先日、Ｍ先生宅を訪れた。
昭和ひとけただが相変わらず明晰で、こういう方に会うと刺激されてわたしが元気になる。
つい一週間ほど前にマレーシアから帰国なさったという。
コーヒーは、マレーシアのコピ（コーヒー）、カカオも混ざっている。
カカオ分が特に紙フィルターでは濾さないので茶漉しを使う。
カフェインが少なくて、ミルクやシュガーを入れ、子どもも飲む。
元宗主国のイギリスのボーコーヒーが有名だが、ボーは高級で、庶民はコピを飲むそうだ。
アラビア人にも広まっている。
デザートは、ナツメヤシ（デーツ）とタピオカ、ミルクを加えてまろやかに。
ナツメヤシ（デーツ）はマレーシア産で、原産地はチュニジアと聞いた。
もしかすると、チュニジア産かもしれない。
北アフリカか西南アジアのペルシャ湾沿岸が原産だ。
白いトロトロしたものは、タピオカ。
サゴヤシの幹を粉砕して取り出したデンプン粉。
水で濾して大きな鍋でかき回しながら炒る。
最近は、サゴでなく価格の安いキャッサバから作られる。
キャッサバは、ジャングルで簡単に育つ。
マレー半島の先にビンタン島がある。
Ｍ先生曰く、
「インドネシア領ビンタン島は、東南アジア戦線で戦った日本兵が収容された。
第１次大戦でドイツ兵が収容され多くが餓死した。
兵士に、農学部出身者がいて、サゴヤシ栽培を提唱実践した。
土地がやせていてもひと月で成長する、それを食べに来る野ブタを捕獲して食料にした。
日本兵が皆元気なのでイギリス兵が驚いた」
タピオカは現地ではサゴーという。
さて、Ｍ先生から思いもしなかったことをうかがった。
というのは、昭和１５年から終戦まで呉市西谷町（ハイガミネの前）におられたのだ。
２０年７月２日、２４日の空襲も経験され、８月６日も呉だった。
７月２日は呉第２中１年在学中で、２中校地は丘の上にあるのでつぶさに目撃された。
操縦席の兵士も見えた。
２４日は、麦刈り動員に行っていた。
日向の戦いぶりを目撃した学友がいた。
松の木でカムフラージュ（レーダーなので簡単にわかるのにもかかわらず）した日向にグラマンが波状攻撃するが、そこに日向の機銃の弾幕を浴びせる。
砲身が焼けるので、水兵が海水を汲んで砲身にかけて撃ちかえした。
海深が浅く沈没せず着底したがまだ撃ち返していた。
大和魂もだがヤンキー魂もすごかったという同級生の話。
いろいろとお世話になった高校の恩師だが、こんな体験をなさっておいでだったとは初めて。
わたしの父が日向に乗っていたというと先生も驚かれた。
出会いというか縁というかほんとうに不思議だ。
続く
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ご無沙汰しております。
偶々、本日ブログを拝見しました。
恩師のM先生が当時！呉第２中学校（現在の宮原高等学校）の生徒さんだった・・とのことですが、小生の調査では、M先生の上級生３年生と４年生の方々が、呉海軍工廠水雷部と魚雷実験部、第十一航空廠に学徒動員されていたようです。
それこそ、人間魚雷「回天」に係る重要な仕事をされていました。
また、この方々は、畑のカエル様のお父様の乗艦されていた情島沖に係留されていた戦艦「日向」の７月２４日の奮闘を目撃されています。大入（だいにゅう）と云う場所の地下工場へ疎開していた頃ですので、大入からは、目前の戦闘だったようです。
しかし、こうした不思議な巡り合わせはあるものですね。
この間は、本家の本家に嫁いでこられた奥さんの１０歳の頃のお話。お父上が海軍工廠で建設関係の仕事で１９年まで呉にいた。そして１９、２０歳の父が休みの日に何度か訪ねてきた、泊まったこともあったという話。今度はＭ先生が呉におられたという話。
７０数年前のことを、知人がこうして教えてくださるので、父が知らせようとしているのだろうかと不思議な気持ちになってきます。
しかし、７２年前のことでも色々と分かるものですよね。
M先生に、是非読んで頂きたい本があります。
「国の大事に」と云う本です。これは、呉ニ中生の方々が、２０００年に古希になるのを節目に学徒動員時代を回顧した記録誌です。
広島県立図書館、広島市立図書館にあります。
広島市立図書館であれば、相互貸借で、地元の図書館からも申し込めるかもしれません。この方々の記述は詳細ですので・・・。
さっそく、貸していただけるよう図書館に貸し出しの依頼チャレンジさせていただきます。
もし、叶ったら、
Ｍ先生に最高のプレゼント、
喜んでいただけるに違いありません。
ありがとうございました。