透明人間たちのひとりごと

堕ちたシンデレラなのか

 STAP細胞をめぐる騒動が混迷の様相を呈するなかで、
4月1日に理化学研究所がおこなった会見で、STAP細胞
の論文に改竄・捏造などの不正行為があったと認めたこと
に対して、海外でも大きな波紋が広がっているようです。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)では今回の
問題について、幹細胞研究における競争の激化を浮き彫り
にしたと指摘し、「日本の研究機関におけるチェック体制
の甘さ
」 も明らかになったと伝えています。

 STAP論文を掲載した科学誌ネイチャーの本拠地である
英国でも、ガーディアンやデーリー・メールといった有力紙
がAP通信の記事を引用し、論文は糖尿病などの治療への
可能性を秘めた「画期的な方法」を提示したとみられていた
が、研究の不正が発表されたと事実関係を中心に電子版
で一斉に報じました。

 捏造に関しては、一家言あるだろうと思われる韓国では、
『転落したシンデレラ』として聯合ニュースが、「若い女性と
いう点で注目され、一躍『科学界のシンデレラ』に浮上した
小保方博士は転落を免れ得なくなった」と伝えていますが、

 歴史認識にみるまでもなく、改竄や捏造が特技のような
韓国では、2005年に人クローン胚性幹細胞(ES細胞)を
めぐり、ソウル大の黄禹錫元教授が論文を捏造して、一大
スキャンダルになっていますよね

 但し

 今回の小保方女史(博士)と黄禹錫元教授の場合では、
捏造や不正があったといっても、中身はまるで違います。

 そのことについては、あとでおいおい触れるとして …

 一方で、盗用・盗作が国技である 「コピー天国」
中国では目立った論評などはありませんでした。

 それもそのはずで、学術論文不正 などは中国では
あたりまえの出来事なのですから …

 ところが

 中国ほどではないにしても、研究者らによる偽装や捏造
などの不正行為は昔から日常的にあって、20世紀初頭に
英国で発生した古代の人類の化石(頭蓋骨)を捏造した
「ピルトダウン人」 事件が有名ですが …

 日本でも、2000年11月に発覚した日本考古学界における
最大のスキャンダルとされる一般には 「神の手」 事件
と呼ばれる偽装・捏造事件がありました。

 考古学研究家であった藤村新一が周囲の研究者が期待
するような石器を次々に掘り出して、一躍 「神の手」
持ち主としてもてはやされた 「旧石器捏造事件」
(前もって仕込んでおいた石器を発掘・発見する子供だまし
のような手口の偽装)が平然と行なわれていたわけです。

 他にも iPS細胞を使った世界初の心筋移植手術を実施
したと大言壮語した森口某氏の事件や現代のベートーベン
と謳われた佐村河内守氏のゴーストライター事件 …

 海外に目を転じれば、南アフリカのネルソン・マンデラ氏
(元大統領)の追悼式での黒人のニセ手話通訳の事件など
も、まだ記憶に新しいですし、食品偽装や不当表示の類は
それこそ枚挙に暇がありません

 捏造「捏」 の字は、から成っています。

 「粘り気のある土を日がな手でこねる」 という意味から、
捏造は 「土を捏(こ)ねて形を造るright無形から有形を
生じさせる
」 転じて 「でっち上げる」 ことを指す熟語(言葉)
となったわけです。

 たとえば、密室の取調室で嘘の供述を書かせ「自白」
をでっち上げる right 典型的な冤罪構図ですが …

 半世紀ぶりに釈放された 「袴田事件」 の元死刑囚
袴田巌さんの場合は供述だけではなく、「証拠物件を捜査
機関が捏造した可能性」 を静岡地裁が指摘しています。

 さて、理研の調査委員会は、かっぽう着姿の研究ユニット
リーダー小保方晴子さんのSTAP論文に対し、捏造や改竄
などの不正行為があったとする最終報告書を公表したわけ
ですが、疑惑が指摘された6項目のうち、2項目については
データの切り貼りと画像の使い回しがあったと認定し、他の
4項目は調査の対象外としました。

 つまり

 さまざまな細胞になる能力を試す実験でSTAP細胞とは
別の細胞を使ったのではないかとの疑いや、追加発表した
実験の手順書で体の細胞がSTAP細胞に変化したことを
示す証拠がなくなっているなどの指摘については調査結果
から対象外としたわけです。

 これを悪あがきと見るか、未練がましいとするかについて
は、詳論する余裕がないので皆さんの判断に委ねますが、

 要するに博士論文から流用した画像はデータの捏造で、
切り貼りした画像は改竄にあたるとしただけなのですase2

 ところで

 新しい万能細胞「STAP細胞」の開発は生物界の
常識を覆す発見と言われていますが、英科学誌ネイチャー
に送った論文は 「科学の歴史を愚弄する」
ばかりに一度目は素気もなくバッサリと却下されましたが、
再度挑戦をして掲載にこぎつけたのですと、小保方さんは
胸を張って笑顔で語っていました

