575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

菊を置く桐箪笥消ゆ母の部屋  童子

2024年09月19日 | Weblog

菊句会いかがでしたでしょうか?お通夜、葬儀など悲しみの場で目にする菊ですが、介護の場面、菊料理、菊を育てる楽しみ、そして香りなどが詠まれました。

そんな中見事トップ賞に輝いたのは童子さんのこの秀句でした。

作者の童子さん。「リフォームせずにそのままにしてあった両親の部屋から、最後の荷物、母の桐箪笥を出しました。」とありました。

実家の片付け。母の部屋から重量のある立派な桐箪笥が運び出され、何とも言えない寂寥感に包まれたことでしょう。桐箪笥がなくなって広くなった部屋。そこに菊の花を飾る作者の気持ちを思うとせつないです。「桐箪笥消ゆ」という表現はなかなかできないと思いました。

 

皆さんのコメントです。

竹葉さん:お母さんが逝って寂しいとの言葉はなくて、すべてを語っているのがとても上手いと思います。

能登さん:飾る人が居なくなったのか。箪笥が消えたのか。何かが足りない寂寥感。

千香子さん:⑪,⑫と迷いましたが、

泉さん:いろいろ解釈に迷いました。 菊をお母さんの箪笥の上におくと菊の香りでいっぱいになってお母さん香りが消されたような気がした。

亜子さん:桐箪笥が運び出されて消えたというのはお母さまが亡くなったのか。。母を偲ぶ気持ちで菊を活けたのでしょう。心打たれた句。

      ★★★

今回亜子さんから私の無得点の句にアドバイスをいただきました。

    白菊や残されし文字そのままに

何が残されているのかわからない。一読してわかるように、作ったあとにもう一度今度は鑑賞する立場になってチェックすること。もう一人の自分が必要だということを教えてくださいました。

実は8月末に義母が亡くなって荷物の整理をしていたら、ハンドバックから手帳が出て来ました。そこには私たち夫婦に対しての感謝の言葉がつづられていました。その思いに引きずられて、日記のような私だけがわかる俳句となってしまいました。「もう一人の自分」は全くいませんでした。反省。精進します。麗子

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9月句会「菊」 結果発表!

2024年09月18日 | Weblog

2024年9月兼題「菊」

  1. 白菊のごとし介護の手をのばす  (遅足) 麗子・容子
  2. 白菊や咲きて寂しき庭となり(竹葉) 遅足・能登・容子・千香子・亜子・郁子
  3. 白菊やうねり祭壇飾る通夜 (須美) 晴代・童子・容子
  4. 白菊や残されし文字そのままに (麗子)
  5. 菊の墓「翼忘れじ」刻まれて  (亜子) 佐保子
  6. 菊日和早く来い来い菊日和 (佐保子) 泉
  7. 菊を摘む手際良きアジアの娘(むすめ)らは (容子)
  8. 菊食めば母の手料理弥彦山 (泉) 竹葉・晴代・佐保子・童子・千香子
  9. 菊の香や活けるそばから部屋満たし (晴代) 郁子・竹葉・麗子・能登・童子・泉
  10. 菊の香や万歩計つれ天守閣 (千香子) 須美
  11. 菊大輪翁は笑みてセピア色 (郁子) 晴代・須美・亜子
  12. 母晩年生きるよすがの福助菊 (能登) 郁子・遅足・佐保子・須美
  13. 菊を置く桐箪笥消ゆ母の部屋 (童子) 竹葉・麗子・遅足・能登・千香子・亜子・泉

 

