575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

明けましておめでとうございます。 遅足

2025年01月05日 | Weblog

明けましておめでとうございます。

 今年もゆったりとお正月を過ごしています。

 お昼過ぎにようやく初詣に。と言っても一人ではでかけることはできません。

 帰省中の息子に車椅子を押してもらって出発です。

ひげを剃らずにマスクで顔を隠して。ゆったりではなく、自堕落ですね。

わが地元のお宮さんも、年々初詣客が増えているようです。

甘酒をいただいて帰宅。いいお参りでした。

 年賀状をいただいてお返事がしていない方があります。

この場をお借りしてお詫びいたします。

申し訳ございません。ほんとうはここで一句詠めるといいんですが、、、。

           遅足

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新年の幕開け  麗子

2025年01月01日 | Weblog

明けましておめでとうございます。新しい年が始まりました。テレビ画面の初日の出を撮影しました。今年が明るく輝く一年でありますように。また皆様の色んな俳句にお目にかかれるのを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いします。

初句会のお題は「初」です。

        初ブログ穏やかなこと祈りけり  麗子

 

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2024年 575の会

2024年12月30日 | Weblog

今年も残すところ二日となりました。皆さまにとってどんな一年だったでしょうか。この一年の兼題を振り返り、トップ賞の句を拾ってみました。

兼題と自由題合わせて掲載しています。

 

〇1月 「白菜」

白菜や外葉剥がせば白光る (須美)

 父の文字小さくなりぬ年賀状 (麗子)

 能登地震つぶれし軒の注連飾り (能登)

〇2月 「春の夢」

父宛の母の恋文春の夢 (亜子)

辺野古の湾を群れるジュゴン春の夢 (千香子)

 蝋梅は咲いたかと聞く父の指 (麗子)

3月 「風船」

頬ばかりふくらむ吾子の紙風船 (郁子)

 春愁を蹴散らす鍵盤ガーシュイン (容子)

 下萌や平城宮の都跡 (麗子)

〇4月 「春の花」

子を乗せて急ぐ自転車花の朝 (麗子)

 ビル街を墨絵仕立てに春の雨 (晴代)

 春星や入り江の波の子守歌 (郁子)

 納骨の日取り決まりて落花かな (麗子)

〇5月 「薫風」

薫風や千の石段登りきて (亜子)

 ピアノ譜に踊るひかりや夏木立 (郁子)

〇6月兼題 「短夜」「明易し」

湯けむりやさよなら会の明け易し (千香子)

 青嵐突っきってゆくベビーカー (晴代)

〇7月 「熱帯魚」

美ら海に砲弾と船熱帯魚 (泉)

 堰を切る言葉はある日の夕立 (容子)

〇8月 「霧」

朝霧の中へ漕ぎ出す車椅子 (遅足)

山寺の鐘の音霧と広がれり (郁子)

 ややこしき話のあとや胡瓜もみ (晴代)

〇9月 「菊」

菊を置く桐箪笥消ゆ母の部屋 (童子)

 逝き際の静かな化粧櫨(はぜ)紅葉 (竹葉)

〇10月 「里芋」

里芋や育児日記に足の型 (千香子)

 隣家より嬰の声して良夜かな (亜子)

〇11月 「秋の鳥」

鶺鴒のリズムよき尾の石づたい (晴代)

 瀬田川に浮くは言の葉月明り (郁子)

 青みかん昼餉の畦にころげでり (晴代)

〇12月 「冬の空」

古書店の消えゆく街や冬の空 (亜子)

 包装紙たたむ手際の師走かな  (亜子)

 だんまりのひと日となりぬ枇杷の花 (晴代)

 しぐるるや人待ち顔の赤ポスト (郁子)

 

年間トップ賞は

兼題のみ 1位 亜子さん 千香子さん(3句入賞)

兼題+自由題 1位 晴代さん 郁子 (6句) 

 2位 亜子さん 麗子さん(5句)  3位 千香子さん(3句) となりました。

獲得総数となるとまた違ってくると思いますが、あらためて一年を見直すとまた違った気づきや感動があります。

来年も素敵な句に出会えますように。皆さま♡どうぞよいお年を    郁子

   

