに行ったところなんです」
「母に?」
「当時、高野山は女性は入ってはいけない場所だったんです。それで、九度山の慈尊院まで来ていたんです」
「だから、そこまで会いに?」
「はい、月に九回。だから九度山という名前がついたんです」
「なるほど~~」
中年の女性が、犬を連れて歩いていた。
犬は、よう子の前で足を止めた。よう子は、犬の頭を撫でた。犬は喜んでシッポを左右に振った。
女性と犬は去って行った。
「犬って不思議ねえ、人を見分けるのね」
「犬は、犬好きな人間と、犬嫌いな人間を見分けるんですよ、瞬時に」
「すごい能力ですねえ~~」
「猫も見分けますよ」
「動物って、凄いですねえ」
「人の心が読めるんです」
「アキラさんと同じだ」
「じゃあ、僕は動物に近いのかな?」
「そうかも知れませんねえ」
「じゃあ、今日は時間があるからカレーでも作ろうかな?」
「カレー、いいわねえ~~、わたしもそうしよう」
「じゃあ、肉がいるな、買いに行くか」


ドームハウスに着くと、程塚隆二が篠原英子を慰めていた。
ショーケンが隆二に声をかけた。
「どうしたの、りゅうちゃん?」
「ひでちゃんが、公園で泣いてたもので」
「また、いやなことがあったの?」
英子は、うつむいたままで黙っていた。涙を拭いていた。
隆二が英子の肩を、ポンと叩いた。
「ひでちゃん、トンカツでも食べに行こう!」
「トンカツですか?お金がありません」
「僕が、おごってあげるよ」
「じゃあ、お母さんも一緒にいいですか?」
「いいよ、いいよ。連れて来て」
「はい」
英子は自宅に帰って行った。そして、母の手を引いて、笑顔で戻って来た。
「君たちも一緒に行かないかい?」
アキラが「おごってくれるの?」と尋ねた。
「もちろんだよ」
「高野山にも、トンカツとかあるんだ?」
「ありますよ、トンカツ亭という美味しいところが」
カラスが、ひでちゃんのドームハウスの上で「行ってらっしゃい、行ってらっしゃい」と言うように鳴いていた。
英子は、そのカラスを見ていた。
「あっ、一平だわ」
アキラもカラスを見ていた。
「一平?」
「あのカラスの名前」
「分かるんだ?」
「鳴き声で分かるの、わたしの友達なの」
英子はカラスに手を振っていた。
「一平ちゃ~~ん、行ってくるからね~~~」


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空戦・袖飛車 & 空戦・石田流