3420.~自信と安心感~
「知的障害・発達障害をもつ生徒さんの 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック・発達支援教室 Elephas(エレファース)
・・・明るく、楽しく、さわやかに・・・
~今日のElephasブログ:「豊かになったコミュニケーション能力」(3月27日)
おはようございます。武蔵境教室の伊藤です。
S君が高校を卒業されました。クラスで責任ある仕事を任されたり、数多くの資格を取得するなど、Ş君のこの3年間はとても実り多いものとなりました。しかし、もっとも大きな成果は別のところにあると考えています。
S君に初めて会ったのは、S君がまだ中学3年生のときでした。
学習に入る前に少し雑談をといくつか質問をしても、S君からはハイかイイエ、あるいは何も言葉が返ってこないこともしばしばでした。
S君の表情はとても硬く、その奥の感情があらわれることは滅多にありませんでした。
高校生活最後の冬が終わり、桜が咲きはじめたころ、S君は体調をくずして一週間の休みを取りました。
休み明けの最初の授業の日、体調については確認程度の会話ですませました。
そして、「まずはゆっくりね」と声をかけて、学習の準備をはじめました。
しばらくしてS君が、「ほんとうに大変だったんですよ」と、すこし笑いながら言いました。
もっと話したいんだなと、S君に質問をしました。
するとS君は、病院や自宅での様子を、聞き手に情景が浮かんでくるようにいきいきと話しはじめました。
S君はマスクをしていましたが、目や眉、その周りの筋肉の動きから、あるいは声の抑揚から、内容の変化に合わせて大きく表情を変え、会話を楽しんでいる様子がうかがえました。
S君は4月から社会人となります。慣れない環境で多くの戸惑いや困難があるはずです。
けれども、S君がこの3年間で身につけた技術と経験、またそれらが自信となり、中学生のころとは比べようもないほど豊かになったコミュニケーション能力が、職場での戸惑いや困難を乗り越えていく力になると信じています。
◇ワンポイント・メッセージ◇
「聞き手に情景が浮かんでくるようにいきいきと話す・・・」、S君の新しい姿ですね。「ハイかイイエ、あるいは何も言葉が返ってこない」、こんな危うさの見え隠れしていた3年前のS君を知っている者からすれば、今のS君は見違えてしまいますね。何がここまで、S君を成長させたのでしょう。ブログの冒頭に「クラスで責任ある仕事を任されたり、数多くの資格を取得するなど、Ş君のこの3年間はとても実り多いものとなりました」とあるように、充実した3年間がS君のコミュニケーション力を成長させてくれたのでしょう。また順調に就職が決まったことも大きな要素でしょう。自身の自信と安心感が人への関心を開かせてくれたように思います。