夫と娘とパリで暮らすアメリカ人女性記者ジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は、45歳で待望の妊娠をはたす。
が、報告した夫から返って来たのは、思いもよらぬ反対だった。
そんな人生の岐路に立った彼女は、ある取材で衝撃的な事実に出会う。
夫の祖父母から譲り受けて住んでいるアパートは、かつて1942年のパリのユダヤ人迫害事件でアウシュビッツに送られたユダヤ人家族が住んでいたというのだ。
さらに、その一家の長女で10歳の少女サラ(メリュジーヌ・マヤンス)が収容所から逃亡したことを知る。
一斉検挙の朝、サラは弟を納戸に隠して鍵をかけた。
すぐに戻れると信じて……。
果たして、サラは弟を助けることができたのか?
2人は今も生きているのか?
事件を紐解き、サラの足跡を辿る中、次々と明かされてゆく秘密。
そこに隠された事実がジュリアを揺さぶり、人生さえも変えていく。
すべてが明かされた時、サラの痛切な悲しみを全身で受け止めた彼女が見出した一筋の光とは……?
2011年12月17日 公開
監督・脚本 ジル・パケ=ブレネール
原作 タチアナ・ド・ロネ
DVD鑑賞
自己満足度 5点満点で5点+α
またひとつ、ホロコーストの悲劇を知ってしまった。
こっれは見ごたえありましたねぇ。
114分の尺なんですけど、最初っから最後まで見入ってしまいました!
とにかくこの監督さん巧い!!
見て!この方がジル・パケ=ブレネール監督ですぅ~。
まだ38歳ですよ~しかもキアヌ・リーブス似のイケメン♪
全くこの監督さんのこと知らなかったんですけど、他の過去作品も観たくなりましたねぇ。
お話は1942年にフランスで起きた「ヴェルディヴ事件」をもとにしてあるんですよね。
実はこの事件、1995年に当時のシラク大統領が明らかにするまで自国民の間でもあまり知られてなかったんですって。
冬季競輪場に集められたユダヤ人の中に主人公のサラ一家も。
このサラ役の女の子がまた素晴らしい演技するんですよ。
納戸に隠してきた弟を救い出すために必死で収容所を脱走して駆けつけるんですね~。
そしてやっとの思いで納戸を開けた・・・あの時の彼女の表情だけで中にいた弟がどんな悲惨な死に方をしてたかわかるんです。
夏の暑い時期に、1週間くらいでしょうか納戸に隠れていたまだ3歳の弟・・・。
お話は、この悲劇の主人公サラの時代と、現代であるジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)との間を行ったり来たりするんですが、これが実に上手くまとめてあって、観ていても、うんうん、それで、サラはどうなったの?この人物はサラとどういうつながり?などと、観ている自分もサラを追跡するジュリアになったような面持ちで。
とにかく最後まで退屈することなく話に引き込まれてしまいました。
そして、このお話はホロコーストの悲劇だけではなく、45歳で妊娠してしまうというジュリアと、重い過去を背負って生きたサラという二人の女性の性みたいなものも重ね合わせてあって、とにかく素晴らしい!
クリスティン・スコット・トーマスと言えばやはり『イングリッシュ・ペイシェント』ですかねぇ。
彼女52歳なんですねぇ。
自分と一つしか歳が違わないのに、大人の良いオンナというムードがそのままで。
あと、サラが残した一粒種の息子を演じたのがアイダン・クインでした。
彼ももぉ53歳ですか~。
すっかり中年のオッサンになってて、パッと見わかりませんでした。
でね、この息子ウィリアムがジュリアから初めて自分のルーツと、彼が9歳の時に自殺した母親サラの過去を聞かされるわけですよ。
自分が知らなかった母親の姿と自分の中にユダヤ人の血が流れていることを彼は初めて知るんですねぇ。
こういう悲劇を見聞きするとほんとにいたたまれなくなります。
でも、最後にジュリアは夫から反対されていた子供を産んでその子に、なんと"サラ"と名づけていたんです。
久しぶりに名作を鑑賞できました。