遅れてきた男。

 

あのね。ぼくおこってるんだ。

 

 

 

クリスマス会で『三匹のこぶた』の劇もがんばったし、

 

 

 

 

お歌もたくさん歌ったし、メロディオンだって、カスタネットだって。

 いっぱい、いっぱい練習もしたんだよ。

なのに・・・

 

 

 

 

 

なんでサンタさんはぼくのお家に来なかったの？

 

 

ぼく、ずっと待ってたんだよ。

 

 

 

 

みんなが聞くんだ。

 

 

 

 

 

 

『サンタさんにプレゼントもらった？』

 

 

『もらってないよ。バキュン！バキューン！』

 

 

おとうさんとおかあさんに

大きなサンダーバード２号を買ってもらったよ。

とってもうれしかったよ。

でも・・・サンタさんは来てくれなかったんだ。

 

 

 

 みんなが聞くんだ。

 

 

 

 

 

『サンタさんにプレゼントもらったかい？』

 

 

 

 

 

 

ぼくもちっちゃい時はサンタさんなんて知らなかったよ。

 

 

 

 

でも今はサンタさんがいるって知ってるんだ。

 

 

 

 

 みんなが聞くんだ。

 

 

 

 

 

『サンタさんにプレゼントもらった？』

 

 

 

 

去年は、おとうさんとおかあさんからからエルモをもらったんだ。

でも、サンタさんがいるなんて、まだ知らなかったんだ。

 

 

 

みんなが聞くんだ。

 

 

 

 

 

『サンタさんにプレゼントもらったかい？』

 

 

 

『もうやめてよ！ぼくのお家には来なかったってば！』

 

 

 

 

『サンタさんにプレゼントもらったかい？』

 

 

 

『もう、ぼく泣いちゃうよっ！』

 

 

 

そしてぼくは、泣きつかれて寝ちゃったんだ。

 

 

 そしたらね、

 

起きたときにお父さんがねニコニコしながら言ったんだ。

 

 

『さっきねピンポーンって鳴ったからお外に出たら

サンタさんが立ってったんだよ。それでね、・・・。』

 

 

 

 

 

『君、遅くなってごめんね。

世界中の子どもたちにプレゼントを配っているので遅くなってしまったんだ。

良い子から順番にまわるので、

いたずらっ子や野菜を食べない子は

最後になってしまうんだよ。

でも、こんなに遅くなってしまってごめんね。

来年はクリスマスに間に合うようにするよ。』

 

 

 

 

 

 

『本当？本当にサンタさんが来たの？』

『本当だよ。本当の本当にサンタさんが来たんだよ。 君によろしくってさ。』

 『それでね、これ君にってさ。』

『えっ？なに？』

 

 

 

 

 

『やったー！プレゼントだ！』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウワーッ！ぼくの大好きなマジンガーＺだ！』

 

 

 

サンタさん、プレゼントどうもありがとう。

会いたかったな。

今度のクリスマスはもっと早くぼくのお家に来てもらえるように

がんばってお野菜食べるよ。

 

 

 

でも一口だけだよ。