透明人間たちのひとりごと

宮崎駿の有名税 後編3

 妬(ねた)み、嫉(そね)み、僻(ひが)み等のやっかみの
類から謂われなき誹謗中傷に罵詈雑言のバッシング …

 知名度と引き換えに支払うそうした代償を税金に例えて
「有名税」と申しますが、『宮崎駿の有名税』 と銘打っての
第5弾、後編としては第三幕(最終幕)の完結編です。

 以前からそれとなく宮崎駿監督に違和感を感じていたと
言う 透明人間5号 の記事に端を発して、たまさか、
タイミング的にも 『風立ちぬ』 の全国公開やら引退
発表やらで話題性もあり、どんな人物なのか調べてみよう
と思ったことが動機の一端となったのですが、そもそもの
キッカケは、9月1日のベネチア国際映画祭での引退発表
の報道が「金のなる木」 になる「水」 についての
記事の枕に使えると踏んだことから始まったのです。

exclamation http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/325.html(参照)

 それまでは劇場へ足を運ぶわけでもなく、テレビで放送
される作品を時間があれば、ただ、なんとなく見ていただけ
で、積極的に観ようと意識して観るような対象ではなかった
のですが、日本での引退記者会見が行なわれた9月6日の
夜に放映された 『紅の豚』 を酒の肴に、どう料理して
やろうかと手ぐすねを引きながら酒を呷(あお)っていた時
のことでした。

   これは、ひょっとして … と察知するや否や

 見事に返り討ちに遭ったというか、峰打ちを喰らわされた
ような作品の出来映えにカンパイをしていたわけです。

 むろん、このカンパイは「乾杯」と「完敗」の両方ですが …

 鑑賞に堪えるどころか、作品に気圧(けお)された己が姿
は、単に酔っぱらいが晒す醜態ではなかったのです。

 (中編)でも触れているように『紅の豚』が現在公開中
の 『風立ちぬ』 の伏線になっている裏には、主人公たちに
言わせているセリフに拠るところが大きいのですが、そこに
「宮崎駿の正体見たり」 とするのは、いささか
ながら早計すぎるのでしょうか

 exclamation―(前編)―
 http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/326.html(参照)
 exclamation―(中編)―
 http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/327.html(参照)

 「飛ばねぇ豚は、ただの豚だ」に凝縮された

 強烈な自己意識への鼓舞と葛藤、哲学的な表現を使えば
ニヒリズムの超克でしょうか

 露骨に換言すれば

 symbol2ただの豚(自衛隊)では、存在する意味がない

 symbol2戦わない豚(自衛隊)は、ただの豚(野次馬)

 下線部分は「豚(野郎)」でもいいのですが …

 そんな決意(意思表示)というべきか、宣言(宣戦布告)を
無意識のうちに自身に行なっているように感じたのです。

 「国家とか民族とか
   くだらないスポンサーを背負って
    飛ばなきゃならないんだ」
… では、

 コンプレックスのはけ口たるナショナリズムや右傾化する
日本を皮肉っているようにも感じたのです。

 さらに、

 「ここではあなたのお国より、
   人生がもうちょっと複雑なの」
… は、

 「あなたのお国」 を中国や韓国などで想像すると、酒は
一気に進んでしまったというわけです。


 ここで、はっきりさせておこうと思うのですが、本人が意識
しているかどうかは別にして、宮崎駿は完全に右翼思想を
持った人間なのです。

 口では反戦や平和主義を標榜するような言葉を吐いたと
しても、心の根っこにある思いは彼が幼少時代に疎開先で
体験した空襲時の燃えさかる街並みを包み込む炎の嵐に
感じた 「すげえ」 にすべて還元されるのです。