 

 

 

 

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冬空やつるっとむけてゆで卵  晴代

2024年12月27日 | Weblog

 俳句つくりの方法である「二物衝撃」という手法が生かされた魅力的な一句だと思います。なーんて、実は最近覚えたての作句法の名称です(笑)

季語をとことん観察して新しい表現や発見を試みる「一物仕立て」に対し、いろいろな事物と取り合わせて妙味を引き出すことができる「二物衝撃」。衝撃という言葉が示すように意外な取り合わせがうまくはまると新鮮な驚きと共感が生まれます。冬の空とは縁がないかに思う(つるっとむけたゆで卵)はまさに衝撃的でした。作者の意図は別の所かもしれませんが、雲一つない冬の空。天球の丸さ。爽快感。五感を刺激され趣きが増す気がしました。佐保子さんも採っておられます。

 

 冬空へぽっとはきだす銀の玉  遅足

 実はあまり読み取れなかったのですが、「ぽっ」が気に入りいただきました。感性の鋭さ、神様の視点も感じます。

ぽっと出た銀の玉は何でしょう。普通は白い息でしょうね。ひょっとしたら冬の妖精がもたらす清らかな雪。銀色ならば雪の結晶とか。想像は自由ですね。

亜子さんが、銀の玉は銀杏かしら?とおっしゃったとか。この想像も自由で素敵です。俳句は詠み手と読み手の相乗効果で大きく広がっていきます。来年も楽しく自由に想像の翼をひろげていきたいです。今年一年お世話になりました。  郁子

 

  この一年間、挑戦した兼題とトップ賞をまとめています。乞うご期待!   

 

 

 

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ベッドから眺む四角い冬の空  麗子

2024年12月26日 | Weblog

11月下旬に口腔外科に一泊入院。歯茎の中に埋没して姿を現さないけど、中で横向きで生えているやっかいな親不知を二本同時に抜くという小手術をしました。

病室の窓から切り取られた冬晴れの青空を眺めていました。お蔭様で今はすっかり痛みも引き普通に食事ができるようになりました。疲れると奥歯が痛かったので長年の不快が還暦を前にすっきり出来ました。それにしても親が亡くなってから抜く親不知。本当に親は知りませんね。

能登さん:「四角の空」体感から生まれる言葉でしょうか。佳句だと思います。

容子さん:「しかしその深さを知る」という思いがします。

郁子さん:病気で入院したことがありませんが、ベッドに横になっていると白い天井か窓の外を眺めるしかないのでしょうね。 四角に切り取られた冬空を見ている作者の心細さが伝わります。

 

私はベッドで寝ているしかありませんでしたが、こちらの句は軽やかな外出です。

     冬天に靴音軽き演奏会 容子

演奏会へのわくわく感が伝わってきます。心浮き立つ感じがよく出ていると思いました。

竹葉さん:「靴音高く」だと冬の凛とした空気に響いてる感じですが、「軽き」だから演奏会の入り口に向かう人々の軽やかな心を詠んでるのかと思いました。

童子さん:軽きの「き」が「気」になります。笑

心が躍るような演奏会だったのがうかがえますね。

晴代さん:真っ青な冬空が演奏会への期待をおもわせます。

 

続いてはちょっと寂しい冬空。

   冬空や重機の壊す螺子工場  千香子

「螺子工場」という言葉を見つけて来られたことに感服しました。物作りを支える「螺子工場」が大きな重機で壊されていく切なさ。

須美さん:螺子工場が効いていると思いました。

亜子さん:かつては活気のあった螺子工場も時代の波か老朽化で取り壊すことになった厳しい現実。冬の空にあまり希望は持てないが、更地になったところにまた何か立つかも知れない。螺子ひとつでも世の中が変わることもある。時事句かも知れない。

             ★★★

同じ冬の空でも作者の見ている状況、その時の心境で色々と違った空に思えるものです。どうか来る2025年が穏やかな明るい空でありますように。皆さま、今年もお世話になりました。 良いお年をお迎えください。                 麗子

