江戸時代末期。死に至る病として恐れられていた疱瘡(天然痘)が猛威を振るっていた。福井藩の町医者で漢方医の笠原良策は、患者のために何もできず無力感に苛まれていた。ある日、蘭方医学が有効だと聞いた良策は、京都の蘭方医・日野鼎哉の教えを請うことに。やがて異国で種痘(予防接種)という方法が行われていると知る。しかし、鎖国の日本では“種痘の苗”を手に入れることは極めて困難で、なんとかして藩主の協力を仰ごうとする良策だったが…。
映画館 ★★★☆
ジェンナーが牛痘による種痘を始めたのが1796年。この作品の主人公、笠原良策が福井県で種痘を始めたのが1849年末。実に50年以上の時間を有しますが、しかし彼らが頑張ったおかげで日本では1976年に種痘をやめたそうな。日本は天然痘自体は1956年以降発症していないとか。
なお、日本で牛痘ではなく人痘による種痘は1789年に成功し、また牛痘による種痘は1824年に成功したそうな。この映画を見たら、どうしてもこの映画の例が最初のように勘違いしてしまいますが、四半世紀も前に日本でも牛痘による種痘が行われたそうです。
ただ、この作品は日本で種痘が広まっていく苦労や経緯がよくわかり、決して笠原良作とその妻の偉業を否定するものではありません。しかし・・・種痘を受けるって本当に勇気が必要だったでしょうね。基本的に「ワクチン」って現代でも同じなわけで、コロナワクチンに対しても反対論があっても当然だと思います。もちろん副作用で大変な目にあった人も多かったですし。
「雪の花」というタイトルは普通に雪深い北陸福井のシンボルとして感じていましたが、全く違ったので感心させられました。
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