前回は多額の含み損を抱えたときに,一体「どれくらいの含み損をどれくらいの期間我慢できるか」をあらかじめ考えておくべきと書きました。反対に(奇妙に聞こえるかもしれませんが)「どれくらいの含み益をどれくらいの期間我慢できるか」も考えなくてはなりません。
ここで話が変わってしまうように感じるかもしれませんが,株式を購入する目的について自分自身に問いかけなければなりません。それは,
(A)「購入した時よりも値段が上がれば売りたい」(=株式の値上がり益に関心がある)と考えるのか,それとも
(B)「株式を保有することで資金調達(直接金融)の一翼を担って,その会社の一部を所有したい」(=その企業が獲得する利益配当の一部を報酬として受け取る)と考えるのか
です。
(A)のように考えたとすると,株価が値下がりして含み損が発生した際に,あらかじめ決めておいた損切基準に従って売却する行動を起こすかもしれません。損切基準を設けていないなら,行き当たりばったりで一貫性の無い行動をとることになるでしょう。含み損が発生している状況で売却しようと考えるのですから,かならず確定損失が発生します。悪いことに,売却直後に株価が戻し始めてもその時点では株式を持っていないので,慌てて買い戻したとしてもその恩恵に預かることはできなくなります。
これとは反対に,株価が値上がりして含み益が発生している状況ではどうなのでしょうか?あらかじめ決めておいた売却基準に従って売却するか,あるいは基準を設けていなければ行き当たりばったりで売却する一貫性の無い行動に出ることでしょう。もし売却した後で更に株価が上昇してしまったら,実際には確定利益が出たにもかかわらず,欲深い人なら「損した」と考えるかもしれないのです。
(A)のように考えるそれぞれの売り手と買い手は互いに売買益を受け渡しているだけですから,誰かが利益を得れば別の誰かが同額の損失を被ります。
(続く)
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