
【2回戦、島原農-波佐見】第3シード波佐見から5安打1失点の完投勝利を挙げ、喜ぶ島原農のエース林田(中央)=佐世保市総合グラウンド野球場
一発勝負の夏は何が起きるか分からない。島原農が戦前の予想を覆し、第3シード波佐見をチーム一丸で退けた。エース林田が最後の打者を中飛に打ち取った瞬間、マウンドに歓喜の輪。藤本監督は「二百点満点。1回戦よりチーム状態が良くなっている」と賛辞を贈った。
藤本監督が「自分たちで作戦をあれこれ話し合い、失敗を試合に生かしていた」と舌を巻くほどナインは勝負に集中していた。その代表格がバッテリーだろう。
林田は1年時からバッテリーを組む捕手の平野と策を練った。出した答えは「強豪校は速球系に強い。変化球で目先をかわそう」だった。
波佐見の1、2、5番の左打者に投じた「シュート」が効果てきめん。打者が「捉えた」と思った瞬間、外に逃げる球で意識付けをして、チェンジアップ、縦に割れるカーブでバットの芯を外し続けた。打線も波佐見の左腕エース桃田の立ち上がりを捉えて、林田の投球を楽にした。
長崎南の道向、波佐見の桃田ら指折りの好投手のいる難敵を破って、2年ぶりの3回戦進出。藤本監督は「自分たちのやるべき野球を一人一人が理解しているから地に足がついた戦いができる」と手応え。「打倒シード校が僕らの目標」(林田)というダークホースが、台風の目になりそうな予感がしてきた。
(2012/07/13長崎新聞掲載記事)