幼い頃、クリスマスの朝起きると、枕元に紙で出来た赤い靴下の中にお菓子がいっぱい入っていた。ボクは毎年、それを楽しみにしていた。8歳の時だった。クリスマスイブの日。親父がボクたち兄弟6人に集合するように云った。初めての家族全員の会議だったと思う。親父は腕組みをして、兄弟全員の顔を見渡して、「みんな、家にはクリスマスはない。何故なら家は仏教だからだ」兄や姉たちは黙ってその場を離れた。ボクは親父に、「ねぇ父ちゃん、ぶっきょうって何?」親父は、腕組みしたままだった。