見出し画像

Log Book

東京オトナ大学 藤原正彦氏講演会

今年もやって来ました東京オトナ大学。

初回はゴールデンウィーク、二回目は5月中旬、
三回目は文化の日、そして今回は、勤労感謝の日と、
年々開催が遅くなっていくのは、気のせいでしょうか(笑)?
どういう事なの?
運営母体が安定していないのかな?

まぁ、そんな事は置いておいて、
今日は、その東京オトナ大学の基調講演を聴講。
講師は、数学者・作家で、お茶の水女子大学名誉教授の
藤原正彦さん。
タイトルは「東京、そして日本のこれから」

つかみは、子供の頃に市ヶ谷付近に住んでいたということで、
「このあたり(丸の内界隈)は自分の縄張りです」と言う
一言から始まります。

そして、JRの系のビルで開催ということで、話題は鉄道の話へ。

鉄道の話題の一つ目は、世界の駅の利用客数の話。
藤原さん曰く、なんと世界の1位から23位までは、
日本の駅が占めているそうです
日本以外では、24位に、やっとパリ北駅が出てくるそう。
藤原さんが暮らしたことが有るイギリスのウォータールー駅は、
日本で言うと、御徒町や津田沼くらいだそうです。
ウォータールー駅って、ユーロスターの発着駅なんですけどね。

そして話は新幹線の事に移ります。
世界的に高速鉄道の導入契機が高まり、日本の新幹線を始め、
フランスのTGV、ドイツのICE、そして中国のものとありますが、
それらとの決定的に違うことを語ります。
高速鉄道の構成要素としては、
1)線路建設などの土木技術
2)信号制御や運行管理のIT技術
3)働いている人のモラル
4)乗っている人のマナー
があると藤原さんは語っています。
1)2)は、世界のどこでも真似できるが、3)4)は真似できないとも。

そう言う、人のモラルというか、マナーに依拠しているものが、
その国の“国柄”と言う事につながるんだそう。
この後、“国柄”と言う事を、藤原さんは何度か触れます。

この後話は、日本の教育のことに。
ここでは、藤原さんが常日頃から語られている
「一に国語、二に国語、三四がなくて五に算数。あとは十以下」
と言う持論が示されます。
藤原さんは、数学者の筈なんですけどねぇ・・・(笑)。
この国語教育が重要であるということには、私も賛成ですね。
昨今の教育改革で、グローバル化と称して小学3・4年生から
英語教育を始める事については、要するに意味が無いと。
そして、IT教育についても、パソコンの使い方を教えるくらいなら、
算数(数学)をやれとも言っていました。
どちらも、私もそのとおりかなと思います。

ここから話は“教養”の話に。
藤原さんがイギリスで暮らした時に、イギリスの人から
日本史に関わる質問をされた事を例示としてあげていましたが、
要は、グローバル化は英語を学ぶことではなく、
自国のことを深くきちんと学ぶことなんですよね。
上記の藤原さんの経験でも、要するにそう言う自国の事について、
きちんと答えられなければ、相手にされなくなると言う事を
言っています。
そういう意味では、日本のトップエリートは教養が全くなく、
世界に伍して戦えないという趣旨のことも。
戦前の旧制高校があった頃はまだ良かったけど、
戦後は旧制高校が無くなって、それから日本のトップエリートは
ダメに成ったと言う事でした。
外交交渉や商談も、交渉の場だけではなく、
その後の、オフの場でも繰り広げられるわけで、
交渉の場で多少話ができたとしても、
その後のオフの場での話がダメであれば、
交渉に勝てないんですよね。
日本が外交交渉に弱いのは、そう言うトップエリートの
教養の無さに原因が有るのかもしれません。

日本の文学は圧倒的に素晴らしいとも言っています。
ワビサビ、もののあはれ等々の日本の情緒は、
欧米人には理解不能であるとも。
文学、数学、物理で重要なのは美的感受性で、
美を追求することが高性能につながり、
昨今のノーベル賞の受賞や、
あるいは日本の工業製品が高性能であることの背景に
あると言う事のようです。
そして、日本文学に溢れる情緒が、その背景にあるとのこと。

最後に、
・惻隠の情。21世紀の重用な言葉
・卑怯を憎む心。これを、子供にはきちんと教えるべき。
と言う事を言っていました。

3.11の東日本大震災に際して、暴動が無かったり、
福島第一で活躍したハイパーレスキュー隊の家族の言葉の
例を引いて、まだまだ日本には、優れたところがあり、
そう言う優れた所が、日本の国柄だとも言っていました。

また、日本は“異常な”国であるとも。
侘び寂びや惻隠の情、3.11での整然としていた被災者・被災地など、
欧米基準では、図ることが出来ない事が日本には有る訳ですが、
それを“異常”と言う言葉で表現されていたわけですが、
確かに、藤原さんの言うとおり、日本は“異常な”国で
あり続けたいですね。

-----
東京オトナ大学 http://www.otonadaigaku.jp/
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「講演会」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事