自由題

  1. 狭き庭花野となりぬ日暮れ時 (佐保子) 郁子・童子・容子・須美
  2. 秋の児や一姫二太郎三茄子 (遅足) 麗子・佐保子
  3. 宝箱無事米になれ稔り田  (須美) 泉
  4. 届くのは勝手口から今年米 (童子) 郁子・佐保子・須美・亜子
  5. 何かせむ我生まれし日は獺祭忌 (容子) 麗子・能登・千香子
  6. 衰えぬ火勢さながら残暑かな (亜子) 竹葉・晴代・泉
  7. 葡萄食むXYの数はなに (晴代) 千香子
  8. 台風や心乱されふらふらと (泉) 竹葉・晴代
  9. 薬売り通ひし街や柿たわわ (千香子) 遅足・能登・童子
  10. 高架下の壁打ちの音夕茜 (郁子) 麗子・遅足・容子
  11. 逝き際の静かな化粧櫨(はぜ)紅葉 (竹葉) 郁子・遅足・能登・容子・千香子・須美・泉
  12. 吾亦紅せめてもの紅母遺影 (能登) 竹葉・童子・亜子
  13. 秋暑し遺品整理の手が止まり (麗子) 晴代・佐保子・亜子

 

 

 トップ賞は

  兼題「菊」  童子さん

  自由題   竹葉さん  

 おめでとうございます!! 

 

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菊句会の投句が揃いました。

2024年09月17日 | Weblog

猛暑衰えぬ中投句が揃いました。明日の結果をお楽しみに!!

2024年9月兼題「菊」

①      白菊のごとし介護の手をのばす  

②      白菊や咲きて寂しき庭となり 

③      白菊やうねり祭壇飾る通夜 

④      白菊や残されし文字そのままに 

⑤      菊の墓「翼忘れじ」刻まれて  

⑥      菊日和早く来い来い菊日和 

⑦      菊を摘む手際良きアジアの娘(むすめ)らは 

⑧      菊食めば母の手料理弥彦山 

⑨      菊の香や活けるそばから部屋満たし 

⑩      菊の香や万歩計つれ天守閣 

⑪      菊大輪翁は笑みてセピア色 

⑫      母晩年生きるよすがの福助菊 

⑬      菊を置く桐箪笥消ゆ母の部屋 

自由題

①      狭き庭花野となりぬ日暮れ時 

②      秋の児や一姫二太郎三茄子 

③      宝箱無事米になれ稔り田  

④      届くのは勝手口から今年米 

⑤      何かせむ我生まれし日は獺祭忌 

⑥      衰へぬ火勢さながら残暑かな 

⑦      葡萄食むXYの数はなに 

⑧      台風や心乱されふらふらと 

⑨      薬売り通ひし街や柿たわわ 

⑩      高架下の壁打ちの音夕茜 

⑪      逝き際の静かな化粧櫨(はぜ)紅葉 

⑫      吾亦紅せめてもの紅母遺影 

⑬      秋暑し遺品整理の手が止まり 

 

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平和とは何と聞きし子原爆忌  容子

2024年09月13日 | Weblog

575の会では8月の投句に必ず戦争の句があがります。決して風化させてはいけないという思い、平和への誓いをあらたにする機会になります。

ところがここ近年の惨状はどうでしょう。

ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの戦い・・終わりの見えない惨状を見るにつけ、いつまで愚かなことを繰り返すのかと歯噛みしたくなります。何も生まない戦争を、なぜやめられぬ?なぜ突き進む?   未来に負の遺産しか残せないのでしょうか。

選者のコメントです。

麗子さん:原爆のことを子供たちに知って欲しい。平和を尊ぶ作者の願いが感じられます。

千香子さん:平和の名のもとに逆のことがおこなわれていたり、平和とは何でしょう

晴代さん:どうお答えになったのでしょうか。

 

 見ましたか人影の石夏の雲  千香子

須美さん:「見ましたか」がぐっときた。

亜子さん:原爆が落とされる前には確かにそこに人が存在したという影。「見ましたか」と問いかけがあるところに衝撃を受けました。問わずにはいられない気持ち。

泉さん:お盆らしさがでている。

郁子:原爆朗読劇「夏の雲は忘れない」 語り継がなくてはと思います。

 

 壕の中帰らぬ人に終戦忌  亜子

千香子さん:8月には詠みたい俳句です

 

 

とりわけ暑い夏でした。皆、自分の身を保つだけでいっぱいだったかもしれません。ただ大切な分岐点に

あきらめるということが取り返しのつかない道の選択にならないようもう一度気を引き締めなくてはなりません。   郁子

 

