初の甲子園出場を果たした創成館。エース大野を中心に全国の強豪に立ち向かう=県営ビッグNスタジアム
第85回選抜高校野球大会(22日から13日間・甲子園)に九州代表として初出場する本県の創成館は、大会第4日の2回戦第1試合(25日9時)で昨秋の明治神宮大会を制した東北地区代表の仙台育英(宮城)と対戦する。2011年秋の九州大会では選抜当確ラインの4強入りを果たしながら、準決勝の大敗が響き昨年は落選。その悔しさを糧に練習を重ね、今春、甲子園切符をつかんだ。近いようで遠かった夢舞台。ナインは「初陣で旋風を」と意気込んでいる。
1年生の秋からマウンドを守るエース大野が守備の柱。稙田(わさだ)監督が「彼の成否が勝利の鍵」と絶対の信頼を寄せる技巧派右腕だ。直球は140キロに満たないが、カーブ、スライダー、フォークと多彩な変化球を操る。肩の可動域が広く、腕がムチのようにしなるため、打者は球速表示以上に速さを感じる。
九州大会は準々決勝まで3試合連続完封。右ひじ痛による投げ込み不足で、準決勝の沖縄尚学戦は打ち込まれたが、防御率は1・46と実力通りの数字を残した。今冬の筋力トレーニングなどで体もひと回り大きくなり、球威もアップ。左打者対策としてチェンジアップを習得し、投球の幅も広げた。大野は「チームに流れを呼び込むような快投をしたい」と晴れ舞台を心待ちにしている。
社会人野球出身の稙田監督が重視するのが「守備力」だ。秋は計9試合で失策12。沖縄尚学戦では3失策がいずれも失点に絡むなどセンターラインに課題を残した。オフは身体能力が高く球際に強い小島を、三塁から遊撃にコンバートするなど再整備。大野が打たせて取るタイプだけに、堅守でエースを支えたい。
チーム打率は2割4分1厘。本塁打ゼロと迫力に欠けるが、13安打9点を挙げた準々決勝の久留米商(福岡)戦のように、勝負どころでは集中打を見せる。ポイントゲッターは、1年夏から4番に座る坂井。リストが強く、右方向に強い打球を放つ。秋は左くるぶしの打撲痛に苦しみながら、3割7分5厘の高打率を残した。
坂井が勝負を避けられる場面が予想されるため、後ろを打つ5番江口がポイントになる。思い切りが良く、場面に応じて進塁打などでチャンスメークできるのは心強い。
オフは九州大会の反省を踏まえ、打撃練習に力を入れた。筋力トレーニングと並行してロングティーなどでスイング量を増やした。1番木下、2番林ら、もともとスピードを備えた選手が多いだけに、機動力を絡めた攻撃を発揮できれば、得点力は上がりそうだ。
選手たちは17日に陸路で関西入り。練習試合を重ねながら開幕に備える。木下主将は「昨年出場を逃した卒業生の思いも胸に秘め、一戦一戦、全力で戦いたい」、稙田監督は「春はどのチームも実戦不足で仕上がりに不安を残す。メンタル面を含め、いかに七十パーセントの状態に持っていけるかが鍵。まずは初戦突破して甲子園に校歌を響かせたい」と静かな闘志を燃やす。
◆稙田 龍生監督 別府大付高(現明豊)卒。1986年に社会人野球の九州三菱自動車に入社し、内野手として活躍。99年7月に監督に就任。日本選手権に2度出場し、2005年に8強入り。08年7月に退任し同年9月に創成館高の監督に就任。学校事務職員。大分県出身。49歳。
◆森岡 信浩部長 長崎総合科学大付高、立正大を経て、1990年に創成館高に赴任。2008年から野球部長。社会科教諭。諫早市出身。52歳。
◎ベンチ入りメンバー紹介
野口 昇馬左翼手(3年・背番号7)
つなぐ打撃が持ち味。「体が小さい分、セーフティーバントなど小技で勝負。とにかく出塁したい」。163センチ、60キロ。
前田 将寿中堅手(3年・背番号8)
コースに逆らわない打撃が光る。「甲子園は幼いころから夢見てきた舞台。緊張するが、全力プレーしたい」。176センチ、73キロ。
林 健斗右翼手(3年・背番号9)
