前回の続きです。
所得税法では所得を10種類に分類しています。
1 給与所得 労働力を対価とする収入
2 退職所得 労働力を対価とする収入
3 事業所得 事業に従事することで得る収入
4 山林所得 山林の伐採などから得る収入
5 譲渡所得 不動産や株式の譲渡から得る収入
6 不動産所得 不動産の貸付から得る収入
7 一時所得 競馬競輪の払戻金,満期保険金など
8 利子所得 預貯金の利子など
9 配当所得 利益の配当など
10 雑所得 原稿料や印税など
給与所得,退職所得,事業所得,山林所得は,大雑把にいうと人間の労働力を対価として得られる収入と言えます。一生懸命働かなければ得ることができないので,「労働は貴い」という道徳的価値観の根拠になります。書物の著作による原稿料や印税などの所得は,何らかの能力または才能を評価した結果として得ることができると考えれば,それなりに納得できそうな(道徳的価値観に基づいた)正当な対価と見做せることでしょう。しかし,譲渡所得,不動産所得,利子所得,配当所得,一時所得は不労所得とも呼ばれるように,労働の対価が無くても(朝から晩まで労働時間の拘束を受けなくても)得ることができるため,この道徳的価値観を崩壊させてしまうのです。不動産や株式で投資する人は,やり方によっては労働の対価として得る収入よりもはるかに大きな利益を手にすることもできる訳ですから,この価値観を持つ人にとっては限りなく許しがたい対象となってしまう訳です。
(続く)
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