 

 

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『寒ないか』父の声する冬銀河  童子

2024年12月20日 | Weblog

全国的に冬本番です。初雪の便りも届き、年末は厳しい寒波が予想されます。そんな中「寒ないか」の一言でこころがほっこり和らぐやさしい一句です。

 竹葉さん:冬銀河が冬の星とか冬夜空とかより温かみがあっていいなぁーと思います。

 容子さん:お父様の優しい気遣いを感じると共に良好な関係性を思いました。

 須美さん:地元のことばがよいです。見守ってくれているのでしょう。

 晴代さん:多分関西出身のお父様と思いますが「寒ないか」の言葉に子供への思いがこもっています。

 亜子さん:夜空が見える部屋からか屋外から見ているのか場所がよくわからないが、父からすると子供はいつまでも子供。「寒ないか」という台詞が効果的でロマンが感じられる。

 佐保子さん:冬の寒い夜道での外出、父親が「さむないか?」と子を気遣う、空には銀河がきれい、晴れて寒い。

 遅足さん:死んだ父の声かなあ

「寒ないか」と声をかけたお父さまは、傍にいらしたのか、すでに亡くなられていて思い出の声なのか・・

   

作者から、コメントをいただきました。

「先日コロナから退院したばかりの幼なじみのお父様が旅立たれました。お別れの句です。もう冬銀河のどこかにいらっしゃるのかな…

わたしの父もいるのかな…空の父たちは自分のことより娘のこと、心配しているに違いないと思います。」

 髭を剃る退院の朝鳥渡る  童子(11/22ブログ掲載)

この時の幼馴染みのお父さまがご逝去されたのですね。たぶん父親同士も旧知の仲で、ふたりして銀河の向こうから見守ってくれているのでしょう。

訃報が次々入ります。お星さまがまたひとつ増えて冬銀河が切なく輝きます。  郁子

 

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古書店の消えゆく街や冬の空  亜子

2024年12月19日 | Weblog

今年最後の句会の兼題は「冬の空」でした。晴れた冬の日の突き抜けるような真っ青な空、あるいは鉛色の冬の空。凍てつく夜空。さまざまな冬の空の情景が詠まれました。

そんな中今年最後のトップ賞は亜子さんのこの句でした。皆さんのコメントをまずご紹介します。

竹葉さん:古書店でなく書店がなくなっていってますが、そんな寂しさが冬の空の季語にぴったりです。

能登さん:古書店の存在が、街にぬくもりを与えてくれるような気がします。

童子さん:このSNS時代でも、ワタシは紙で読書派です。まわりはkindleばかりなり。

千香子さん:街の本屋さんという文化も過渡期のあるのか、次にどのような形態に生まれるのかなどと考えさせられました。

須美さん:最近閉店した古書店がパッと浮かびました。冬の空とよく合っていると思いました。

晴代さん:書店が消えてゆく残念な気で冬の空(多分灰色)を仰いでいる様子。

泉さん:近頃本屋さんが消えていく。本屋さんの臭い、立ち読みなどできない時代になってきた。

              ★★★

作者の亜子さん。名古屋の上前津から鶴舞あたりは古書店が多かったのにいつの間にか様変わりしてほとんど古書店がなくなってしまったそうです。消えてしまった古書店。そんな冬の空は灰色でなんだか希望が持てない感じ。春になって青空になるのか。。。そんな気持ちを詠まれました。

街の書店も消えていますが、古書店となるともっと少なくなっているようです。ついついネットでぽちっと本を買ってしまいがちですが、やはり地元の本屋さんで本を買うということがその町の文化を支えてくれる気がします。本屋さんでの本との出会いも大切にしたいと思いました。麗子

 

 

 

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12月句「冬の空」結果発表!

