『あ！そうそう、KTごめんやで。
お母さん、洗濯モンしまってるときに、
手が滑ってアンタのパンツ落としてしまってん』
ウチでは、二階のベランダに洗濯モンを干す。
そこでモノを落とすと、隣の独身男性
Tさんの勝手口付近に真っ逆さまに
落ちてデザイアーなのだ。
勝手口と言っても、周辺には
何やらよ〜分からん植物が
自然に生えていて、普段は出入り
していないようだ。
それでも、人んチ、よりによって
独身男性んチに、私のパンツが
落ちたと思うと母を呪いたくなる。
いや、仮に、杉浦直樹みたいに
グッドルッキングガイならいい。
パンツを巡って、ライオンごきげんようの
後にやってたメロドラマみたいな展開が
期待できるかもしれない。
しかし、独身男性Tさんは、
なんつーか、未だにどこか
60年〜70年年代の風貌をしていて、
決して清々しさは無い。
もしかしたら、この世の者ではないかもしれない。
話しても、どこかトンチンカンな
返答をしてきそうな人と言えば、
何となくどんな人物かお分かりだろうか。
だから、願わくばパンツは
このまま気付かれず年月が経ち、
雨風にさらされ、土に還ってほしいのだ。
もしか見つけられてしまっても、
私のものではなく、母のものだと
思ってほしい。いや、父のパンツと
思ってほしい。（…いや、思えるかよ。）
何で、よりによってパンツなのだ。
乳バンドとはワケが違う。
そりゃ乳バンドも嫌だけど、
修学旅行などで、先生に
『乳バンドの忘れ物がありました』
または、
『パンツの忘れ物がありました』
と言われたら、まだ乳バンドの方が
名乗り出やすいでしょ？
頼むよ、頼む。
早くカリカリのパリパリに
経年劣化してくれよ。
ではでは、またね！