 おそらくは、そうした研究への情熱や根性は並大抵では
なかったのでしょうし、そんな志の持ち主である彼女が何故
に不正をしなければならなかったのか

 疑問は尽きないし、腑にも落ちないわけですが … nose7

 そこで

 研究者としての彼女の倫理観が問われる事件の背景に、
「成果主義の落とし穴」 があると指摘するのは、
京都産業大学フューチャーセンター教授の佐藤洋一郎氏
です。 新聞に掲載された記事の後半部分を紹介します。

 「今、大学の世界では、二言目には研究成果の社会還元
が言われる。 ありていに言えば、研究に投じられた税金に
見合った成果が出ているかというわけだ。  かつて大学は、
金はなくとも有り余る時間のある世界だった。 そうした環境
の下で、画期的な研究が生まれてきた」

 「今、研究者の世界にも一種の 『非正規化』 が進みつつ
ある。 3年、5年といった任期を付された研究者が大幅に
増え、その任期中に成果を挙げることが求められる」

 「具体的にはより多くの論文を発表することが至上となる」

 「それが、次の職への可能性につながる。 研究室として
も、論文の数が減ると教授や研究室の評価に影響が出る
のではないかという心配がついて回る。 だから、若手の
教育でも、研究者としての姿勢や倫理を教える面は後退し
、いかに多くの論文を書くかが前面に出てしまう。 研究者
としての基本を学ぶ機会は大きく後退している」

 「今回の事件には、こうした研究をめぐる環境の変化が
大きく関係していると思う。 だからといって不正が許され
てよいわけではむろんないが、不正の根絶には倫理規定
を厳しくするといった表面的な手段ではなく、成果一本やり
の業績評価や行き過ぎた任期制など … 大学のあり方に
関わる根本的な見直しが求められているように思う」

 静岡新聞(4月3日付)朝刊 『時評』 より引用しました。

 なるほど、大学や研究機関も非正規とはねぇ … ase

 とはいえ、精査されれば不正が暴かれるような稚拙な
改竄や捏造をこれほど重要な論文に対してするだろうか

 そこがどうしても引っかかるのです。

 先に皆さんの判断に委ねると申しましたが、研究者として
未熟だとか幼稚であったとか、で処理されてしまうような …

 捏造 とみなされた画像はSTAP細胞の多様性を示す
重要なデータですが、小保方さんの学位論文に使用され
た画像に酷似し、データ管理もずさんで由来も不明確だと
いいます。

 改竄 とされた画像は切り貼りされていたわけですね。

 前記のように、調査委としては、それ以外にも他の論文
からの無断引用など4項目での疑いがあったわけですが、
いずれも不正には相当しないと結論づけています。

 つまり、核心となるべきSTAP現象の有無について
「任務を超える」 として踏み込むことに躊躇して
いるわけです。

 それでは当事者である小保方さんはどうするのでしょう。

 今回の行為は改竄捏造に該当しないものとして、
週明けの7日か8日にも不服を申し立てる考えを明らかに
しているようなのですが …

 どうやら

 「最終的な結果は加工していない」 など
と主張する方針のようなのです。

 悪意はなかったといっても不正と見なされても致し方の
ない行為(画像の流用や切り貼り)をしたことは事実である
以上、2号としては最大限の非難を受ける覚悟で堂々と
不服を申し立てていただきたいと思うわけです。

 門外漢が難解な科学の世界の問題を 「ああだこうだ」 と
当て推量しても始まりませんが …

 小保方さんひとりだけが改竄・捏造をしたとの性急過ぎる
結論には、異議アリ なのです。

 この問題に対して、一刻も早く幕引きをしょうとしている
理研側の思惑(特定国立研究開発法人への指定の優遇)
が透けて見えて仕方ありません。

 最先端の生命科学と、すこぶる庶民的なかっぽう着姿の
ミスマッチというか、アンバランスとは言い難いギャップが、
科学をより身近に感じさせる点において、彼女が十分なる
魅力を放っていたことは確かなことです。

 ただ

 実験ノートが3年間でたったの2冊しかないというのは、
如何せん少なすぎる点が気がかりではありますが …

 現時点において論文の撤回や取り下げをするべきでは
ないと考えます。

 果たして

 理系女の星だった彼女は 「堕ちたシンデレラ」
になってしまうのでしょうか 

 問題のすべては 「STAP細胞」 が実際に存在する
ものなのかどうかの一点にあるわけで、他の研究者たちの
再現実験での朗報を待ちたいと乞い願う次第です。

 そういえば、知人の さんのことですが …

 STAP細胞の応用として、ハゲ・薄毛の治療に役立つと
いう情報に、ぬか喜びしていたけど、きっといまごろ気落ち
しているんだろうなあ

 もしも、STAP細胞がないことになったら、いっその
 ことバーコードヘアーコピペする
 テクニック を小保方さんから習いましょう

 コピペ得意のはずですから ase2

コメント一覧

オボチャンズⅡ
あきらめないで、夢を持ち続けようよ。
Tさん、オボちゃん復活の目、ゼロじゃないぜ!!
がぶり寄り
小保方晴子氏、平研究員に降格をもって、堕ちたシンデレラの末路が濃厚のようで・・・
透明人間2号
まあ、コピペでオチをつけたかったのですが、読み返すとまったくダメですね。
この場合には、「植毛」≒「貼毛」→カピペ=カット&ペースト。
つまり、「毛髪を切り貼りしましょう」というオチにすべきでした。
そのように修正し訂正させていただきます。