2024年12月18日 | Weblog

2024年12月兼題「冬の空」

  1. 冬天に美の神おはす浅間かな (能登)麗子 容子 泉
  2. 冬天に靴音軽き演奏会 (容子)竹葉 佐保子 童子 晴代
  3. 古書店の消えゆく街や冬の空  (亜子)竹葉 遅足 能登 童子 千香子 須美 晴代 泉
  4. 駅をぬけトンネルをぬけ冬の空 (佐保子)麗子
  5. セール告げ飛行せし機や冬の空 (郁子)
  6. 凍空を破りて笑むや袴田氏 (竹葉)遅足 能登 千香子 亜子
  7. ベッドから眺む四角い冬の空 (麗子)能登 童子 郁子 容子
  8. 冬空やつるっとむけてゆで卵 (晴代)佐保子 郁子
  9. 冬空や重機の壊す螺子工場 (千香子)麗子 須美 亜子
  10. 冬空へぽっとはきだす銀の玉  (遅足)郁子
  11. 寒空に背中まるめてとぼとぼと (泉)
  12. 寒空や野猿の親子湯煙に (須美)千香子 泉
  13. 『寒ないか』父の声する冬銀河  (童子)竹葉 遅足 佐保子 容子 須美 晴代 亜子 

 

自由題

  1. 包装紙たたむ手際の師走かな  (亜子)遅足 佐保子 能登 童子 麗子 千香子 郁子 晴代
  2. ゆれているないしょばなしの冬帽子 (遅足)童子 麗子 郁子
  3. 漱石忌雅子皇后誕生日 (佐保子)遅足 
  4. 杖つきつ闊歩の老婆冬の草 (竹葉)亜子 晴代 泉
  5. リビングのポインセチアのレッドかな (麗子)
  6. だんまりのひと日となりぬ枇杷の花 (晴代)竹葉 遅足 佐保子 千香子 郁子 容子 須美 亜子
  7. 投票済証の駒指す手龍の玉 (千香子)
  8. 雪嶺がビルの隙間にぬっと立つ (能登)佐保子 麗子 千香子 容子 泉
  9. 静けさやダム湖で戯ぶ鳰 (泉)能登
  10. 「名は知らぬ」と詩人答える冬木あり(容子)竹葉
  11. 寒鯉に餌やり励む幼き児 (須美)
  12. しぐるるや人待ち顔の赤ポスト (郁子)竹葉 能登 童子 容子 須美 晴代 亜子 泉
  13. 懐中電灯で迎えにくる母12月 (童子)須美

 

今年最後の句会結果です。

  トップ賞は 

 兼題 亜子さん

 自由題 亜子さん 晴代さん 郁子 でした

 

