名女優、メギー・スミス主演の甘く切ないユーモア作品「ミス・シェパードをお手本に」を観賞。
最近のイギリス映画は、情緒を兼ね備えたユーモアあふれる作品がめだつように思います。以前公開され静かなブームを巻き起こした「おみおくりの作法」もそのひとつ。
孤独な主人公が織りなす哀感とヒューマニズムをもった作品が、人々の心を静かに揺り動かすのでしょう。そして、その中に英国的なユーモアが欠かせません。
今回の作品は、実話に基づく、ファンタジックなラストが心救われるミステリーの要素を含んだ逸作です。
裕福な家族が住むロンドンのカムデン。そこで車上生活を気ままに暮らす老婆シェパード。生活保護を拒否し、誇りたいシェパードは、住宅街の人々のこびへつらうことなく、気高く生きている。そんな中で、路上駐車での生活が出来なくなり、劇作家の男ベネットの駐車スペースに間借をして生活することに。フランス語を話し、音楽に造詣の深い彼女に興味を抱いたベネットは、彼女を観察しながら彼女の過去を探り出していきます。
映画の冒頭での交通事故と正体を隠しながらも、信念と信仰を通して生活する姿は、矍鑠としていて、その身なりを対象的に誇り高い。住人に向かって発せられる言葉にも、揺るぎないものが感じられ、納得がいってしまう。
そして隠された罪におびえながらも、くじけることなく人生を謳歌する姿にも共感を覚えると思います。どうもこの作品を日本人の浪花節と重ねている感がありますが、僕自身は、白州次郎氏が唱えたカントリージェントルマンをミス・シェパードから感じました。