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東京オトナ大学 奥山清行氏講演会 『地場産業のブランディングと地方創生―日本のものづくりを考える―』

勤労感謝の日!
快晴!

そんな今日は、東京オトナ大学に参戦です。
今回で9回目になるらしいのですが、
ほぼ参戦しています。

今回の講演は、デザイナーの奥山清行さん。

15:00の講演時間になって、講演の開始です。
講演の冒頭は、Kobe.9を作る際のビデオ。
奥山さんが描いたデザインが、クルマの形になっていくのを見て、
なんか、ワクワクしました。

そして、お話が始まります。

  • 当初は「伝統技術のブランディングと地方創生―日本のものづくりを考える―」と言う講演タイトルでしたが、「地場産業のブランディングと地方創生―日本のものづくりを考える―」と言うタイトルに変更
  • 日本人の悪いところは、過去と未来は“違う”と考えるところ。ヨーロッパでは、過去と今、未来は繋がっていると言う思考。なので、“伝統産業”と言う言葉ではなく、“地場産業”に変えてみた

  • まずは、四季島の話から
  • 四季島は観光のブランドピラミッド。
  • 日本は、伝統を重要視するあまり、過去を振り返りがち。四季島は、そういう考え方ではなく、未来から見た場合の伝統という考え方で作った。
  • 日本は、コモデティを大量生産するのが得意。しかし、日本以上にコモデティを低価格で生産する国が出てきて、日本は困ってきている。
  • ブランドピラミッドと言う考え方がある。一番上にフラッグシップ商品、二段目に主力商品、そして、一番下にコモデティ商品と言う序列。フラッグシップは、値崩れを起こしてはいけないので、たくさん作ってはダメ。なので、フェラーリなんかは1万台も作らない
  • Louis Vuittonは、自身を「カバン屋ではない」と定義している。カバン屋と定義してカバンだけを作っていては、エントリーユーザを捕まえられず、既存顧客は年とともに高齢化していくだけなので、最後にはブランドは死んでしまう。なので、同じ素材、同じ作りかたで、違う商材(財布とか)を作ってエントリーユーザを獲得する事をしている
  • コモデティ=“仕方なく買うもの”、プレミアム商品=“顧客がプレミアム価格を払っても買いたいと感じるもの”、ラグジュアリー商品=“初期投資より価値が上がる商品/買いたくて“仕方ない”商品”。不動産、フェラーリなどは、ラグジュアリー商品。ラグジュアリー商品は、日本にはない。ランボルギーニも、ポルシェも、プレミアムではあるが、ラグジュアリーではない。それは、時間が経っても値段が上がらないから。
  • 四季島での旅は「エクスペリアンスデザイン」。鉄道の旅、その全てをデザインして、日本の四季の自然と文化を楽しむと言う事をめざした。
  • 同時に「ビジネスデザイン」と言う事で、地場産業が参加したくなるビジネスモデル構築も目指した。ダイナーには、秋田木工、天童木工、コニカミノルタ、燕三条各社、大倉陶園のものが使われている。宮内庁御用達とかとは違い、JR東日本は民間企業なので、四季島で使われているものの市販を行うことまで考えて、ビジネスモデルを考えた
  • 四季島の先頭車両は、ハレのモダンデザイン。森林をイメージしている。内装には、オリエンタルカーペット、ポルトローナフラウの皮を使ったソファがある。カーペットは隈研吾のデザイン。隈研吾のデザインフィーは支払わなかったが、カーペットのロイヤルティが入るようにした。
  • 四季島スイート、デラックススイートは、ケのクラシックデザイン。これらには檜風呂があるが、鉄道で風呂を実現するには、水の補給が大変。通常鉄道車両の内装は、不燃を実現するために、見た目は木であっても、金属に表面加工を施して木に見える様にしていたりする。しかし、ある高さ以上では木を使っても良かったので木を使っている。風呂の最大の問題は、緊急停車の時に、風呂の水が溢れない事にすること。どうやっても解決しなかったので、諦めかけていたが、開発に川崎重工のオートバイのエンジニアが参加していて、そのエンジニアがオートバイの燃料タンクで燃料が停車した時に跳ねない様にするアイディアを知っていて、その応用で水溢れを防ぐ風呂のデザインを作った
  • 「神は細部に宿る」と言うのはレストラン。最初、中村勝広シェフは(奥山さんに)遠慮して「ヌーベルキュイジーヌにしましょうか?」とか言っていたが、逆に、思いっきりフレンチにしてくださいというと、“フレンチはナイフが命”と言って、いいナイフを選び始め、そうこうしているうちに、結局、全てを中村シェフが決めていた
  • 四季島のロゴ。普通の電車だとシールにしたりするが、四季島はシールではなく、真鍮。真鍮は汚れるので、キレイに清掃する必要があり、そのメンテナンスの計画も考えた。また、前述の檜風呂の水補給計画。水の補給には2時間かかるので、どこで補給するのかと言う事が重要になる。そういうものも考えた。
  • 四季島は、考え始めてから、走り始めるまで5年かかった。「大切な人の5年後の誕生日プレゼント探し」と言うコンセプトだが、実際にはわかるわけがない。だが、自分がその人の一番上手にしてあげられることと考えて、三内丸山遺跡で研究室に入って縄文土器を特別に持つ体験や、青森県立美術館収蔵のシャガールの4作品を、朝6時に独占して見ることができる、などのスペシャルな事を考えた。あとで、プライベートで三内丸山遺跡に行っても研究室には入れないし、縄文土器も持てなかった。青森県立美術館でシャガールも見たが、多くの観光客に紛れてみる事になった
  • 「一生忘れ得ない旅を創る」と言う事は、感動を支えるチーム作りでもある。従業員のユニフォームもデザイン。ハードは半分、あとは、ソフト=スタッフ。
  • 「製造業(運輸業)からサービス業への意識改革」。四季島の旅は決して安くないが、34人の客に17人の乗車スタッフがいる。これだけだと、JRの収支は赤字。そのほかの周辺のことまで考えて、トータルでの収支と言う考え方でないと出来ない。
  • 四季島の発着する上野駅の13.5番線は、通勤電車が普通に走っていて雰囲気がない。消防法規定で壁も作れないので、そのときだけ暖簾見たいなものが降りてくる様にして、乗る前から雰囲気が盛り上がっていくようにした