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「冬の空」句会の投句が揃いました。

2024年12月17日 | Weblog

2024年12月兼題「冬の空」

①      冬天に美の神おはす浅間かな 

②      冬天に靴音軽き演奏会 

③      古書店の消えゆく街や冬の空  

④      駅をぬけトンネルをぬけ冬の空 

⑤      セール告げ飛行せし機や冬の空 

⑥      凍空を破りて笑むや袴田氏 

⑦      ベッドから眺む四角い冬の空 

⑧      冬空やつるっとむけてゆで卵 

⑨      冬空や重機の壊す螺子工場 

⑩      冬空へぽっとはきだす銀の玉  

⑪      寒空に背中まるめてとぼとぼと 

⑫      寒空や野猿の親子湯煙に 

⑬      『寒ないか』父の声する冬銀河  

自由題

①      包装紙たたむ手際の師走かな  

②      ゆれているないしょばなしの冬帽子 

③      漱石忌雅子皇后誕生日 

④      杖つきつ闊歩の老婆冬の草 

⑤      リビングのポインセチアのレッドかな 

⑥      だんまりのひと日となりぬ枇杷の花 

⑦      投票済証の駒指す手龍の玉 

⑧      雪嶺がビルの隙間にぬっと立つ 

⑨      静けさやダム湖で戯ぶ鳰 

⑩      「名は知らぬ」と詩人答える冬木あり

⑪      寒鯉に餌やり励む幼き児 

⑫      しぐるるや人待ち顔の赤ポスト 

⑬      懐中電灯で迎えにくる母12月 

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瀬田川に浮くは言の葉月明り  郁子

2024年12月13日 | Weblog

今年の大河ドラマ「光る君へ」も最終回が近づきましたが、遅ればせながら先月、滋賀県大津市にある石山寺を訪ねてできた私の拙句です。

紫式部ゆかりの寺。源氏物語はここから生まれたのだと今年は観光客も多く、すぐ脇を瀬田川が結構な速さと水量で流れていました。

 能登さん:月明りの瀬田川には、紅葉ではなく言の葉が浮かび流れていく。なんと素敵な情景でしょう。

 亜子さん:文学的な句。大津の瀬田川に「言の葉」が浮いているという表現が謎めいてはいるが、和歌か俳句を思い浮かべられたのではないか。その謎めいているところがよい。

素敵なコメントをいただきありがとうございます。

瀬田川は、琵琶湖から唯一、自然に流れ出ている川で、京都では宇治川、大阪では淀川と名前を変えて大阪湾にそそぐ一級河川です。

古来,北陸と大和を結ぶ重要な水路でした。出不精な私ですが、珍しく日帰りのバスツアーに参加し、ガイドさんから熱っぽく語られた紫式部のお話が句のベースとなりました。

「満月だったそうですよ。川面にその月明りがきらきらと光りながら流れていく・・それを見て、まひろの筆は走る走る・・」 ガイドさんはとても明るくすこし盛っている気もしました。(笑)

実際、石山寺にある月見亭からは瀬田川が見下ろせます。紫式部の目には水面に月のひかりの欠片がかな文字となって流れていくように見えたかもしれません。

  

石山寺の由来となった珍しい天然の巨石、国宝の本堂、多宝堂も見ごたえのあるパワースポットです。ガイドさんの唄う「琵琶湖周航の歌」も哀愁があって感動しました。バスツアーの時間に気をとられ、残念ながら芭蕉の句碑を見忘れました。またゆっくり訪ねてみたいお寺です。郁子

 

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秋麗や人生整理祖母の技  泉

2024年12月12日 | Weblog

作者の泉さん。「秋晴れの日に片付けをかねて整理しようとしました。明治生まれの祖母がきちんと整理をして誰にでもどこにあるかわかるようにしていたのを見本にして日々行なっています。とのことでした。

竹葉さん:終活とか断捨離とかでなく、柔らかい語感の「人生整理」とはどんなものか、思わず知りたくなる句です。

須美さん:秋麗と人生整理が合っている。私もお祖母様の技を是非知りたい。

千香子さん:どんな技か教えてほしいと思いました。

            ★★★

奇しくも皆さん、どんな技か教えて欲しいとのこと(笑)本当に現代の贅沢な悩みですが、物があふれて後々、迷惑をかけたくないとの一心で何とか気持ちに区切をつけて皆さん断捨離に励んでおられるようです。特に年末は、すっきりして新年を迎えたいとの思いからその気持ちが高まります。

我が実家も両親の残した大量の物をどうしたらいいものか悩んでいます。父は大阪大空襲で家を焼かれてしまったからか、もったいない精神の固まりでした。そこに何でも衝動買いをする母。物が増えないはずがありません。なんと!いつの間にか庭の物置が7つも増えていました!!

私は日々、心を鬼にして物を捨てています。以前、遅足さんが「物をあまり捨ててしまうと思い出も捨てることになるからぼけるよ」と仰っておられた言葉が顔をのぞかせます。あ~私はどうしたらいいのでしょうか?本当に人生整理の技を教えて欲しいです。麗子

 

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青みかん昼餉の畦にころげでり  晴代

2024年12月06日 | Weblog

その季節ならではの情景がはっきり見える一句は、トップ賞常連の晴代さんならではの秀句と思います。

青みかんは早めに収穫する早生のもので、秋の運動会や遠足のとき、おにぎりと一緒に持たされた思い出があります。完全に熟していない果実はさっぱりしていて香りがとてもよいですね。畑仕事のお弁当タイム。袋を開けるとみかんがころりと転げ出る愛おしさ、畦に腰をおろして談笑している様子まで想像できました。

