映画『イーストサイド・寿司』 (East Side Sushi)の上映と、
映画の監督のトークイベントがあったので、行って来ました。
調べてみると、全国で何回か開かれているようです。
主催はアメリカ大使館なんですが、
場所は、“あの”物々しい大使館ではなく、
アメリカ政府の文化施設のアメリカンセンターJapan。
こちらは、文化施設なので、
一般市民が寄り付きやすい様になっているようです。
アメリカへの留学情報などもこちらで提供しているようです。
行ってみると、入館の際、いきなりの手荷物検査!
空港に有るような、金属探知ゲートもあります。
アメリカであることを思い起こさせられます。
大使館の広報・文化交流部なので、
ひょっとして、治外法権なのかな?
映画の上映の後、トークイベントと言うスケジュールなので、
まずは『イーストサイド・寿司』の上映から。
-----あらすじ・ここから-----
カリフォルニア州オークランド。フルーツの移動販売をして生計をたてているメキシコ移民のシングルマザー、フォアナは、あるきっかけから地元の寿司レストランで働くことになります。そこで今までふれたことのない新しい文化や人々に出会います。寿司に魅了され、寿司職人になりたいという夢を持ち奮闘するフォアナ。女性でありメキシコ系アメリカ人のフォアナに寿司屋の伝統が立ちはだかります。
仕事に夢をもち、目的に向かってまい進することでフォアナ自身も、彼女を取り巻くまわりの人々も徐々に変化していきます。はたしてフィオナの夢はかなうのでしょうか!?
(アメリカンセンターJAPANのイベント案内より)
https://americancenterjapan.com/event/201705225021/
-----あらすじ・ここまで-----
いや、中々面白い映画でした。
描かれているのは、
日本(寿司)とメキシコ(主人公ファナ)の文化の違い、
寿司職人と言う男性優位の場での、女性の立場
と言うお堅めなテーマ。
流行りのダイバーシティーと言うと聞こえは良いんですが、
なんか、そんな軽い話じゃ無い気がしました。
だってねぇ、その人にとっては日常ですもんね。
インデペンデンスの低予算映画と言う事ですが、
低予算であることをあまり感じさせず、
良い作品になっていたと思います。
映画のあとは、監督とのトークイベント。
監督のアンソニー・ルセロさんは、スターウォーズ、
パイレーツ・オブ・カリビアン、ハリー・ポッターなどの
ヒット作品の特殊撮影を担当したした人だそうです。
ちなみにこの映画では、Rotten Tomatoesで94%のスコアーを獲得、
サンフランシスコ・ウィークリーでは「2015年トップ10フィルム」に
選出されたそうです。
トークショーの司会は、
東京大学大学院法学政治学研究科教授の藤原帰一さん。
なんで、東京大学の教授が、こういうイベントの司会なのか?
と言う素朴な疑問は感じますが、
映画好きで、コラムとかも書いているからだそうです。
そして、特別ゲストに、サプライズで、
映画でAkiを演じていた、Yutaka Takeuchiさんも登場。
開会の時に司会の人が「今日は、サプライズがあります」
と言っていたのは、これだったんですね。
監督のコメントとしては、
- 低予算で苦労した
- だが、やってみて良かった
- 食べ物と言うのは、異文化に最初に接触するものなので選んでみた
とかとか。
ちなみに竹内さんは、現場での唯一のオリジナル日本人として、
脚本の内容にコメントしたり、いろんな所作を確認したりして
いたらしいのですが、実は低予算であったと言う事に
関係しているようです。
演技以外にもすることがあって、大変だったと言っていました。
質疑応答も、少しありました。
苦労したこととして、「予算がなかった」と言う事は、
この時にも出ましたが、
今回の映画は寿司をテーマにした映画な訳ですが、
目で見る寿司の色と、ライティングした時の寿司の色が違い、
撮影に苦労したと言う事も言っていました。
この時、司会の藤原さんから、
伊丹十三監督が『たんぽぽ』を撮った時に、
曰く「演技は心配していない。心配なのは料理だ。」と
言ったエピソードを紹介していました。
そうそう。
あと、やっぱりですが、竹内さんとファナ役のディアナさんも、
何回か寿司職人を教える学校に行って練習したそうです。
学校以外でも練習したと言っていました。
映画を作るに際に気を付けたこととして
監督が言っていたのは、
「(ここでも言っていたんですが)映画は娯楽。
説教的にはしたくなかった」と言うこと。
竹内さんも、同じ様な事を言っていて、
『ラストサムライ』や『硫黄島からの手紙』などに
出演した経験から、
「脚本などに実際の日本人の所作や習慣などを
コメントすることはあるが、最終的に映画作品として、
どうするか(正確性を取るのか、演劇性を取るのか)の
ジャッジメントまではしない。映画は映画。」と
言っていました。
面白いと言うか、人によって取り方が違うなと思ったのは、
ラストの寿司チャンピオンシップのシーンでの
ファナのメイクアップの事。
確かに濃い目のメイクだとは思いましたが、
「メキシコ系の女性であることを強調しようとしたのか?」
と言う質問が出ていました。
監督の意図としては、①場面転換の意味合いを込めた、
②(ここまではあまり良い衣装を着ていなかった)ファナを
キレイにしてあげたかった、と言う事でした。
そりゃそうだ。
監督は、こう言う事も言っていました。
「ファナが、女性差別や文化の違い等の逆境に負けずに
自分のなりたいもの(寿司職人)に向かって奮闘する姿は、
実は、自分の姿でもある。」と。
監督自身も、特殊撮影のフィールドで
映像の仕事を始めたわけですが、
「実は、特殊撮影ではなく、普通の映画が撮りたかった。
この映画は、そう言う自分の姿も写していると、後から気がついた。」
と言う様な事を言っていました。
他にも色々ありましたが、まとめきれません!
最後に、ファナ役のディアナさんが、
メキシコの映画賞(アメリカで言うとエミー賞的な賞)の
新人賞を受賞したそうです。
その他にも、この映画は、監督賞とか脚本賞、
作品賞も取ったっぽいです。
映画も面白かったし、トークショーも良かったです。
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East Side SushiのIMDB(Internet Movie Date Base)
East Side SushiにAki役で出演していたYutaka TakeuchiさんのHP