50メートル6秒2の走力が武器。「甲子園出場校はバッテリーのレベルが高いが、自慢の足で盗塁を決めてみたい」。166センチ、62キロ。
廣渡 勇樹投手(2年・背番号10)
監督期待の本格左腕。「甲子園のマウンドに立つことができたら、決め球のフォークで三振を狙う」。179センチ、73キロ。
橋口開投手(3年・背番号11)
選手会長でムードメーカー。「出場機会があるとすれば代打。ベンチで相手投手の配球を分析し、出番を待つ」。165センチ、68キロ。
奥田 楓捕手(3年・背番号12)
強肩強打の控え捕手。「大野以外の投手は登板経験に乏しいので、ブルペンで緊張感を和らげてあげたい」。174センチ、72キロ。
帆足 優彦内野手(3年・背番号13)
思い切りの良い打撃が持ち味。「一塁コーチャーを任されているので、的確な判断で打者走者を進塁させたい」。173センチ、73キロ。
牧島 将也内野手(3年・背番号14)
三塁コーチャー。「大きな声とジェスチャーで選手に指示。一人でも多くの走者を本塁に生還させたい」。173センチ、64キロ。
小野田弥啓内野手(2年・背番号15)
課題の打撃力が向上。「公式戦の打率が1割台と低かったので、打力を磨いてきた。大事な場面で打ちたい」。169センチ、78キロ。
江内谷康大内野手(2年・背番号16)
長打力が自慢。「甲子園メンバーに選ばれて光栄。チームのために自分ができることは何かを常に考えたい」。171センチ、64キロ。
城下 友希外野手(3年・背番号17)
フルスイングが持ち味。「ベンチに入れなかったメンバーのためにも全力を尽くす。代打で出場するのが夢」。163センチ、63キロ。
〓井 勇二外野手(3年・背番号18)
走力があり、守備範囲が広い。「足と肩には自信がある。守備では打球判断。特に1歩目を意識している」。167センチ、58キロ。
【編注】〓は、木ヘンに却の去が夕
2013/3/17 長崎新聞掲載記事
第85回選抜高校野球大会(22日から13日間・甲子園)に九州代表として初出場する本県の創成館は、大会第4日の2回戦第1試合(25日9時)で昨秋の明治神宮大会を制した東北地区代表の仙台育英(宮城)と対戦する。2011年秋の九州大会では選抜当確ラインの4強入りを果たしながら、準決勝の大敗が響き昨年は落選。その悔しさを糧に練習を重ね、今春、甲子園切符をつかんだ。近いようで遠かった夢舞台。ナインは「初陣で旋風を」と意気込んでいる。
1年生の秋からマウンドを守るエース大野が守備の柱。稙田(わさだ)監督が「彼の成否が勝利の鍵」と絶対の信頼を寄せる技巧派右腕だ。直球は140キロに満たないが、カーブ、スライダー、フォークと多彩な変化球を操る。肩の可動域が広く、腕がムチのようにしなるため、打者は球速表示以上に速さを感じる。
九州大会は準々決勝まで3試合連続完封。右ひじ痛による投げ込み不足で、準決勝の沖縄尚学戦は打ち込まれたが、防御率は1・46と実力通りの数字を残した。今冬の筋力トレーニングなどで体もひと回り大きくなり、球威もアップ。左打者対策としてチェンジアップを習得し、投球の幅も広げた。大野は「チームに流れを呼び込むような快投をしたい」と晴れ舞台を心待ちにしている。
社会人野球出身の稙田監督が重視するのが「守備力」だ。秋は計9試合で失策12。沖縄尚学戦では3失策がいずれも失点に絡むなどセンターラインに課題を残した。オフは身体能力が高く球際に強い小島を、三塁から遊撃にコンバートするなど再整備。大野が打たせて取るタイプだけに、堅守でエースを支えたい。
チーム打率は2割4分1厘。本塁打ゼロと迫力に欠けるが、13安打9点を挙げた準々決勝の久留米商(福岡)戦のように、勝負どころでは集中打を見せる。ポイントゲッターは、1年夏から4番に座る坂井。リストが強く、右方向に強い打球を放つ。秋は左くるぶしの打撲痛に苦しみながら、3割7分5厘の高打率を残した。
