極私的映画論+α

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初版古寺巡礼 和辻哲郎著 ちくま学芸文庫

2015-11-26 18:48:22 | BOOKS
初版 古寺巡礼 (ちくま学芸文庫)
和辻 哲郎
筑摩書房



 以前から一度読んでみたかった和辻哲郎の「古寺巡礼」を読みました。実は一般的に出回っている「古寺巡礼」は著者本人が改定したものらしく、このちくま学芸文庫版は初版を文庫化したものです。もっともこの手の本が売れるわけはなく、お値段は文庫本では破格の1200円ですが(笑)

 オリジナルの「古寺巡礼」は1919年。。。大正8年に出版されましたが、寺を取り巻く環境はもちろん変わり果ててはいますが、寺の中に入れば基本今と同じです。もちろん多く紹介されている仏像に関してはおよそ100年経ってもほぼ変わっていません。当時撮影された写真もなかなか趣があってとても面白かったです。

 今から100年前の寺のほうが現在より遥かにボロボロだった感じはします。奈良の古寺の代表的な仏像をたくさん紹介していますが、法隆寺金堂の壁画について・・実はこの壁画は1949年に火事で焼けてしまったわけで、和辻哲郎がこの本を書いた30年後に無くなってしまったわけです。今はなき法隆寺の金堂壁画を和辻哲郎の文章で想像するのはとても楽しかったです。

 面白かったのは、東大寺法華堂(三月堂)の日光月光菩薩像について。実はこの2体の菩薩像は永年法華堂の本尊不空羂索観音の脇侍として置かれていましたが、本来これはおかしい。。。っていうのも、不空羂索観音と両菩薩の素材が違うんですね。作られた時代も違います。現在では両菩薩は東大寺ミュージアムに置かれていますが、現在は不空羂索観音の脇侍として梵天と帝釈天が置かれています。また金剛力士像2体と、四天王。。。これら全部で9体はすべて脱活乾漆造なわけです。日光月光菩薩は塑像なので全く違う素材と時代だと思われています。

 で、和辻哲郎の「古寺巡礼」ではこの日光月光菩薩を梵天、帝釈天として紹介していました。現在は菩薩扱いされていますが、本来は天だったと言う考え方もあるみたいです。

 なんだかマニアックな話になってきましたが、「古寺巡礼」の改訂版は青空文庫でも読むことが出来ます。私はこれが苦手でね(笑)やっぱ紙媒体じゃないと読めません(笑)

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