前回の『展示会』におけるオチの場面でキューピット
が話題に上っていましたが ・・・
絵画調キューピット suzuri.jp
キューピッド(Cupid)とは、
天使、それとも、キューピッド? www.bing.com
ローマ神話の愛の神クピードー(クピド)の英語読み
の表現で、キューピットとも言います。
イタリアではアモーレ(ラテン語のアモル)と呼ばれ
、ギリシャ神話ではエロスという名前です。
愛と美の女神アフロディーテと愛人である軍神アレス
(軍神マルス)との間に生まれた息子で2枚の翼が有り、
自由に空を飛べます。また、手に弓矢を持ち、その矢が
当たった者には恋愛が始まるという話は有名です。
ところで、ギリシャ神話の中では愛と欲望の神エロス
として登場するキューピッドは、若くてハンサムな翼を
持った美少年という描かれ方をしていました。
「クピドとプシュケ」akashiaya.hatenadiary.jp
しかし、ローマ文化に引き継がれた時に、ぽっちゃり
とした可愛い印象の赤ん坊の姿のキューピッドになった
ようなのです。
また、ギリシャ神話でのキューピッドは、愛の矢以外
にも恋を断ち切る鉛の矢も持っていたそうです。
たとえば、こんな話があります。
太陽神アポロが「弓なんか持って、お前に何ができる
んだ?」とキューピッドをからかった時、キューピッド
は怒り、アポロに復讐をしました。
『アポロンとダフネ』 ベルニーニ作
アポロンに追われ月桂樹と一体化するダフネ
その頃アポロは、ダフネというニンフに恋をして夢中
になり追いかけ回していたのですが、アポロに対しては
ますます恋心が熱くなるように「愛の矢」を打ち、逆に
一方のダフネには「愛を断ち切り拒絶する矢」を放った
そうなのです。
『アポロンとダフネ』 ジーン・エティエン・リオタール画
その結末を考えると、そら恐ろしい話ですよね!
そしてよく混同されがちですが、神に仕える身であり、
神の言葉を人間に伝える仕事などに従事している天使と
キューピッドとは、まったく別の存在なのです。
そもそも、生い立ちからして違う訳ですからね。
もう少し詳しく言うと、日本においても、
キューピットは「天使」とよく間違えられていますが、
あのような(弓に矢をつがえた赤ん坊の姿)に見えても
一人前の立派な神様なのです。
画像元:www.bing.com
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もともとを辿れば、ローマ神話に登場する「Cupido」
(クピードー、クピド)と呼ばれていた愛の神様で
「キューピッド」は、それを英語読みにしたものを
さらにカタカナ表記にする際にその愛くるしさから
「キューピッド」の最後にある「ド」という濁音が
消され「キューピット」と呼称されるようになった
ものと勝手に小生は考えています。
「Cupido」とは、ラテン語で「情欲」を意味し、また
受苦の愛というような意味合いの「Amor」(アモール)
という名前で呼ばれることもあります。
「Cupido」は、ギリシャ神話に登場する性愛を司る神
「エロース」(エロス)と同一視されています。
ギリシャ神話では、後に軍神アレス(ローマ神話での
マルスに相当)と愛の女神アフロディーテ(ローマ神話
のウェヌス、英語ではヴィーナス)の子という設定です。
★ それでは、ここで、【問題】です。
「ローマ神話の女神」はどちらの表記で書きますか?
A:ビーナス
B:ヴィーナス
さて、あなたはどっちかな?
画像元:oggi.jp (c)Shutterstock.com
何と84%の人が、B:ヴィーナス と書くそうです!
