「大丈夫か?」
「なんとか」
ところが 順子が遠慮がちに
「ちょっと 村田 おとなしすぎない?」
「えっ?」
「なんかイメージ違う」
「そうか?」
こうなると弱音は吐けない。
第2ラウンドだ。
今度は黒川が容赦なく襲ってきた。
リズムに乗って前後左右によく動く。
多少スタミナが回復しているがつかまえられない。
というか一発も当たらない。
回転の上がった左右のパンチを次々と食らう。
もう勝つことなど考える気にならなかった。
しのぐので目一杯。
しかしKOされるのは避けたかった。
そんなこっちの気持ちも黒川は読んでいたようだ。
容赦ない左フックが
いきなりコース変更
ボディにアッパーで飛んできた。
その後は覚えていない。
黒川の右のショートフックが俺のアゴ先を捉えたのだ。
見事にKO負け。
65戦51勝1敗13引分
黒川ではない。俺の高校時代の戦績である。
この1敗がこれである。
意識回復して
ダメージはそれほどでもない。
単純に鈍いだけかもしれない。若林系神経なのだろう。
汗だくだが すでに息も整っていた。
なぜか順子が機嫌悪い。
そこに及川の一言。
「おい、どうも裏話があったみたいだぞ」
さすがに鈍い俺も気がついた。
黒川は俺をぶっ飛ばすよう渋谷から依頼を受けていたのだ。
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