 彼は戦争嫌いの戦闘好きや平和主義の武器商人のよう
に対立し矛盾する自我と人格を内面に宿しているのです。

 最新作の『風立ちぬ』で彼が実践し確かめたかった
ことのなかには、軍国日本を象徴する戦闘機であるゼロ戦
をプロットのメインに据えたアニメ映画が中国や韓国などの
反日国家において受容(需要)が可能なのかどうかという
実験的な試みもあったわけで、同時にそれは危険な賭けに
挑戦するという冒険的な試みでもあったのです。

 そのための事前工作のひとつがスタジオジブリの広報紙
である『熱風』 7月号での特集記事「憲法改正」で示した
憲法を変えるなどもってのほか」と題する寄稿文です。

 
 そのなかで彼は、「非武装中立ということは現実にはあり
得ないです。 だからリアリズムで考えても、一定の武装は
しなきゃいけない。 ただ、それ以上は『ちょっと待て』 って
いうのがやっぱり正しいと思うんです」 と語り、「憲法 9条と
照らし合わせると、自衛隊はいかにもおかしい。 おかしい
けれども、そのほうがいい。国防軍にしないほうがいい」 と
述べています。  自衛隊は専守防衛に徹するべきであり、
「そうしないと、本当にこの国の人たちは国際政治に慣れて
いないからすぐ手玉に取られてしまいます。もし戦争になる
としても、そのほうがまだましだと考えます」 としています。

 自衛隊の災害時の活動については 「やっぱりこれはいい
ものだと思います。隊員たちはよくやっていて 礼儀正しい」
と評価し、海外派遣の活動では 「イラクに行かざるを得なく
なっても、一発も撃たずひとりも殺しもせず帰ってきました。
僕は立派だったと思います」と最大級の評価をしています。

 また、「慰安婦の問題も、それぞれの民族の誇りの問題
だから、きちんと謝罪してちゃんと賠償をすべきです」 とも
述べています。

 それでも、たとえ、そう寄稿文で謳っているとしても、

 「飛ばねぇ豚自衛隊は、ただの豚だ」

が彼の本心であり、「護憲」 も 「慰安婦への謝罪・賠償
も中国や韓国に向けた懐柔目的の メッセージ に過ぎず、
戦略的広報活動の一環としての営業トークなのです。

 その辺りのことは 後編1後編2 のほうが詳しい
ですのでそちらを参考にしてみてください。

 exclamation― 後編1 ―
 http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/328.html(参照)
 exclamation― 後編2 ―
 http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/329.html(参照)

 特に、韓国での公開に際しては、配給側が国内の批判
に細心の注意を払っていたことが窺えます。

 ストーリー解説や予告動画はいずれも 「ゼロ戦」
もちろんのこと、戦争を感じさせる文言や映像は徹底 して
避けられ、主人公(堀越二郎)とヒロイン(菜穂子)の切ない
恋物語にスポットを当てています。

 メディアでの紹介文にしても、

 symbol2ファンタジーの巨匠・宮崎駿監督が贈る恋愛映画

 symbol2最強の制作陣が完璧なチームワークで完成させた
    感動のラブストーリー
」 … といった具合で、

 キャッチフレーズも日本での 「生きねば」 に代わり

 kirakira愛しています。 風があなたを運んできたときから…
というロマンチックなセリフに変えられています。

 映画を観ずして批評めいたことを言うのは憚(はばか)る
べきことかもしれませが、主人公である堀越二郎の本当の
妻は菜穂子ではなく須磨子さんという方です。

 ふたりは極々、普通に結婚してどちらも天寿を全うしたよう
なのですが、映画では妻の菜穂子は若くして結核で亡くなる
設定(ストーリー)のようです。

 それでは何も知らずに観ている人には、二郎の奥さんは
こうして亡くなったんだとカン違いをするでしょうね

 では、なぜ、宮崎駿は 『風立ちぬ』 で堀越二郎の
「ゼロ戦物語」 に結核少女との悲恋という別の要素
をミックスさせたのでしょうか

 ここまで読んでくださった皆さまは、もうお分かりですね。

 宮崎駿が普通の監督ならば、堀越二郎の半生に実戦で
活躍するゼロ戦の勇姿を重ねて物語を創作するのが常套
ですが、多少贔屓目に解釈すれば、自己の内面に矛盾を
抱える自分と時代の流れに翻弄され否応なく戦争の道具
に利用されるゼロ戦の産みの親としての苦悩を持つ二郎
に自分自身の姿を重ねていたのかもしれません …