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茄子の馬父颯爽と帰り来ん  麗子

2024年09月12日 | Weblog

この夏は父の初盆でした。生前、父はお盆の準備として茄子や瓜に足をつけて精霊迎えをしていました。初盆の句を作りたいと思った時、歳時記に「茄子の馬」という季語を見つけました。傍題に「茄子の牛」「瓜の馬」「瓜の牛」という季語もありました。一説にはあの世から来る時は、馬に乗って少しでも早く、帰る時はゆっくりと牛でという思いがあるそうです。子供の頃からお盆には必ずこの精霊馬が仏壇の前にあったので、ご先祖様が帰って来ると言われ、玄関先で迎え火も炊いていました。

かたくなにそういう風習を大切にする父だったので、茄子の馬に乗って一目散に家に帰って来そうな気がしました。そういう思いで作りました。

晴代さん:颯爽と騎乗よりの笑顔が想像できます。

郁子さん:亡くなった方があの世とこの世を行き来するお盆の茄子ときゅうりの馬。お父さまの紳士ぶりとそのキャラを愛す作者の気持ちが「颯爽と帰り来ん」にこめられている。

亜子さん:お盆に亡きお父さんが茄子の馬に乗って帰って来る。こういう心境で父をしのぶ気持ちがうらやましい。

 

もう一句お盆の句です。

    鬼灯の燃える朱色や君を呼ぶ  竹葉

二年前にお連れ合いを亡くされた竹葉さんのコメントです。

「1年に1度だけ、立派な実をいっぱい付けた鬼灯がお店で見るととてもほしくてたまらなくなるのですが、今年はもうすぐ3回忌なのでやっと大きくて25個も実を付けた木を買ってお供え出来ました。高い果物よりも存在感があるのはその朱色ですね。」

容子さん:どなたの句か分かる気がしますが、よくはずれます。若々しい思いが伝わります。

須美さん:亡くなってしまった君にお盆に帰ってきて欲しい強い気持ちが伝わる。燃える朱色が好き。

泉さん:なんだかぞくぞくする。

 

           ★★★

お盆には朱色の鬼灯を灯りと思って、その灯りを目指して亡き人が帰って来ると聞いたことがあります。

いずれにしても亡き人がお盆に帰って来ると思うだけでなぜか心が救われます。麗子

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秋立つや夫の主治医の転勤す  佐保子 

2024年09月06日 | Weblog

何に秋の到来を感じるでしょうか。人それぞれと思います。

風であったり雲であったり、草花や虫、水や何かに触れたときの感触であるかもしれません。

思いがけないものや出来事が季語と合わさり、相乗効果で共感を呼び、一句の味わいがぐっと深まります。この句もたくさんの票を集めました。

 

竹葉さん:良い知らせでないけれど暑さが終わりこれからの季節に期待する感じの「秋立つ」の季語がよく合ってると思いました。

容子さん:秋立つや夫の主治医の転勤す→私の経験では淡々としたものでした。手術など経ていると思いも深いでしょうね。 

千香子さん:転勤に不安な気持ちがよく出ていると思いました 

童子さん:主治医が変わるのはとても不安なもの。秋立つやにその心情が上手く表されている。

須美さん:夫の主治医の転勤に伴う不安、心細さが伝わる。

 

詠み手はさらりと「転勤す」と言っているだけなのに、味わう側は作者の心情や背景など多くのものを想像させられます。

季節も春でなく、夏でなく、冬でもない。なんとなく物寂しくなる秋。

「秋立つ」がピタリとはまる良句と思いました。

 

日本列島の上空、大陸の方からようやく秋の空気の存在が増してきました。

貴重な季節になりそうな秋 気持ちを切り替えて楽しみたいものです。  郁子

 

