今年のアカデミー賞は、どの評論家も予想が外れたのではないでしょうか。そして、今回のアノーラがオスカー5冠とは予測不可能な事態だったと思います。とは言え、カンヌでパルムドールを受賞もだてではなかった。
インディペンデント作品で低予算で制作された本作。古典的なシンデレラストーリーを今風に解釈した作品でR18指定からもわかる通りか、かなりお下劣な内容です。
ロシア系アメリカ人のストリッパー、アニー(アノーラ)が、店に来たロシア人御曹司のイヴァンに見初められヴェガスの教会で結婚しシンデレラストーリーが結実。しかし、イヴァンの両親から猛反対を喰らい婚約破棄を迫られ、挙句の果てにイヴァンは失踪。イヴァンの部下とボディガードと一緒に捜しだしに行くという内容です。
乱痴気騒ぎの豪遊とはハチャメチャ捜索劇の構成ですが、F○○Kの連発さえなければ、コメディとしては楽しめます。主演女優賞に輝いたマイキィー・マディソンの体当たりの演技は見応え十分ですが、作品賞、脚本賞、編集、監督と4つのオスカーを獲得したショーン・ベイカー自身がスピーチで信じられないを連発するほどです。
劇場公開が少ない作品でしかも成人映画が受賞したことは、映画館に足を運ぶことが少なくなってきた昨今のシネマ事情の中でアノーラのシンデレラストーリーは続いてほしいものです。