そして、縫いぐるみを処分して、三日が経っていた。
清美は仕事を終え、いつものように、
駅から家路へと歩いていた。
しかし、急に雨が降り出し、
傘を持っていない清美は、足早に家路に着いた。
清美は、濡れた体を拭き部屋へ入った……。
そして、目の前の光景に愕然とした。
それは捨てた筈の、叔母から貰った縫いぐるみだけが、
部屋の棚に座っていたからだ。
清美は恐る恐る、その縫いぐるみに近寄ると、
その縫いぐるみの四本の足は、
既に濡れ、泥塗れに成っていた。
「キャー……。」
思わず清美は叫んでいた。
『何故、捨てた筈のクマが、此処にいるの……。
まるで歩いて来たかの様に、足が泥で汚れている……。』
清美は恐ろしくなり、コンビニのゴミ箱に捨てに行った。
しかしそれも二、三日すると、清美の部屋へ戻って来た。
清美は、意地になり、今度は公園のゴミ籠に捨てたが……。
やはり、結果は同じだった。
何度捨てても、部屋に戻るのだ。
清美は、縫いぐるみを、燃やそうと思い立った。
そしてライターで、火を付けようしたのだ。
しかし、火を縫いぐるみに近付けると、
ライターは、ガスが無くなった様に、消えてしまった……。
それは、ライターを何度新品に変えても、結果は同じだった。
その時……。家の電話が鳴った。
清美はその電話に出たが、
それは、母親からの電話だった。
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