海見える ホーム生え抜く 春の草 <殿>
戦争は 死語と信じて 花の雨 <殿>
傘透けて 滲む渋谷に 花の雨 <殿>
三味の音の 茶寮灯りて 夜のどか <殿>
春うらら Z世代の 会釈受く <殿>
千回の 刹那眺めし 桜散る <殿>
雨打たれ 崩れし花の 生命逝く <殿>
子の背なに 母子の名記す 春悲し <殿>
長閑なる 真昼匂ひて 少女撮る <殿>
ひとひらに 微熱残れり 花しぐれ <殿>
春暁に この世たゆたう 海眺む <殿>
生真面目な 無垢なる脚に 風光る <殿>
城跡の 宴偲びて 桜咲く <殿>
降る雨に 人なき校舎 春惜しむ <殿>
春眠の 夢追いかけて 路地の猫 <殿>
リボン付け 春惜しむ人 ホーム立つ <殿>
暮色なき 五時の駅舎の 日脚伸ぶ <殿>
濃姫の 生まれ尋ねし 胡蝶かな <殿>