最初、畦を蛙と読み違え、青ガエルが驚いて飛び出てきたかと思いひとりで笑ってしまいました。茶目っ気を感じる「ころげでり」ですが、「ころげでる」でいいのではと遅足さんのつぶやきがありました。文法的にはよくわからないのですが、おむすびころりんのように転がり続けるイメージが「でり」にあるようにも・・

こたつの上には定番の「みかん」ですが今年は記録的な不作だそうですね。メロンや葡萄と並んで高級フルーツになったら悲しいです。

 

 どんぐりを拾う八十路の童女かな 容子

竹葉さん:孫がいっぱい拾ってきた時これどうしょう。。と困ったことがあったのに、私もこの前可愛い帽子がついてたどんぐりを拾ってきました。役に立たなくても拾いたくなる童心に帰った婆さんを良く詠んでいると思いました。

能登さん:歳をふるとは、童に還っていくことだそうです。いいですね。

須美さん:いくつになってもドングリ拾いは楽しい。八十路の童女が好き。

 

回想法という認知症予防の心理療法があると聞きました。懐かしいものに触れることから昔の自分に戻り、自己肯定感や幸福感にひたれるということです。帽子のついたドングリを見つけるとすごく嬉しかったことを竹葉さんのブログで思い出しました。ドングリを包むあの部分、調べたら「殻斗(かくと)」というのだそうです。パンツや帽子にみたて、目鼻をつけて、幼い娘と遊んだことを懐かしく回想しています。 郁子

 

 

 

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鵯去りて全ての音や消えにけり  竹葉

2024年12月05日 | Weblog

鳥のさえずりに注目するのではなく、鵯が去って全ての音がなくなったと感じるのが新鮮に思えました。静寂が一層際立った感じでしょうか?

能登さん:鵯の姦しさとその後の静寂との対比。うまい。

晴代さん:夕方鵯は群れてやかましく合唱しサッと一斉に飛び立ちます。

     音が消えたとの表現がとてもよく言い表していると思いました。

亜子さんからは「や」と「けり」と切れ字が重なっているので「消えにける」と連体形で止める方がいいのでは?とのこと。全ての音が消えて静寂が訪れた感じはよく出ていると仰っていました。

     かささぎの群れ飛ぶ白さDMZ  千香子

恥ずかしながらDMZという言葉を知りませんでした。

38度線の非武装地帯のことをDMZ(DeMilitarized Zone)ということのですね。複雑な国境線。かささぎはそんなこと関係なく群れとなって飛んで行きます。白さには鳥の清々しさと人間の寂しさが感じられました。

作者の千香子さんがこの句が出来た経緯を教えて下さいました。

「ソウルに出向していた義兄のところを拠点に 韓国内を旅行しました 。日帰りの38度線 見学ツアーにも行きました。

 38度線を越えたこと 帰らざる河を眺めたことよりも、印象に残ったのは かささぎが白い 胸を空いっぱい 大きく 広げ 飛ぶ様でした 。その 白の 見事だったこと。 非武装地帯ゆえ 自然が 手付かずに残され かささぎの安住の地になっていました 。

かささぎは見たことはなかったのですが、親近感のある鳥でした。百人一首の 「 かささぎの歌」は よく遊んだこともあっていつでもでてきます。意味も分からずの 丸暗記でしたので、 今回 調べてみたら 天の川のことだと知り、 橋に霜が白く降りていると思っていたら 霜は 星のことで星が白く光っていると 「あらまあ」です。 俳句を作っていなかったら 気が気付けないことでした。」

俳句を作ることにより色んな知識が増えますね。生きとし生けるものに敏感になります。

千香子さんの言われたかささぎの一首は大伴家持の

  「かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける」

「かささぎの橋」というのは七夕の夜、たくさんのかささぎが天の川に翼を広げて織姫の元に彦星が渡って行けるようにしたということなのですね。これまた勉強になりました。ありがとうございました。ちなみにかささぎは鵲と書きます。これまたなかなか読めませんね。  麗子

