第7章 アファーマティブ・アクションをめぐる議論
アファーマティブ・アクションとは、弱者集団の不利な現状を、歴史的経緯や社会環境に鑑みた上で是正するための是正措置の事を指し示している。是正措置とは、民族や人種や出自による差別と貧困に悩む被差別集団の、進学や就職や職場における昇進において、特別な採用枠の設置や、試験点数の割り増しなどの優遇措置を指している。(Wikipedia)
アメリカ英語: Affirmative Action (肯定的(積極的)行動) 肯定的措置
イギリス英語: Positive Discrimination (積極的差別)積極的是正措置
アファーマティブ・アクションの例
優先入学制度 - 進学率が低いといわれるアフリカ系アメリカ人やラテン系人々の学力向上のために作られた制度。入学試験の点数を加点するなどの措置が取られている。
優先雇用 -アメリカでは連邦機関や地方自治体での雇用の際、アフリカ系アメリカ人や少数民族及び女性を一定数採用するよう働きかける指導がある。解雇の際 白人を先に解雇することなどを指示する等されている。
優先昇進 - EUでは、大手上場企業の非業務執行取締役に男性と女性を一定の割合(非業務執行役員 の40%、または役員全体の33%)にすると定め女性の活躍を積極的に推進している。
日本の例(日本航空株式会社)ー 女性が活躍できる場の発掘と女性の視点を事業運営に取り込む。育児休暇制度の整備、全社員のワークライフバランス推進、フレックスタイム制拡大等の実施により、女性管理職の数と比率が年々増加。
ロールズは「正義論」で規範的政治理論を示した。平等な自由原理 公正な機会均等原理 格差原理(正 義の二原理)を規範とし、アファーマティブ・アクションを議論している。現代社会では、階層化・分断化・格差が議論されている。アファーマティブ・アクションでの是正措置で、政治理論の現実に向き合う姿勢を提示している。Black Lives Matter運動に代表される人種問題、宗教道徳(米国ではキリスト教)の議論等、現実の政治に向き合い政治理論が直面する課題への対応は、ロールズ以降継続されている。これまで「これからの「正義」の話しをしよう」(マイケル・サンデル著)を読んで来た。日進月歩の政治理論の進展を改めて思う。実際の政治に対しても、規範的政治理論が現実に向き合っている事に対し、私の不勉強を知る事となった。
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