鳥のさえずりに注目するのではなく、鵯が去って全ての音がなくなったと感じるのが新鮮に思えました。静寂が一層際立った感じでしょうか?
能登さん:鵯の姦しさとその後の静寂との対比。うまい。
晴代さん:夕方鵯は群れてやかましく合唱しサッと一斉に飛び立ちます。
音が消えたとの表現がとてもよく言い表していると思いました。
亜子さんからは「や」と「けり」と切れ字が重なっているので「消えにける」と連体形で止める方がいいのでは?とのこと。全ての音が消えて静寂が訪れた感じはよく出ていると仰っていました。
かささぎの群れ飛ぶ白さDMZ 千香子
恥ずかしながらDMZという言葉を知りませんでした。
38度線の非武装地帯のことをDMZ(DeMilitarized Zone)ということのですね。複雑な国境線。かささぎはそんなこと関係なく群れとなって飛んで行きます。白さには鳥の清々しさと人間の寂しさが感じられました。
作者の千香子さんがこの句が出来た経緯を教えて下さいました。
「ソウルに出向していた義兄のところを拠点に 韓国内を旅行しました 。日帰りの38度線 見学ツアーにも行きました。
38度線を越えたこと 帰らざる河を眺めたことよりも、印象に残ったのは かささぎが白い 胸を空いっぱい 大きく 広げ 飛ぶ様でした 。その 白の 見事だったこと。 非武装地帯ゆえ 自然が 手付かずに残され かささぎの安住の地になっていました 。
かささぎは見たことはなかったのですが、親近感のある鳥でした。百人一首の 「 かささぎの歌」は よく遊んだこともあっていつでもでてきます。意味も分からずの 丸暗記でしたので、 今回 調べてみたら 天の川のことだと知り、 橋に霜が白く降りていると思っていたら 霜は 星のことで星が白く光っていると 「あらまあ」です。 俳句を作っていなかったら 気が気付けないことでした。」
俳句を作ることにより色んな知識が増えますね。生きとし生けるものに敏感になります。
千香子さんの言われたかささぎの一首は大伴家持の
「かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける」
「かささぎの橋」というのは七夕の夜、たくさんのかささぎが天の川に翼を広げて織姫の元に彦星が渡って行けるようにしたということなのですね。これまた勉強になりました。ありがとうございました。ちなみにかささぎは鵲と書きます。これまたなかなか読めませんね。 麗子