「混入で一番やっかいなのは、粉虫ですね。幼虫はフィルターで取り除くことができますが、問題は卵。小麦粉の中に粉虫の卵が紛れていて、フィルターの目を通り抜けてパンの中に入ってしまうのです。
クレーム対応は若手が行くことが多く、1年で100件以上対応することもあります。お客様のところで商品を回収して代金を支払い、おわびとしてグループ会社のヤマザキビスケットのクッキーをお渡しします。もちろんその際、“現場のほうに衛生管理を徹底するよう注意します”などと説明します」
「人海戦術で購入し、実質的に回収」
“変な味がする”といったクレームが、同じ生産工程の同じ商品で3件発生した場合はどう対応するのか。山崎製パンの元社員は、そうした時の“対応テクニック”を先輩から伝授されたという。
「先輩はそれを“ダマでの買い取り”と呼んでいました。やり方は至ってシンプルで、クレームが複数寄せられた当該商品がどの店舗に何個納品されているかをまず把握します。それを社員らが一般消費者を装って、一軒一軒店を訪ねて人海戦術で購入し、実質的に回収してしまうのです」【一部抜粋】
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同社の工場で死亡事故が発生するのは今回が初めてではない。
・2012年6月16日
伊勢崎工場(群馬県)で男性社員が配送用トラックのドアに挟まれ、胸などを強く圧迫されて死亡。ケースを降ろす作業中に車が前に動き出し、運転席側のドアを開けて車を止めようとした際、ドアが駐車中の別の配送車にぶつかり、はずみで挟まれたとみられる(「MSN産経ニュース」記事より)。
・15年11月2日
古河工場(茨城県)で男性社員が小麦の貯蔵タンクを清掃中、タンクからコンクリート製の地面に転落し、頭を強く打って死亡(「茨城新聞」記事より)。
・20年
神戸工場(兵庫県)で、容器の洗浄ラインで機械の運転を停止させずに調整作業が行われ、機械内で修復作業に当たっていた男性社員が容器と機械の内壁の間に頭や上半身を挟まれ死亡(「労災ユニオン」公式サイトより)。