さらに、広義には、先史時代の地母神、豊穣と生殖に
かかわる古代の女神一般を指し、イナンナ,イシュタル,
アスタルテなどを含みます。 俗用では美女の代名詞と
して頻繁に使われているようです。
話を「キューピッド」に戻しましょう。
「Cupido」は、
今でこそ、翼の生えた小さな赤ん坊にような男の子の
姿で描かれていますが、元は髭の生えた男性の姿や若々
しい青年の姿で描かれていたようです。
古代ギリシャの赤絵のボビン:エロス BC470–450年 ルーブル美術館所蔵
それが時代と共に次第に幼い少年の姿で描かれるよう
に変化していき、現在に至っています。
よくイメージされる「恋の矢を放つ」という設定は、
もともとローマ神話のクピドのもので、ギリシャ神話
のエロスにはなかったものですが、これも両者が対応
し同一視される歴史の中で、半ば混同されるような形
でエロスにも受け継がれ、絵画などに描かれるように
なったのです。
黄金の矢に射貫かれた者は激しい愛情に取りつかれ、
鉛でできた矢に射られた者は恋を嫌悪するようになる
のだそうですが ・・・
このように、いわゆる「キューピッド」ことクピド
は、本来はたった一人の神の固有名詞で、キリスト教
とは特に関係のない存在だったのですが、これが後に
キリスト教の天使と混同されるようになっていきます。
智天使ケルビム jp.pinterest.co
キリスト教の天使のうち、「ケルビム」(智天使)と
呼ばれる種類の天使は、4つの顔と4枚の翼、その下に
人間の手のようなものが生えている姿で表されていた
のですが、ルネサンスの絵画では、この姿をそのまま
描くのではなく、背中に翼を持つかわいらしい子供の
姿で描くようになりました。
(この子供のケルビムには、特に「プット」という
呼び名があります)
世界で一番有名なケルビム(プット)は、ラファエロ
の『システィーナの聖母』に描かれた赤枠の2人です。
『システィーナの聖母』 www.neko-jirushi.com
この「翼が生えた子供」という姿かたちが、クピド
(キューピッド)と混同されてしまったようです。
そんな経緯から、
本来は固有名詞であったクピド(キューピッド)は、
まるで天使の種族名か何かのような誤解を受けること
になってしまったのです。
特に日本のようにキリスト教圏ではない国では、弓矢
を持ったクピド(キューピッド)たちが、複数いる天使
のように何人も同時に描かれたりする場合があります。
なお、両者を区別する見た目の特徴としては、前述の
恋の弓矢を持っているのがクピド(キューピッド)で、
天使は何も持っていないか、竪琴、ラッパ、リュート
などの楽器を持っているという辺りで判断できます。
畢竟するとなれば、
もともとはローマ神話での神のひとりの名前であって、
天使でも妖精でもありません。
しかし、キリスト教の天使と混同されて扱われている
場合が多いということでしょうか。
ですから、誰かの恋愛を助けて成就に導いてあげれば
、「恋のキューピッド」と呼ばれることになるのです。
ちなみに、 余談ですが、「キューピー」(Kewpie)は、
1909年に米国のイラストレーター、ローズ・オニールが、
キューピッドをモチーフにデザインしたキャラクターで、
これが、1912年の試作品を経て、1913年に立体的な人形
としての「キューピー」が発売され、人気を博します。
日本でも1913年からキューピー人形の製作が開始され、
1922年、「キユーピー株式会社」が、このキューピーの
イラストと「キユーピー」の文字を商標登録して、現在
日本でお馴染みのマヨネーズにその姿が描かれるように
なりました。
なお、
社名とロゴ・マークは、「キューピー」ではなくて、
「キユーピー」となります。
キユーピーマヨネーズ
「ユ」が大きな文字である点にご注意ください。
ただし、最近の商品ロゴでは「ユ」を小さく表記して
いる場合が多いようですが ・・・
さて、それでは、ここで、再びのクイズ問題です。
A:キューピット
B:キューピッド
正解は? B:キューピッド です!
「キューピッド」とは、ローマ神話に登場する恋の神
で、背中には翼が生え、手には弓矢を持った少年の姿を
しています。
彼が放った矢に当たると、恋心を抱くと言われている
ために、恋愛における協力者たちのことを彼にたとえて
“恋のキューピッド”などと呼ばれることがあります。
英語での表記は「Cupid」となるため、最後の文字は
「ド」が正解となります。
ちなみに、
生花を販売をする企業「花キューピット」は、最後の
文字が「ト」なので、くれぐれも間違いのないように!
