雪と雨の寒い日が続いた連休
今日は空は晴れあがり 洗濯物は風をはらんでハンガーが窓ガラスを時々叩く
二人とも珍しく寝坊して6時半に起床
湯を沸かし ファンヒーターをつけ 部屋が暖まる前に着替える
妻は あわただしく朝ごはんを用意し 弁当を作り
ドドドッて 階段を駆け下り 洗濯機をかけ バタバタと2階へ駆けあがって来る
せわしない奴だ 階段の手すりを使うようにって言ってあるのに
ヨーグルトを立ち食いしている
座って食えよ
洗濯物干さなくちゃ
後で 俺がやるからさ座って新聞でも読めよ
そぉお? じゃ
玄関に見送り 7時40分出かけた
シンクにたまっている食器を洗い カレーのこびりついた鍋をたわしで洗う
スポンジに黄色が付く まだ落ちてないのか
昼用に作ったらしい
昨日の今日だから まだ花粉は飛んでいないだろう
洗濯物をお日様と風に当てよう 風が強い バスタオルが風でよれる
ほっぺたが少し冷たさでピリリとする
日光の雪山から吹いてくるのだろうか
氷った山肌や木々の雪に冷やされて凍えた風となって
窓を閉めたら 部屋に温もりが戻った
洗面所から掃除機を取り出す
階段に 毎日のように埃やゴミが点々と散らばる
部屋の掃除は楽だが 重い掃除機を手に持っての階段掃除は妻にはしんどい
仕事で手が腱鞘炎のようになっているし
最近は 瓶のかたく閉まった蓋が捻じれない
足腰の疲れも 昔のようには 簡単に一晩では回復しない
自分を見つめると
筋力腕力は40 50代と変わらない
だが その分関節に負担がかかっているようだ
少し重労働をすると筋肉痛はないのに 節々が痛む事が多くなった
機敏さ 反射能力 内臓も 免疫力も以前のようではない
少々寂しさを感ずる時もあるが 経年劣化であるから仕方がない
昨日NHKで 「無縁社会」というドキュメンタリーを見た
純粋で精密なガラス細工のような人達
社会の役に立たない事に悲しみ 自分を責め
たった一人である事に絶望し不安と自暴自棄に陥り
最悪の選択として自殺を選ぶ人もいる
年寄り達の孤立も増えている
嫁さんや子供達と暮らしていても
孤立感を深めている人もいるだろう
たけしが歌を歌ってるなんて知らなかった
この方のyou tubeを見て初めて知った
自分は女でないので女の孤独や悲しみは理解できない
頭では理解しているつもりでも 感情や気持ちは共有すること出来ないない
男ならいくらかわかる
男は基本的にガラス細工だ
若い内は 壊れた その鋭い破片が周りのものを傷つける
やがて男はわかる
壊れた容れ物に 人を入れられない事に
そこで せっせこ壊れるたんびに
アロンアルファだ 木工ボンドだ セロテープだ ガムテープ バンドエイド だと
補修に補修を重ね 容器の形をやっとこさ維持する
じじいになるまで 運よく生きられたとしても
水をいれれば 無数の個所から水漏れを起こす
無傷のピッカピカのじじいなんて見た事無いし
もし 見かけたら傍には寄りたくない
きっと箱に入れられて いい環境で 大事に保護されてきただけに違いないからだ
万が一触って壊したら俺の責任にされてしまう
普通のじじいとは
とてもガラス細工の原型をとどめないほど
接着剤のかたまりとしか見えないほどになった 心の容れ物
それが普通 当たり前
当たり前である事に不満は無用だ
ばあちゃんには優しく 労わるべき
女には優しさや支えが必要だからだ
だから 時々 妻には優しくする
じじいはほっておけばいい
下手に優しくすれば 優しくしてあげる人が心ならずも怪我をする事もある
ところどころにガラスの破片が顔を出している可能性もあるからだ
じじいは放っておけばいつか死ぬ
昨日 空海の言葉を書いてみた
好きではないが
日本の歴史上 たぐい稀な天才と思っている
この年になって しみじみと感じる
虚しさも 厭世感も無く 世の無常を感じる事もなく
当たり前の事を 当たり前に述べる
すばらしい
字がうまければもっといい
これは 俺が下手なせいで空海の言葉を損じるものではない
ごめん そうろう
「一身独り生没す 電影これ無常なり」
自分の解釈
(人はただ一人にて生まれ ただ独り死にゆく
一瞬の雷光のごとく 永遠に変わらぬものは無く
雷影 形 常ならざるように 人の生き死にもかくの如し
人生とは 一瞬の事だ )
「貴き人も賤しき人も 全て死して去る 死して去っては灰燼となる」
解釈の必要はないほど当たり前の事だ
火葬場で灰となって台に散らばる骨 それが己だ
風に揺られていた洗濯物が乾いたようだ
室内にとりこんで部屋干しする事にしよう
いい天気だ
鳥が鳴いている