おばぁさんは
少しの間首を横に傾けて
たくとはなの顔を見ていました。
玄関でもう一度チャイムが鳴り
呼ぶ声が聞こえてきます。
おばぁさん・・・。
ふたりは心の中で呼びました。
すると、おばぁさんは体を支えながら
ゆっくりと立ち上がって玄関へ向かいました。
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おばぁさん、何を言うの?
おばぁさんは背中をまるめて
小さな声で言いました。
「ミュウちゃんを、隠しちゃおうか」
たくとはなは言葉が出てきません。
「ミュウちゃんのお迎えが来ても黙っていようか」
おばぁさんはたくとはなを見て
片方の目をキュッと瞑りました。
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空はきれいに晴れました。
庭の木の芽に雫がこぼれます。
たくとはなとミュウちゃんは
飼い主さんを待ってます。
おばぁさんはひとつふたつ咳をしてから
「雨上がりはいいわね。」
と言いました。
「トムがね喜んでお散歩に行ったの」
「おじいさんもとても嬉しそうだった」
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