以上、参考になれば幸いに存じます。
ところで、
クピドとプシュケの神話は彫刻や絵画になっています
が、年齢はそれぞれバラバラです。
「クピドとプシュケ」akashiaya.hatenadiary.jp
「クピドとプシュケ」akashiaya.hatenadiary.jp
「それはなぜなのか?」というのが今日の話です。
まず第一に、どこに照準を合わせて絵を描くかという
問題があります。
〝禁じられた恋〟という点を強調したい場合には成熟
した男女の姿で表現されることが多いようですが、
〝愛と魂の巡り合わせ〟などにフォーカスしたいので
あれば幼い表現が採用されますし、
智天使ケルビム energostan.kz
〝難題に振り回される〟ような場合には純真で無垢な
あどけない少女の姿だとシックリする気がします。
智天使ケルビム eighteenth-angel.com 智天使ケルビム energostan.kz
そして第二に、『クピド』の年齢が時代によって変化
していったことが挙げられます。
『クピド』はエロス神として男女の神の仲を取り持つ
重要な存在です。何故なら二人の仲を取り持ったことで、
それ以降の神話において様々な神が生まれるからです。
エロス神として『クピド』が表現される時には美青年
であることが多かったようですが、
エロス(クピド)akashiaya.hatenadiary.jp
ギリシャ圏が拡大し、様々な神話がごちゃ混ぜの状態
になっていく過程においてエロス神としての役割や地位
を「ヴィーナス」に譲るようになります。
そして、
次第に『クピド』はエロス神ではなくアフロディーテ
の息子として幼児化していきます。
「クピド」ウィリアム・ブグロー画
幼児化したクピドに合わせるとなるとプシュケも同じ
年齢の姿で表されることになります。
『プシュケ』が、よく描かれたのは18-19世紀です。
「箱を開けるプシュケ」ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス画
19世紀末の画家たちが『プシュケ』を取り上げた要因
の1つは、その頃に芽生えてきた女性の地位向上運動も
背景にあって、『プシュケ』=「自立した美少女」という
イメージが付属として追加されたからなのです。
それでは、いよいよ最後の三択【問題】です!
ラッパを吹く〇〇〇 inoparis.com
ラッパを吹いているのは、次のいずれでしょうか?
A:天使
B:堕天使
C:キューピッド
答えは 本文を丹念に読んでいれば簡単にわかります。
天使も堕天使もキューピッドもそれぞれ背中には羽が
生えていてよく似ていますが、天使とキューピッドには
目印になる持ち物があって、それを知ると一目で天使か
キューピッドなのかは、見分けられるようになります。
そもそも堕天使の中に子供の姿は見掛けませんので、
正解は? A:天使 ということになります!
ところで、
自分が持っている黄金の矢と鉛の矢を使い人々の恋心
を操ることが出来るキューピッドは、超いたずらっ子な
神様です
黄金の矢が刺さった人は恋に狂い、反対に、鉛の矢が
刺さった人は恋心を失ってしまいます。
ランベルト・スストリス『ヴィーナスとキューピッド』(1554年頃) ルーヴル美術館所蔵
出典: Wikimedia Commons, Public domain
キューピッドの矢が刺さってしまった白い鳩の様子に
注目してください。(効果は抜群のようですね!)
絵の中の女性はお母さんのヴィーナスです。
画面に向かって右奥の外の様子をよーくご覧ください。
戦争の神アレス(軍神マルス)= お父さんがいますね。
しかしながら、
「父はアレスじゃなく別の神」であるという説も存在
しますが、これ以上はやめておきましょう。
(父親が違う説があるんかいな?)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/bf/a9e8fb1345a99f74938d09422e61df5d.png)
「妊娠しておらんじゃろな」
えっ、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/76/5398666b21512825f9f926e85006a41f.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/bc/4dd05abaeade3d1bed18ddf8627ac176.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/08/87dcda981869f0d6274d15e2f6ba1e84.jpg)
「鳩じゃないっちゅーの !」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/09/801d0282ca6d1ee1e2bd2a685371755e.jpg)
・・・ って、おいおい、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/ef/de66cad6145d521d02213294db65cc2b.jpg)
画像元: domani.shogakukan.co.jp
(う~む ・・・ ) 意味深やね (^▽^;)(^^ゞ
なんだかなぁ!
彼らが「プット」とされる天使たちです!
… to be continued !!
智天使ケルビム eighteenth-angel.com
ダ・ヴィンチの推理は続きます。