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ややこしき話のあとや胡瓜もみ  晴代

2024年09月05日 | Weblog

自由題で圧巻のトップ賞だった晴代さんの句です。

どんなややこしい話があったのでしょう?悶々とした気持ちをキュウリの塩もみをしながら反芻している様子が想像できました。

能登さん:手慣れた作業がモヤモヤを解決。しかし、胡瓜もみは、意外、新鮮。

竹葉さん:胡瓜もみの「もみ」がややこしい話になんか呼応してる感じでいいと思いました。

容子さん:対比が素晴らしいです。

郁子さん:俳句のお手本のようです。何か気持ちを整理したり、無心になれる台所仕事はいろいろあると思いますが「きゅうりもみ!」それがあったね!と思わせる秀句と思います。

童子さん:ややこしき話…なんなのか。「胡瓜揉み」と、気持ちをサッパリと切り替えている様子、または切り替えようとしているのが面白い。胡瓜が良い。茄子じゃダメ。

泉さん:ややこしい話を聞いて心を発散させたい、その時のきゅうりもみは最高。

    ★★★

この夏、何度も酢の物に、ポテトサラダ用にと胡瓜の塩もみをしました。薄くスライスした胡瓜に塩をしてしばらくおいてきゅ~と絞って水分を出し。少し歯ごたえが残るくらいが私は好きです。さっぱりした胡瓜もみ。心は乱れていても手作業に集中すると心が整っていくようです。それは一種の「カジュアル瞑想」かも知れません。

それを俳句にされた作者はやっぱり達人だと思いました。ややこしい話は前進したでしょうか?

ようやく朝だけはクーラーつけずに過ごせるようになりました。でもまだまだ日中の猛暑は続きます。今夜も胡瓜しましょうか。麗子

 

 

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黒岳を先行く君や霧の中  竹葉

2024年08月30日 | Weblog

今日は寄せられたコメントとともに四句ご紹介します。

まずは登山の句

   黒岳を先行く君や霧の中  竹葉

麗子さん:先を行くパートナーが登山の斜面の霧の中にいる。信頼しながらその後ろを行く作者の姿が想像できました。黒岳という固有名詞がなぜかぴったり来ると思いました。

郁子:登山には縁遠いのですが、○○岳とあると雲海に包まれた頂を思い浮かべ憧れます。君とは誰でしょうか。物語を感じます。

 

   トンネルを超えて全ては霧の中  麗子

作者が出会った印象的な霧の実景。佐保子さんと亜子さんが採られました。お父さまの納骨に向かわれている車の中での体験だそうです。

亜子さん:「超えて」の意味がよくわからないが、平坦ではないトンネルを超えて行く。臨場感のある霧だと思う。

 

   眼前に蔵王現る霧晴れて  亜子

麗子さん:蔵王は確かに霧が深く、私が訪れた時は霧の中でまったくその姿は見えませんでした。霧が晴れると眼前には蔵王が現れる。ぜひ見てみたい光景でした。

晴代さん:蔵王が見えたときは心も晴れたでしょうね。

 

  霧晴れて蕾うっすりほころびぬ  晴代

うっすりという表現の評価が分かれるところかもしれませんが

細かい水滴をまとい、息を吹き返したような生命の兆しを見せる名もない蕾がアップで浮かび上がるように思いました。 

   

台風10号が雨をもたらし、この熱気を吹き飛ばしてくれないかと不遜なこと思ってしまいましたが反省します。

これ以上被害が広がらないよう祈るばかりです。  郁子

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咳続く肺に小さな霧ありて  容子

2024年08月29日 | Weblog

今月の兼題は「霧」でした。空気中の水分が冷えて凝結し細かな水滴となったもの。秋の晴れた日や風のない日に多く出現する自然現象です。今回の兼題ではこの自然の霧ではなく霧を比喩にした句もありました。季語を比喩に使わない方がいいという考え方もあるそうですが俳句は自由だから、そういう句があってもいいのかも知れません。

容子さんのこの霧は季語ではなく、あまりうれしくないレントゲンの影でしょう。肺の中の霧状のもの。ちょっと心配です。

郁子さん:画像診断の肺の影ですね。不安な気持ちに通じる霧ですね。

童子さん:霧を臓器の中に持ってくるなんて!