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薄目開く目白埋葬せりし午後  容子 

2024年11月29日 | Weblog

からだが鶯色で、目の周りが白いのが特徴のメジロ。庭のモクレンの木によく つがいで来ていました。ヒヨドリやスズメが来るとさっと逃げるのに、私と目があっても意外に平気で親しみを感じたりしていました。それだけに衝撃的な一句でした。短歌ならこのあとの七七がどうなるのだろうと想像したりします。

亜子さん: 目白は夏の季語ではあるが、作者の経験から作った句であると思われる。薄目を開けて息をひきとった目白を庭に埋めたのであろう

能登さん: 小鳥の死、薄目開くに既視感。下五に引っかかるが、句を強めている効果もあり。

泉さん: なんとなく悲しい。

佐保子さん:ガラスにでもぶつかって死んでしまった目白でしょうか?埋葬せりしは文法的に少しおかしい気がします。埋葬したる午後でいいのでは?

強いインパクトの句に、いろいろなコメントが寄せられました。ちいさな生きものの死をつぶさに見ることで、作者は「生」を改めて思ったのかもしれません。

 

そしてもう一句私の句です。

   葬儀済みひときわ高く百舌鳥の声  郁子

 

須美さん: 百舌鳥のキィーと言う高鳴きも「早贄」も葬儀とよく合っているように思う。

亜子さん: 百舌鳥の声は高く鋭い鳴き声。お葬式が終わったあとのひときわ高い声が秋晴れの空気の中に響く。悲しみが沁み通る感じ。

泉さん:  情景がよく出ている。 

最初、私は中七を「デクレッシェンドの」と音楽用語を使ってみました。だんだん小さくという意味です。悲しさを出そうという格好つけが入っています。ところが投句したあと、本当にすぐ近くで百舌鳥が鳴きました。耳をつんざく高鳴きは、情緒的というよりいきなり切れるカットアウト(笑)想像や作為の入った句はいけませんね。そのあと訂正をお願いしました。ありがとうございました。

 

 

遅足さんから「ひときわ高し」と切ったほうがよいのではとのつぶやきがあったそうです。

 葬儀済みひときわ高し百舌鳥の声

葬儀や法要の事務的な忙しさから解放されてホッとした私の気持ちがこちらのほうがよく表れています。青く澄んだ高い空まで想像できます。

一字でこんなに違うものなのですね。遅足さん、これからもたくさんつぶやいてください。  郁子

 

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小鳥来る大きな空をつれてくる  遅足

2024年11月28日 | Weblog

「小鳥来る」は秋、さまざまな小鳥が北方から渡って来たり、山から里におりて来たりすること。遅足さんのこの句は大群で渡って来た冬鳥たちかもしれません。小鳥が大きな真っ青な空をつれてくると言った感じでしょうか?

須美さん:雄大でとても気持ちの良い句。

能登さん:「くる」のくり返しが小粋。「大きな空をつれてくる」がいい。

晴代さん:

小鳥と大空の取り合わせがゆったりとした気持ちになります。

亜子さん:具体的な鳥ではないが、「大きな空をつれてくる」というフレーズがよい。かわいい小鳥より群れをなして来るというイメージ。小鳥と大きな空の対比。

佐保子さんも採られ、同じ兼題で作っておられます。

      小鳥くるオカリナを吹く友の窓  佐保子

これは里におりて来たかわいい小鳥のようですね。窓辺から小鳥の様子をやさしく見つめるまなざしが伺えます。

竹葉さん:私のことかしら?。。オカリナの音は甲高くとても窓辺では吹けませんが、オカリナの爽やかな音につられて可愛い小鳥が来るような明るい句に惹かれました。

千香子さん:オカリナの音色が仲間と思ったのでしょうか、かわいらしく感じました。

           ★★★

同じ「小鳥くる」でも全く違った景色を切り取られ、このあたりが俳句の面白さですね。そしてご夫婦で同じ季題に取り組まれるのはまさにオシドリ夫婦ですね。麗子

 

 

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