前回の最後の記事からかなりの時間が経ってしまいましたが,その間に日銀が公表している資金循環統計の投資信託に集計の錯誤があったという情報が話題になっていたようです。かれらも役人で,自分たちの間違いを絶対に認めようとしませんから,いくら文句をつけたからと言って何かが変わったりする訳ではありません。文句を垂れるだけ時間と労力の無駄というものです。文句など言わずに,レベルが落ちたなぁと思いながら,冷ややかな目で彼らを見るだけにしておきましょう。
さて,もともと投資信託は余程運が良くなければほぼ確実に損害を被るようにできている金融商品であるにもかかわらず,金融機関が手にする販売手数料収入が多額になるため,あれこれと不都合な事実を覆い隠しながら販売しているのが実態です。
新しい投資信託を設定して販売を開始すればするほど,つまり一度設定した投資信託を後になって買うほど損害を被りやすいという事実を誰も解き明かそうとしないのは不思議なのですが,なぜそうなるのかを説明するとだいたい次のようになります。
- まず第一に,投資信託の運用利回りをできる限り上げたいと考えるのはどの金融機関も同じです。しかし,属人的な運用ノウハウがあるので,優秀な運用成績を上げたファンドマネージャーは取り合いになって別のファンドに引き抜かれるようになります。そうすると,その投資信託は以前のように運用成績が上がらなくなってしまうのです。
- 運用成績の良いファンドに投資家が注目して多額の資金が流れ込むようになると,その多額の資金について新しい運用先を探さなければならなくなるので,運用成績はだんだんと落ちてきます。
- しかも,多額の資金で大口の株式を売買すると,以前にも増して運用のための売買コストがかかるようになってきます。
- ファンドが成長して運用が安定してくると,その投資信託のファンドマネージャーは保守的になって,わざわざ高いリスクを払ってリターン率を上げようとしなくなってきます。
- 大きなファンドがいくつも増えてくると,どのファンドも同じような運用先で同じ銘柄の株式が増えてくるので,似たり寄ったりのファンドになってきます。
平均的な投資信託ではその運転費用がだいたい1.5%前後,取引コストが2%前後,合計で約3.5%かかりますので,それだけで運用益を食いつぶしてしまい,どうしても市場平均から3.5%程度は低い運用成績になってしまうのです。
投資信託の営業担当者は,過去の運用成績が(例えばですが)40パーセントでした,というような資料を持ち出してくるのが常套手段なのですが,これが将来にも渡って40%で運用できるのではないかと錯覚させるような詐欺まがいの行為なのです。絶対に信用してはダメです。
実は,これは運用先の価格が一番低いときと一番高いときとを比較するとファンドは最大で40%増加したと言っているに過ぎません。値段が上がり切ったところで買うと将来的には値を下げる確率が非常に高くて損害を被る可能性が高い,と言う意味なのです。
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