分身

遊歩道をのんびり歩きながら
用水路ののり面に　目をやってみる

時折　鯉がはね　水音が小さく聞こえる
葦や　ススキなどに混じって　黄色や白や赤い花が咲いている

休日の静かな住宅街
名もなき鳥がさえずり　名も無き雑草が
いや　名も無きではなく　自分がその名を知らないだけだ
全てのものに　名はあるよな

すれ違う人もいない朝
小さな花を狙ってみた
撮った時には気づかなかった

集合化の中のひとつの花がちょうど落ちる瞬間
散歩道にも　風景は無限にある