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夜遅く、どうしてもシャンプーを買いたかったので近くのスーパーに行った。道はさすがに夜風があり「暑い」わけではないが、温い風が首筋を撫でて行く。いつも行くスーパーでなく、夜遅くまで営業している、やや遠くのスーパーだ。入り口入れば、冷房がよく効いていて、びっくりするくらい、涼しい。やれやれ、と思ったその時、「リーン、リーン」うれしかった、鈴虫(スズムシ)だ。入り口そばの花屋さんの虫かごのなかにいた。長い白いひげを、ひょうひょうと動かしている。エサは、お決まりのなすびを串に刺したもたの。夜遅いので人も減り、涼しい店内で一生懸命に鳴いている。昔、ガラスの大きなびんに入った鈴虫をもらったことがあったっけ。そうそう、あの大きな水色がかったガラスの瓶。スズムシには、毎日ナスをやって、小さな入れ物にかつお節をあげたよ。駄菓子屋さんでは、あの瓶の中に、酸っぱいスルメの串が入っていたっけ。「リーン、リーン」、小さな次の季節の予感。