須美さん:実感!あれは肺に小さな霧があったんだと。

 

     病む夫の半ば霧の中に住む  佐保子

こちらも実際の霧の中ではなく、なんだかぼんやりした世界に夫君がおられる感じでしょうか?少し遠い世界に行ってしまったような。。。

容子さん:「半ば」が良いです。「病む」と言わなくても十分かもしれません(例えば「喰む」とか)

童子さん:霧の中に住むという表現に作者の心情がわかる気がします。

須美さん:夫の病状がよく伝わる。「半ば」と「霧の中に住む」が私に響いた。

 

     農薬を霧のごと吐きドローンゆく  童子

こちらはまさかの農薬散布。今時の農家の実景を見ないとでなかなか作れませんね。

作者の童子さんのコメントです。

「ドローンでのお隣りさんの田んぼへの農薬散布を目の当たりにしました。ものの数分で散布完了!ドローンは次の現場へさっさととっとと言っちゃいました!仕事早っ。昔は2人体制で時間もかかりました。」

 

容子さん:ドローンの農薬散布に着眼されたところが面白いです。動きが感じられます。

  いかがでしたでしょうか?

季語を比喩に使った句はなぜか選者が重複していました。私がこの三句を選句しなかったのはやはり季語としての霧を詠みたかったからかもしれません。また10月の対面句会でこのことを話題にできたらと思います。

台風が心配です。皆さまどうぞご安全に。     麗子

 

 

 

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朝霧の中へ漕ぎ出す車椅子  遅足

2024年08月23日 | Weblog

 

「霧」に車椅子を取り合わせ、多くの方の心をとらえました。おひとりなのか、介添えの方とふたりでなのか、霧の中に車椅子がシルエットとなって浮かびあがります。

 能登さん:映画の1シーンのよう、きれい。

 容子さん:不安感よりポジティブな感じがしました。「漕ぐ」がステキな表現だなと思ったら、ディフォルトなんですね。勉強になりました。

 千香子さん:漕ぎ出すという言い方がとても魅力的です

 童子さん:元気を貰える句

私もいただきました。

母を乗せて車椅子を押す機会が増えました。車輪のサイドストッパーをはずし、まわりを確認して両の手にぐっとちからを込めて踏み出す・・儀式めいた一連の動き。この句からは前向きな意志を感じました。 朝という時間帯と漕ぎ出すというワードが効いています。

 

 

 能登漁村別れ促す霧笛かな  能登

 

霧笛とは、濃霧などで視界不良のときに、衝突事故を防ぐために船舶や灯台などが鳴らす汽笛をいいます。

 晴代さん:霧笛 なんてなつかしい語彙でしょう。何か月も帰村しないのでしょうね。

 千香子さん:促すに状況がよく出ていると思いました。

 亜子さん:単なる出航の霧笛なのか、やはり能登の地震のことを思い出すと、心ならずも能登を離れざるを得ない別れのシーンなのか。霧笛を聞いているとさまざまなことが思い出される。

 泉さん:お正月の地震以来、復興がなかなかすすまない。漁師さん達も船を出せない。

 

海岸線が隆起してしまった能登の漁港。水産業を生業としている漁師さんたちの気持ちを思うとやりきれません。もの悲しい霧笛の音が聞こえてくるようです。郁子

 

    

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山寺の鐘の音霧と広がれり  郁子

2024年08月22日 | Weblog

霧句会いかがでしたでしょうか?霧だけにつかみどころがなく五里霧中の感も。。。猛暑の中、体感的にはなかなか霧を感じることは難しかったかも知れません。皆さん霧の思い出、あるいは霧そのものではなく霧にたとえた句もありました。

見事トップ賞を射止めたのは郁子さんと遅足さんでした。

郁子さんのこの句はご主人の故郷、京都府福知山の実景だそうです。福知山は盆地だから霧がよく発生するそうです。養泉寺というお寺の鐘の音とともに霧が広がっていく様子を詠まれました。