  • E3系の塗装変更もデザインした。赤い線があるが、あそこは職人の手塗りでグラデーションを実現している。あの赤色の線は、紅花をイメージして黄色から赤色になるグラデーションにしてある。紅花は棘がある植物で、厚い手袋をしても、詰む時に農家は手から血が出る。そのことから、「紅花の赤は、農家の血の色」と言う話を利府工場でしたら、工場の職人達が色がグラデーションしている意味を理解して、やってくれた。しかも、上手な一人だけ出来ても意味が無いので、6人の職人全員ができるようにシステム化して、できるようにした

  • 「フェラーリ=イタリア地場産業」フェラーリは、F1やるために車を作っている。なので、F1を止めるという事はあり得ない

  • 「有田焼開窯400周年事業プロデュース」と言うのもやった。有田焼は、元々輸出するために400年前に始められたものだったが、プロデュースを始めた時の全輸出額は5000万円。全然輸出されていなかった。有田焼は、1900年パリ万博で金賞を受賞したが、その時の作品はヨーロッパがイメージする日本に合わせて作ったので、金きら金でコテコテなデザイン。住み込みまでしてプロジェクトを進め、輸出を目指してヨーロッパの展示会に行ったら、皿に描かれたデザインは要らないとか、ナイフとフォークで食べたらナイフは左手で使うので実は皿のデザインが合っていないという事を知った。また、初回の時は、値段を付けないでいた。しかし、見に来たバイヤーに「値段つけろ」と怒られた。次の年は、ちゃんと値段を付けて行ったら、バイヤーが評価して買ってくれた。値付けについても、最初は原価積み上げだったが、それは高い。最初から売値ありきで商品設計を実施した。この展示会での経験で、言葉ができなくてもバイヤーと直接やり取りすることで、現場がわかった。自分のお金でやるのはアート、顧客のお金でやるのはデザイン。製造技術より販路、価格設定。
  • 展示会のブースに入る時、160CMの高さの暖簾のような作りにして、背の高い外国人は頭を下げないと入れないようにした。強制的に頭を下げさせて入るように
  • 展示会参加3年目。話題作りとして、隈研吾、佐藤可士和、北野武の3人のデザインのものをだした。これらはフラッグシップ商品。

  • 「山形工房」「新民芸運動」見てもマネのできないものを作る。砂型は、山形でしか作れない。
  • 「地方から直接世界へ」1億5000万のスーパーカーを山形で作った。世界でたった一台。利益はほとんど出ないが、客とプロセスを楽しむ。「出口戦略=KOD」を考えることが重要

  • 「ものつくり、まちつくり、ひとつくり」ものを作っていると、必ず、街つくりの話になる。
  • 「平成希望の五重塔」津波避難棟。安価で、耐久性100年。無骨なものも嫌なので、美しく。奥山事務所の20%プロジェクトで出てきたもの。インキュベーションプロジェクト。

いやぁ、あっという間の一時間でした。
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