ルート1/2さんと同様に、小保方事件(STAP細胞論文)もこんな具合に修正なり訂正すれば済むだけの話だと思うのですがねぇ …
やぶにらみ
科学の世界のことはよう分からんが、ルート1/2さんの言うように、論文に不備や間違いがあったら修正すればいいだけのこと。
論文は目的ではなく手段であり、最終目的はSTAP細胞の応用、すなわち人類社会への貢献のはず。

再現実験の結果を待つしかありません。
ルート1/2
えらい騒ぎのようですが、画像などの間違いをネイチャーに申請しているので、ネイチャー側がそれを受諾して訂正記事を掲載すれば、それで済む話じゃないの?
ストップSTOP細胞
「それでも地球は回っている」としたガリレオ・ガリレイ式の会見は一応、無難だったと言えるのだろうが、

① 「STAP現象はある。200回以上成功している。他にも成功した人がいる」とか言っていたけど、なぜ、その人はSTAP成功の事実を公にしないのか?
② 「今回の論文は現象を説明したもので、最適条件を示したものではない。自分なりのコツやレシピといったものがある」としているが依然として肝心な部分は曖昧なままでクリアにならない。

要するに、お涙頂戴を意図した情状酌量会見だったということです。
ストップSTOP細胞
今日の午後1時からの小保方氏の会見を聞いてからコメントをしたほうがいいのかもしれないが、事実が変わるわけではないので先に指摘しておこうと思います。
① 「見やすいように切り貼りしただけ」って、それを「改ざん」というのです。
② 「誤って取り違えただけで、故意でも悪意もない」、「違う画像と知りながら載せる動機が存在しない」としているが、動機のあるなしではない。
交通事故の加害者のほとんどには事故を起こす動機など存在しない。
しかし、現実には事故を起こし、相応の罪を負い、罰を受けるのです。
アンチ党員
悪意があろうがなかろうが、やっちゃいけないことをやっちゃったわけで、それだけでアウトなんだよ!
法律の世界や社会一般では悪気やダマすことを意図した行為でなければ悪意はなかったことになるかもしれないが、科学の世界では、故意=知っていて行なった時点で捏造とみなされるんだよ!
マスコミも上げたり下げたり、非難したり擁護したりで、訳わからんわ。
P&C
>やっぱ女だよな。
って、別に女に限らんやろ!
みんなの党の渡辺喜美も体調不良でしばらくの間、逃げまわっていた訳だし、まあ、ようやく覚悟を決めたようだけど。
バカボンのパパのパパ
もし、この論文にケチをつける勢力の存在があるとしたら、その方が問題なのだ!
冷静に論文を精査すれば、ケチをつけられている対象が一般的事象からすれば些細なことであることは自明なのだ!
iPS細胞でもES細胞でも胎盤にはなり得ない以上、胎盤になり得る多能性細胞としてのSTAP細胞の存在を暗に証明しているようなものなのだ!
可能性の目を摘むようなバッシングは醜いのだ!!!
若き特攻隊員
週明けに予定されていた小保方氏の会見がキャンセルになりそうだけど。
体調不良だとかで代理人にメールで「入院してもいいですか?」って、やっぱ女だよな。
論文の撤回をせずに、調査委員会の最終報告にも不服を申し立てるんだったら身体を張ってでも会見で汚名をそそぐべきだろうぜ。
結局のところ、ただのお嬢ちゃんなんだよな!
おいら
http://sin-sei.at.webry.info/
>改竄や捏造をこれほど重要な論文に対してするだろうか?
それがバレたらどうなるか、それが想像できない晴ちゃんでもなかろうに。オイラも同じ疑問を持ってますね。

このエントリーで「捏造」が漢字が書けるようになりました。
皮肉のアッコちゃん
「水に落ちた犬は叩け」とばかりに小保方さんに対するバッシングの内容が酷すぎる。
彼女の過去にまで遡って洗い出し、あることないことを書き立てるマスコミは本当にクズだ。
その同じペンや筆でイジメ問題などについては嘆いてみせるのだから…
ココナン
理研の調査委の最終報告を受けて、共著者のチャールズ・バカンティ米ハーバード大教授は「論文の誤りは研究結果に影響しないとして、論文は撤回されるべきではない」とする声明を発表しましたが、まったく同感です。
誤りは訂正する必要がありますが、研究結果に間違いがあることの証明にはなりませんから。
カトちゃん、ペ
文章はすでに「書く」ものではなく、「打つ」ものへと変貌したのです。
正確には「打って」、「貼り付ける」わけです。
コピペを大いに活用しましょう!
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