竹葉さん:「霧と」の「と」は霧となってと言うことでしょうか。鐘の音がぼわぁんと霧の中を広がっていく感じがよく出てると思いました。

晴代さん:“音と霧が広がる”が霧の深さを感じさせます。

亜子さん:◎の句。リズムもよく俳句らしい俳句。晴れた日の鐘の音もいいが、霧の中じんわりと広がって行く鐘の音。余韻があって心に染みる。

須美さん:鐘の音が霧と広がるがとても美しい。

泉さん:高野山の大門に夕方に行った時、霧がでてきて あっというまに山の下の景色が見えなくなり霧につつまれたことを思い出しました。

 

           ★★★

山深い日本の原風景のような一句。視覚、聴覚に訴える秀句だと思いました。ちなみに福知山は霧のせいか、冬も乾燥せずお肌もしっとり潤うそうです。霧の福知山いつか訪れたいです。明日はもうひとつのトップ賞遅足さんの句をご紹介します。      麗子

 

 

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8月句会「霧」 結果発表!

2024年08月21日 | Weblog

2024年8月兼題「霧」

  1. 能登漁村別れ促す霧笛かな (能登) 晴代 遅足 千香子 亜子 泉
  2. 朝霧やせせらぎの径上高地 (須美) 佐保子 千香子 泉
  3. 朝霧の中へ漕ぎ出す車椅子 (遅足) 竹葉 能登 容子 千香子 童子 郁子
  4. 朝霧や川を歩けば服濡れし (泉)
  5. 朝霧や駆け来し犬は早太郎 (千香子) 竹葉 遅足
  6. 山寺の鐘の音霧と広がれり (郁子) 竹葉 麗子 晴代 須美 亜子 泉
  7. 霧晴れて蕾うっすりほころびぬ (晴代)
  8. 黒岳を先行く君や霧の中 (竹葉) 麗子 郁子
  9. トンネルを超えて全ては霧の中 (麗子) 佐保子 亜子
  10. 眼前に蔵王現る霧晴れて  (亜子) 麗子 晴代
  11. 咳続く肺に小さな霧ありて (容子) 能登 童子 須美 郁子 
  12. 病む夫の半ば霧の中に住む (佐保子) 能登 容子 須美 童子
  13. 農薬を霧のごと吐きドローンゆく (童子) 容子 遅足 佐保子

 

 

自由題

  1. パリ五輪頂きめざし夏の空 (泉) 麗子
  2. 今生はあきらめて夏の大三角 (童子) 亜子
  3. 平和とは何と聞きし子原爆忌 (容子) 麗子 佐保子 千香子  晴代
  4. 見ましたか人影の石夏の雲 (千香子) 郁子 須美 亜子 泉
  5. 壕の中帰らぬ人に終戦忌 (亜子)能登 千香子
  6. 梨剥くや汁したたりて子らの待つ (須美)
  7. トマト喰む急死の友の菜園に (郁子) 竹葉 佐保子 童子
  8. ややこしき話のあとや胡瓜もみ (晴代) 竹葉 麗子 能登 容子 遅足 童子 郁子 泉
  9. 秋立つや夫の主治医の転勤す (佐保子) 竹葉 能 登容子 遅足 千香子 童子 須美 
  10. 邯鄲の鳴き続けたり結核院 (能登) 遅足
  11. 茄子の馬父颯爽と帰り来ん (麗子) 晴代 郁子 亜子
  12. 鬼灯の燃える朱色や君を呼ぶ(竹葉) 容子 晴代 佐保子 須美 泉

 

 トップ賞は

  兼題  遅足さん  郁子

  自由題  晴代さん   

  おめでとうございます

 

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「霧」句会の投句が揃いました。

2024年08月20日 | Weblog

ようやく雨が降り今朝は涼しくなりました。霧は出ていませんが俳句の中でたくさんの霧に会えました。明日の結果をお楽しみに!