坂井が勝負を避けられる場面が予想されるため、後ろを打つ5番江口がポイントになる。思い切りが良く、場面に応じて進塁打などでチャンスメークできるのは心強い。
オフは九州大会の反省を踏まえ、打撃練習に力を入れた。筋力トレーニングと並行してロングティーなどでスイング量を増やした。1番木下、2番林ら、もともとスピードを備えた選手が多いだけに、機動力を絡めた攻撃を発揮できれば、得点力は上がりそうだ。
選手たちは17日に陸路で関西入り。練習試合を重ねながら開幕に備える。木下主将は「昨年出場を逃した卒業生の思いも胸に秘め、一戦一戦、全力で戦いたい」、稙田監督は「春はどのチームも実戦不足で仕上がりに不安を残す。メンタル面を含め、いかに七十パーセントの状態に持っていけるかが鍵。まずは初戦突破して甲子園に校歌を響かせたい」と静かな闘志を燃やす。
◆稙田 龍生監督 別府大付高(現明豊)卒。1986年に社会人野球の九州三菱自動車に入社し、内野手として活躍。99年7月に監督に就任。日本選手権に2度出場し、2005年に8強入り。08年7月に退任し同年9月に創成館高の監督に就任。学校事務職員。大分県出身。49歳。
◆森岡 信浩部長 長崎総合科学大付高、立正大を経て、1990年に創成館高に赴任。2008年から野球部長。社会科教諭。諫早市出身。52歳。
◎ベンチ入りメンバー紹介
野口 昇馬左翼手(3年・背番号7)
つなぐ打撃が持ち味。「体が小さい分、セーフティーバントなど小技で勝負。とにかく出塁したい」。163センチ、60キロ。
前田 将寿中堅手(3年・背番号8)
コースに逆らわない打撃が光る。「甲子園は幼いころから夢見てきた舞台。緊張するが、全力プレーしたい」。176センチ、73キロ。
林 健斗右翼手(3年・背番号9)
50メートル6秒2の走力が武器。「甲子園出場校はバッテリーのレベルが高いが、自慢の足で盗塁を決めてみたい」。166センチ、62キロ。
廣渡 勇樹投手(2年・背番号10)
監督期待の本格左腕。「甲子園のマウンドに立つことができたら、決め球のフォークで三振を狙う」。179センチ、73キロ。
橋口開投手(3年・背番号11)
選手会長でムードメーカー。「出場機会があるとすれば代打。ベンチで相手投手の配球を分析し、出番を待つ」。165センチ、68キロ。
奥田 楓捕手(3年・背番号12)
強肩強打の控え捕手。「大野以外の投手は登板経験に乏しいので、ブルペンで緊張感を和らげてあげたい」。174センチ、72キロ。
帆足 優彦内野手(3年・背番号13)
思い切りの良い打撃が持ち味。「一塁コーチャーを任されているので、的確な判断で打者走者を進塁させたい」。173センチ、73キロ。
牧島 将也内野手(3年・背番号14)
三塁コーチャー。「大きな声とジェスチャーで選手に指示。一人でも多くの走者を本塁に生還させたい」。173センチ、64キロ。
小野田弥啓内野手(2年・背番号15)
課題の打撃力が向上。「公式戦の打率が1割台と低かったので、打力を磨いてきた。大事な場面で打ちたい」。169センチ、78キロ。
江内谷康大内野手(2年・背番号16)
長打力が自慢。「甲子園メンバーに選ばれて光栄。チームのために自分ができることは何かを常に考えたい」。171センチ、64キロ。
城下 友希外野手(3年・背番号17)
フルスイングが持ち味。「ベンチに入れなかったメンバーのためにも全力を尽くす。代打で出場するのが夢」。163センチ、63キロ。
〓井 勇二外野手(3年・背番号18)
走力があり、守備範囲が広い。「足と肩には自信がある。守備では打球判断。特に1歩目を意識している」。167センチ、58キロ。
【編注】〓は、木ヘンに却の去が夕
2013/3/17 長崎新聞掲載記事