愛のむきだし
■あらすじ
幼い頃に母を亡くし、神父の父テツと二人暮しのユウ。理想の女性“マリア”に巡り合うことを夢見ながら、平和な日々を送っていた。しかしテツが妖艶な女サオリに溺れてから生活は一変。やがてサオリがテツのもとを去ると、テツはユウに毎日「懺悔」を強要するようになる。父との繋がりを保つために盗撮という罪作りに没入していくユウ。そんな彼はある日、罰ゲームで女装している最中に、ついに理想の女性ヨーコと巡り合うが……。
園子温の2008年の作品
ヒミズが初の園作品だったんで、いろいろ書いたようなつもりだったけど今見たら全然書いてないな。
とりあえずヒミズは面白くなかった。
そんな監督のこの作品「愛のむきだし」
自殺サークルの時からなんだか自分には合わない気がしてずっと敬遠していたこの監督の作品。
4時間の超大作。の割には、次々と新しい流れが出てくるので最後まで飽きずに見れます。
ヒミズに比べたらずっと面白かった。出し切ったエンターテイメントという意味で。
邦画ならではのテーマだったし。
それぞれの人物の気持ちにも、それなりに素直に入り込めて
まあ共感は出来ないとしても理解は出来る。
最初からずっと猥雑な単語や行動がならび、キリスト教の一家で、盗撮しはじめ、マリア様が現れ、新興宗教が出てきて。
みんながおかしい。おかしくなっていく。
ずっと理解しようとしている4時間の中で、だんだんと自分の気がふれてきそうな錯覚になるくらいなので、それなりに放つエネルギーはすごい。
手放しでは褒めたい作品では無いし、この作品が好きだ!ともならないけど
面白いし見ごたえはありました。
見たい人は見ていいと思う、というか見たい人はきっともっと早くに見てるな。(敬遠期間が長すぎた)
満島ひかりはドラマの「それでも、生きてゆく」で殺人加害者の妹役を演じた時も思ったけど、狂気に犯されてまくし立てたり号泣するのって似合うというか、上手いというか。すごい。
わたしはコイケ役(ゼロ教会)の安藤サクラ(安藤和津と奥田瑛二の子)の一癖が生きてるなぁと思ってて、そういえば最近よく見るなと思っていたんだけど、さっきwiki見てたら柄本佑(柄本明の息子)とこの3月に結婚してた。柄本佑もすごい出てるよね。何か、くっつくべき二人がくっついたような気もする(勝手に)
主役のユウ役の西島 隆弘はAAAのメンバーらしい。(この辺あんまり詳しくない)
でもなかなかミュージシャン・ダンサーとは思えない演技してたな。
しかし各々の欲望はあっても、愛はむき出しじゃなくない?
だから愛というフィルターにくるんだ欲望をむきだしすると、宗教に食い物にされますよ、と捉えてしまった。
変態も宗教は許してくれるし。
これを純愛というかは疑問だ。
そんな本能のままに生きることを崇高と呼ぶのなら、知性も進化もあったもんじゃないわ。
でもって「狂ったこの世で狂うなら気は確かだ」っていうシェイクスピアの言葉を思い出した。
2作品しか見てないんでこんなこと言える程度でもないけど、やっぱり園子温はそんなに好きにはなれないので、気持ちもう一山越えて冷たい熱帯魚を借りようかな。
出演
西島隆弘 (角田ユウ)
満島ひかり (ヨーコ)
安藤サクラ (コイケ)
尾上寛之
清水優
永岡佑
広澤草
玄覺悠子
中村麻美
渡辺真起子 (カオリ)
渡部篤郎 (テツ)