映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、セックス依存症の男の闇を描いた映画「SHEME-シェイム」です。
ニューヨークのエリート社員の男は、仕事以外の時間を、セックスに費やすセックス依存症を抱えている。そこにジャズシンガーの恋愛依存症を抱える妹が突然現れ、彼の部屋に居座るようになります。妹により、彼のシェイム(恥)の部分が徐々に崩れていきます。
一般映画で、セックス、自慰行為、アダルトサイトと、全編のほとんどを性に関する描写で埋まれている作品はないと思います。ですから、観る人によって評価は様々で、観る事も拒否する嫌悪感がある作品です。
そんな、センセーショナルな問題を、黒人監督スティーヴ・マックイーンは、淡々と描きアートとして昇華しています。アメリカでのセックス依存症は決して少なくはなく、ハリウッド俳優や歌手が告白しリハビリに務めている現実の中で、真正面から描ききった監督はいないでしょう。
主役のブランドンを演じたマイケル・ファスペンダーは、端正な顔立ちとスタイルと相反する生々しく演じきり、妹を演じたキャリー・マリガンも、天真爛漫にふるまう表の顔とは裏腹に恋愛依存症から抜けだせず、自傷行為を繰り返す演じ、ドキュメンタリを観ているように感じました。
二人は、孤独を埋めるように、それぞれ病に向かい生きている。その姿が、目を背けたくなるようなシーンでも見入ってしまう不思議な魅力を持つ作品でした。