人間の生命というのは
不思議なもので
自分のためだけに生きて
自分のためにだけに死ぬ
というほど人間は強くない
三島由紀夫
冒頭の言葉は、「大義」についての三島由紀夫なりの解釈です。
ご案内のとおり、「大義」と言えば三島由紀夫が「葉隠入門」で著した「葉隠聞書」は平和な時代を生きる武士がいかに死すべきか?戦国時代のように英雄的な死が期待できない江戸時代に鍋島藩士山本常朝が「忠義に死すべき武士が生きていくための奥義」という相反するアンチテーゼを煩悶しながら説いた金言集でその根本に主君に対する「大義」があると説いています。
心に残る言葉としては。
写し紅粉を懐中したるがよし、
自然の時に、酔覚か寝起きなどは
顔の色悪しき事あり。
斯様の時、紅粉を出し、
引きたるがよし
この言葉は
男のたしなみとして、
胸ポケットに頬紅(チーク)を
忍ばせておきなさい
と言うことです。
あとで知ったのですが、このチークが武士の死生観を物語っているということを知りました。
万が一戦場で倒れ、生首として敵の総大将の面前に出されても、あらかじめ紅を頬に施しておけば青白い情けない顔を敵に晒さなくて良いという、
死んだ後の外見の道徳
にもこだわった
武士の「究極の美学」がそこにあるのというです。
小生も
20代で独身のときは、上司から「家族もいないし悲しむ人が少ないから」と危険な現場に行くよう命じられる機会も多くありました。おそらく今はこんな言い方をする上司はいないでしょうけど、怖さを振り払って意気盛んと現場に赴いたものです。
今、子を持つ親となれば、なんとか生きて育てていかなくてはならないと・・・お恥ずかしながら、歳を重ねることにどんどん生への執着が強くなっていく。
良いことか悪いことか分かりませんが・・・
間違いないことは、山本常朝も三島由紀夫も小生も原点に立ち返れば、生への執着が人一倍強いからこそ、「死」というものを見つめるんだと思います。
さすがに紅粉は持ち歩きませんが、出勤前にトランクスだけは、できるだけ新しいのを履いていくように努めています😅 。