湘南空手道連盟OB会

74 リベンジ

まんまとしてやられた。

なかばフテくされて

「まあ良い勉強になったよ」

 すると及川ではなく順子が

「本気でやった?」

「やったよ」

「何かいつもと違う。本気出して負けんのが怖いんじゃないの?」

 ひどい、 というか すごい事を言う。

「タイム測った時と全然違うんだよ~」

 思い出した。 あの時は女に負けられるか、と必死だった。

 ボクシングにビビっていて体裁整えていただけか。

 自分で自分をごまかしていた。

順子は気がついていてカチンと来たのだ。

 及川は理解できていたようだ。

小声で

「もう一回やる元気あるか?」

「本当かよ。しかし確かにこれじゃ納得いかんな」

「空手なら勝てるか?」

及川が

「ここでやらないとマズいぞ(ジュンに愛想尽かされるぞ)」

目がマジだ

及川はナンパだがここ一番決めどころは知っていた。

島崎や後にあう佐藤君なみの洞察力を持っている

急に気合が入った。

「グローブは使いたくないな」

「わかった。話しつけるわ」
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