― おひとり様 その2 ―


老後を特集した経済誌
「週刊 ダイヤモンド」 2015.12.19
昭和の御世、主婦が仕事についていると、あそこの家は「奥さんも働かなくてはならない」のだと、しばしば同情されたものである。世の中は豊かだった。共働きは珍しかった。貯金には大抵7パーセントの利息がついたし、現役のうちに2軒目の家を建てる夫婦はザラにいた。
今、郵便局の通常貯金の利息は税抜き0.0007パーセントである。
貯金がだめなら仕事、となりそうなものだが、日本では依然としてキャリアーより結婚を選ぶ女が多いように見える。
昭和という古き良き時代から未だ抜け切れていないのかも知れない。 あるいはキャリアーを選んでも往々にして「ガラスの天井」※1にぶつかる。それじゃと会社を立ち上げたら「レンガの壁」※2にぶつかる。それが理由かもしれない。
そこで共働きの形はパートになる。パートだったらガラスやレンガに頭をぶつけることはない。子供がまだ小さいからとか、反対に子供には手がかからなくなったけど家事の方が忙しいなどと言ってパートで働いている。問題は勤め先が厚生年金に入ってない場合である。
クリーニング店に20年もパートで勤めているおばさんがいる。厚生年金はない。そうすると、ツケは老後おひとり様になった時自分が払う破目になる。
ツケの中身がどうなるか、書棚を探してみた。数年間厚生年金のある会社に勤めた後、ごく普通のサラリーマンと結婚したケース。
まず夫婦とも年金世代になった時、受け取る年金額はふたりでおよそ284万円(詳しくは「年金相談の実務」社会保険労務士 鈴木一恵著)。
その後おひとり様になった時、年金の額は亡くなったご主人の年金とあわせて167万円余りになる。1か月あたり14万円足らずである。
※1「ガラスの天井」:女はある役職以上には行けないという会社の暗黙のきまり。
※2「レンガの壁」: 女の起業家にはお金を貸さないという銀行の暗黙のやり方。
( 次は ― おひとり様 その3 ― )