 しかし、ここでも言い訳をしっかりと用意しているのです。

 堀越二郎と小説家の堀辰雄という、堀つながりを最大限
に利用して、彼(堀辰雄)の婚約者が結核で早世する体験
を小説にした「風立ちぬ」と別の「菜穂子」という
小説のヒロイン菜穂子を堀越二郎の妻として無理やりに
登場させて悲劇のヒロインに仕立て上げ、どちらにも敬意
を表すというあざとい作戦です。

 要は、ゼロ戦の設計者の悲哀にスポットライトを当てると
いう カムフラージュ作り を念入りに施していたというわけ
ですね

 つまるところ、これらはすべて先頃、発表された引退宣言
とも密接にリンクしてくるのです。

 すべてがシンクロするくらいに用意周到に準備され計算
された完全なるリスク回避と営業戦略の賜物なのです。

 『風立ちぬ』を制作する経緯を含め、事前に煙幕を張って
免罪符を用意(後編1を参照)していたように、実験に失敗
して大打撃を被る結果となっても宮崎駿に類が及び名誉に
傷がつかないよう綿密に算段されていて、もし仮に影響が
出たとしても最小限に収まるよう計画されていたのです。

 そして実験の結果、受容が可能(許容範囲)との判断が
下れば引退して自由になった宮崎駿はかねてより作りたく
てウズウズしていた戦闘シーン満載の短編戦記シリーズ
の制作に、早速にも取り掛かるはずなのです。

 彼の軍事オタクっぷりは尋常ではありませんからね

 『宮崎駿をマルサする』 でも証明されたように

exclamation http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/330.html(参照)

 symbol2引退宣言」 の信用性は希薄で信頼度は極めて低く、
いつ何時(なんどき)覆されても言い訳ができるようにと …

 ここでもしっかりと予防線が張られていたのです

 引退記者会見の最後で 「長い間ありがとうございました。
2度とこういうこと(引退会見)はないと思います」 と会見を
締めくくりました。

 何故に「2度とこういうことはありません」と言わなかった
のでしょうか

 どこまでも抜け目がないというのか、

 往生際の悪さは天下一品ですね

 
 左翼思考を持った軍事オタクで生粋の反戦・平和主義者
であり、反原発や自然保護主義を貫くエコロジストという顔
もまた、一面においては宮崎駿の真の姿でもあるわけです
が、あくまでもその根本にあって情念に火を灯し続けるもの
「すげえ」という幼少期の空襲被災
の実体験にあります。

 右寄りな考えが頭を持ち上げるたびに押さえつけてきた
スタジオジブリの宮崎駿というブランドから、もしも本当に
開放されるのなら、現実的でゲンキンな リアリスト 故に、
きっと途方もない作品を作ってくれるのかもしれません。

 紙面に限りがあり言い足りないことばかりで残念ですが、

 好き勝手にあることないことを独断偏見
根拠のない予断をもって書き連ねてまいりましたが、

 偽らざる 2号 の思いとしては …

 
宮崎駿バージョン「紫電改のタカ」

 「サブマリン707」 などのオリジナル版

 是非にも観てみたいのですpeace

 … っおいおい

 一体全体、いつから、

 ミイラ取りがミイラならぬファンになったんだぁase2

コメント一覧

皮肉のアッコちゃん
さんざんジラしたあげくに結局、隠れ〇〇〇だったってオチですか?

ま、労作には報いますが…
星4つです
2号さんの見立てによれば、中韓懐柔作戦は、予定通りに進行中ってことでしょうか?
「風立ちぬ」でも大きな波風は立っていないようですので…
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