以前観た映画『リトル・ミス・サンシャイン』の中で、
ある特定の匂いが、それにまつわる記憶や当時の感情を誘発する現象のことを"プルースト現象(効果)"という
っていうのを知った。
ちなみに私の知識の多くは
こうやって映画から得てることが多かったりする。
匂いって、そういう働きもするんや~と思った。
ま、匂いというか脳が想い出させるんだろうけど。
ふとした時に香ってくる匂いで
幼い頃の記憶が蘇ることがある。
あぁ~この匂い・・・
小学生の頃に嗅いだことある・・・
匂い付き消しゴムの匂いだったり
給食の匂いだったり
おばあちゃんチの匂いだったり
時には、同級生が住んでたアパートの
ちょっとカビ臭い臭いだったり
父が経営してた建築会社の
鉄骨の臭いとかタバコとおっさん臭の入り交じった事務所の臭いだったりとか・・・。
パンが焼ける匂いを嗅ぐと
中学からバス通学だった私は
土曜日の下校時間(ゆとり世代ではなかったため)
バスの開いた窓からぷ~んと香ってくる
パン工場からのパンの良い香りをいつも想い出す。
あ!この匂い
若い頃につけてた香水の匂い
そういえば、この香水をつけてた時代って・・・
と、香りでその頃の記憶が蘇ってくる。
不思議。
匂いと記憶。
なんだろ、これって。
音楽でも同じようなこと言えるなぁ~と。
この曲を聴くと、その曲を聴いてた時代が
フラッシュバックする。
中学高校と私立だった私は
時々、遅刻しそうになると
学校とほぼ同じ方向に会社があった父に
車で送ってもらったりしていた。
その時、父の車のカーステから流れてた曲が
いつも由紀さおりの曲で・・・
仲が悪かったわけではないけど
思春期だったこともあってか
別に父親とはそんなに喋ることもなく
助手席に座って
学校に着くまで
私は教科書を読んだり
ただボーッと外を眺めてたりしてた。
そんな時、流れてたのが
由紀さおりの「夜明けのスキャット」だったり
「手紙」だったり
あれは~なんというタイトルの曲かなぁ
♪ナイルよ~ナイルよ~♪
っていう歌詞の曲とか。
私には若干、気まずい時間でもあったわけやけど
父にすれば
娘と二人での、ちょっとしたドライブを
何気に楽しみにしてたと
後から母に聞かされた。
父が亡くなってもう9年が過ぎた。
今でも、由紀さおりの曲を聴くと
あの頃の、父との気まずい"ドライブ"を想い出す。