幼児虐待は1942年にアメリカの整形外科医が幼児の多数の骨折を幾例か観察して、その骨折が親の虐待にあるということが始まりです。日本では1980年代に虐待が全国で7例しか報告されていない、ということでこれはおかしいのではないかと、厚生省が施設、病院などに依頼して、その正確な数を把握するようになりました。もともと母親というものは、自分のお腹の中で10ヶ月も育ててきた子供に対して愛情を持っている、というのが常識になっていましたが、出産後の母親のホルモンバランスがくずれ、とても神経質になります。他の動物は出産後そんなに長い間母親に全面的に介助を受けないと生きていけないということはありません。人間の赤ちゃんだけは、1年以上も全てを他者に依存しないと生きていけません。正常な神経ではなくなり、夜昼構わずお腹がすいた、オムツが汚れている、だっこしろ、と泣きます。育児経験のある方なら、みなさんお分かりでしょうが、本当に赤ちゃんを自分の事を自分でさせるまでには、大変な苦労を強いられます。近くに母親のお母さんなんかがいて、育児を手伝ってくれるようなら、休む事もできますが、たった1人でしかも夫が全く手伝わないというお母さんが、おかしくならないはずがありません。確かに育てやすい赤ちゃんと、手がかかる赤ちゃんとはいますが、特に手がかかる赤ちゃんを1人で育てていたら、ノイローゼぐらいにはなって当たり前です。一番ノイローゼになる原因は、赤ちゃんを自分の思い通りにしようとするから、なるのです。他人は自分の思い通りには絶対になりません。まして赤ちゃんは。ですから赤ちゃんに自分を合わせて生活する事にしてください。夜泣きの多い赤ちゃんは昼間殆ど寝ています。ですからお母さんも昼間一緒に寝てください。とにかく赤ちゃんに合わせた生き方をしてみて下さい。もう今現在どうしようもなくなっている、というお母さんは、直ぐ地元の保健センターに、育児相談に電話して、専門員に相談してください。明日は虐待の話をします。
肇
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