そんなに一人が嫌なのか?
年寄りは寂しがり。
本当に、子供と同じ。
義父がいる頃は、二人でお留守番も出来たが
今は、いつでもどこでも、ほとんどついてくる。
退屈だろうと気遣って
どこどこ行きますけど、一緒に行きますか?
と声をかけると
「・・・行ってもいいね」と言う。
行ってもいいね、ということは?
行かなくてもいい、のでは?と思うのだが(笑)
これはいつもの「気になる義母語録」。
月末まで20着、縫わなくてはいけない仕事が気になって
「二階で仕事しますね」と言うと
「私も行くから!」と、すかさず言う。
階段、大変なのに、えっちらおっちら、運動もかねて。
実は一昨日もそうやって義母の傍らで仕事をした。
編みかけのエコクラフトのカゴを完成させる、と
張り切ってついてきたのは良いけれど
編み方をいちいち教えながら、なので
思ったほど仕事が進まず・・・
義母はちゃっかりその日のうちに出来上がってご満悦。
「ダメな生徒だな、やっかいだな」と口では言うが
私がいないと何もできない。
(・・てか、ほとんど私が手直ししましたから!)
いつも、滞在中はやることがなくて
ボーっと新聞ばかり読んでいる義母が
2、3日するとボケーッとして来るのが気になって
最初は編み物を教えていたが、
6着くらい編み終えたこの頃は、さすがに飽きて来たらしく
私の実母を真似っこしてか、
カゴを編みたい、縫い物をしたいと言い出して
まず、エコクラフトを始めた。
お正月明けにみんなが帰ってさみしそうだったので
義母の姪のF美さんに電話をしたら、翌日遊びに来てくれて
前からやりたいと言われていたエコクラフトを一緒に編んだ。
その日は本当に楽しそうで、表情もイキイキして
よかったなあ~と思ったけれど、
一日がかりのお客様で、私の仕事は完全クローズ(笑)
・・・そんなことがあったばかりだったものだから
カゴも完成したことだし
「私も行く!暖房あちこちつけなくても・・」という義母に
そんなことは気にしなくても良いので、
家だと思って自由~~にしてください、
どこにいてもいいんですよ、と言うと
「んでも・・・」と言うので
じゃあ、行きましょう、部屋を温めてきますね、と
一階の暖房を切って先に二階に上がったら
下から「私もあとで上がって行くから!」と声がしたので
はあい、と返事をして
そのまま裁断を始めたのだが・・・・
二着分を裁断しても、まだ義母が来ない。
あれ?
もしかして、転んで起きられなくなっていたりして??と
心配になって見に行くと、リビングにはおらず
自分の部屋のファンヒーターの前で、
座椅子に斜めに座って、雑誌を読んでいた。
(ブラインドも開けずに薄暗いまま)
「転んだりしてないかと思って見に来ました~」と声をかけると
「寒くていられないから、この前にいた」と言う・・・????
上がってくるって言うから、待ってたんですよ、と促し
手を貸して立たせようとしたら、コロンと転んで
痛たたた・・・こうなるから座るの嫌なんだ、と。
・・・これは、拗ねてるな。
私が何かしたのか?
意地悪されたと感じちゃった…?
よく聞く、被害妄想というのはコレか~
だから、椅子じゃないともうダメですよ~
この部屋にもひとつ何か用意しないとですね、
と言いながら二階へ。えっちらおっちら。
(義母が昼間自分の部屋にいたのは初めてだから
今までは必要なかった)
そうして、傍らでしばらく雑誌を読んだり
私の仕事を見ていたが
「私も、縫い物してもいいんだけど」と義母。
(気になる義母語録、またしても・笑。
してもいい、ってどーゆーことやねん)
前に私が縫ってあげたチュニックがお気に入りで、
コレを縫いたい、と前から言われていたのだが
型紙が見つからず、
製図しますね、と実物を借りていたのだが、
とても製図している時間はなかったのでそのままに。
「じゃあ、製図しないとですね」と言って
製図用紙を広げた。
いいよいいよ、そっち先にやって。と言われても
20着縫うまで待てるのか?笑
「ちょうど切りが付いたので、やっちゃいます」
「そうお?なんだか悪いわね」
今度は私が半ばイラつきながら、
しかし決して義母には悟られまい、ええ、そこは意地でも!
ものごし柔らかく、あくまでも優しく、
しかし製図は手際よく。
…ようやく製図が終わり、そのまま裁断へGO。
そこへ、次なる難題が・・・
義母が用意した生地と言うのが、古い着物をほどいたもので
色が濃いため印も見えなければ、
ルレットや目打ちも利かないという困りもの。
しかも、全体に模様があって、柄合わせが必要・・・
これは思ったより大変だぞ、と
半ば自分の仕事をあきらめて、義母の製作に専念。
子供が生まれた時、さぞや育児は大変だろうと腹をくくり
「子育て15年」と、覚悟した。
そのくらいあれば、三人育てられるだろうと・・・。
実際にはそんなにかからなかったし、
子供を見ながら、好きなことが出来たのは嬉しい誤算で
今思うと本当に、楽しくもありがたい
貴重な時間を過ごしたことになる。
ようし、義母との時間も10年を覚悟しよう。
数年後には夫が退職して帰ってくるし
子供を育てたように、義母と暮らして行けば
それほど大きな苛立ちもないのではないか?
一人暮らしに慣れすぎていた。
一日の全ての時間を、自分のために使うことが出来た
今までが贅沢だったのだ。
なんといっても、私の本業はコレなのだから、
上手にそう思い込むとしよう。
それに・・・
これから、これ以上に、もっと大変な事態が
やってこないとも限らない。
義母はいつも、ご先祖様の仏前に手を合わせる。
「昨日も一日、無事に過ごさせていただき
ありがとうございます。
今日もどうか平穏に過ごせますようにお守りください。」
ほんとうに、その通り。
それだけでありがたいと思わなければね。
神様、仏様。
がんばりますから、私にどうか、
後でご褒美くださいね(笑)