兼題「霧」

①      能登漁村別れ促す霧笛かな 

②      朝霧やせせらぎの径上高地 

③      朝霧の中へ漕ぎ出す車椅子 

④      朝霧や川を歩けば服濡れし 

⑤      朝霧や駆け来し犬は早太郎 

⑥      山寺の鐘の音霧と広がれり 

⑦      霧晴れて蕾うっすりほころびぬ 

⑧      黒岳を先行く君や霧の中 

⑨      トンネルを超えて全ては霧の中 

⑩      眼前に蔵王現る霧晴れて  

⑪      咳続く肺に小さな霧ありて 

⑫      病む夫の半ば霧の中に住む 

⑬      農薬を霧のごと吐きドローンゆく 

 

自由題

①      パリ五輪頂きめざし夏の空 

②      今生はあきらめて夏の大三角 

③      平和とは何と聞きし子原爆忌 

④      見ましたか人影の石夏の雲 

⑤      壕の中帰らぬ人に終戦忌

⑥      梨剥くや汁したたりて子らの待つ 

⑦      トマト喰む急死の友の菜園に 

⑧      ややこしき話のあとや胡瓜もみ 

⑨      秋立つや夫の主治医の転勤す 

⑩      邯鄲の鳴き続けたり結核院 

⑪      茄子の馬父颯爽と帰り来ん 

⑫      鬼灯の燃える朱色や君を呼ぶ

 

 

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園庭のすもも食む食む子等笑顔  須美

2024年08月16日 | Weblog

「すももも桃も桃のうち」という早口言葉がありますが、すももは桃とは違い、バラ科サクラ属の果実だそうです。皮もつるりとしてまるごとかぶりつくことができ、少し酸っぱいですね。作者は幼稚園のお迎えでちょうどおやつの時間に行き合ったのかもしれません。子どもたちの笑顔に癒されたことでしょう。はむはむという音の響きとリズムが効いていてここが魅力と思いました。

竹葉さん:子等がすももを食べる様子を「食む食む」とは可愛くていいですね。

泉さん:食む食むというのが可愛いらしい。

 幼い子が口いっぱい食べ物をほおばる姿。これこそあるべき平和の姿だと思います。

 

 宿題の観察日記オクラです  郁子

須美さん:朝顔とか向日葵ではなくオクラというのがなんとも可愛く面白い

安易すぎた感もありますが、これは実景です。ご近所さんがプラスチックの観察鉢に今年はオクラの苗を植えました。どうせなら収穫したいねという家族からのアドバイスがあったかどうか・・意外に立派な薄黄色の花を咲かせたあと、すぐに散り中心の尖った部分を上にして実が太っていくのですね。そのお宅の小学生の姉妹とも仲良くなり、私も童心に返って見守りました。家族の人数分4つのオクラを宝石でも扱うように摘む女の子。食卓での笑顔や語らいを想像して私も幸福のお相伴をさせていただきました。

  

お盆が終わると宿題の残りが気になりだします。今月の兼題「霧」の投句も揃ったようです。  郁子

 

 

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この星に争い止まず梅雨に入る  亜子

2024年08月15日 | Weblog

今日は79回目の終戦の日です。理不尽に310万人ものかけがえのない命が奪われた戦争。人の記憶はおよそ80年で失われると言われますので戦争の記憶を持つ人も数少なくなって来ました。二度と戦争をしないと誓った日本ですが、今も地球上には争いが絶えません。先の見えないウクライナ、ガザ、もろもろの内戦。一体いつになったら人間は愚かな争いをやめることができるのでしょう。。。憎しみしか生み出さないのに。。。

作者の亜子さんは毎年8月には平和を願って戦争の句を詠まれます。作者の切実な思いがこの句からも伺えます。

能登さん:酷い現実が止まらぬ地域あり、日常がそのままに過ぐる地域あり。

童子さん:「梅雨に入る」を、また別の季語でも色々と表現出来そう。秀逸と感じます。

       ★★★

確かに他の季語でも句が成り立ちそうですが、梅雨時の重苦しい感じが言いようのない無力感や憂鬱感を感じさせてくれるような気もします。

今日正午には黙とういたします。麗子

 

 

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