「先生のお文章が大へん好きである。雄渾な詩情にあふれ、
対立する論敵には仮借なき論評を加えられた。
人間の叡智の高峰から鳴りひびく古代の声のような、
朗々たるお言葉に導かれて、この三十年ほど生きて来たとおもう。
お話を直接伺っていて驚嘆にたえなかったのは、
記憶と活力の無尽蔵なことであった。
その学識を総動員して到達しようとなさっていたのは、
人間生活の根底から未来へと貫徹される徳性というか、
生身が表現しうる美学であった。」
「「無常の使い」生前交流のあった方々の御霊に捧げる悼詞
白川静 先生は生きておられる」より
石牟礼道子著 藤原書店
荒畑寒村・白川静・鶴見和子・橋川文三・上野英信・谷川雁
多田富雄・木村栄文・細川一・砂田晃・土本典昭・本田啓吉
田上義春・川本輝夫・宇井純・原田正純・杉本栄子 ほか