供託金は“非民主的” 井上・伊藤氏が町村議選導入批判(参院倫選特委)
(写真)反対討論に立つ伊藤岳議員=5日、参院倫選特委
町村議選に供託金を導入する公職選挙法改定案が5日、参院政治倫理・選挙特別委員会で、自民、公明両党などの賛成で可決しました。日本共産党は反対しました。
自民党など提出の同案は、町村議選で選挙用自動車、ポスター、ビラなどの公費負担(公営)を条例で可能とし、選挙公営と供託金はセットだとして、現在は不要の立候補時の供託金を全国一律15万円とするもの。
日本共産党の伊藤岳議員は反対討論で、日本の供託金は世界でも異常に高く、「自由な立候補を制約する極めて非民主的な制度だ」「法案の提案理由にある『多様な人材の議会参加』『立候補に係る環境改善』にも反し、認められない」と表明しました。
日本共産党の井上哲士議員は質疑で、供託金と選挙公営は趣旨の違う別制度で、セット論に根拠はないと指摘。都道府県議会議長会の研究会が供託金は「女性や若者にとって立候補の大きなハードル」と報告(3月)したことについてただすと、提出者の逢沢一郎衆院議員(自民)は「(法案は)負担軽減と選挙運動の充実を全体として可能にする」と強弁。井上氏は「議員の成り手不足解消のためと言いながら、ハードルを上げるものだ」と批判しました。
井上氏は、すでに市区議選では法案同様の公営が可能だが、条例を制定せずビラ作成費を公費負担としていない自治体が20%にのぼるとして、「町村も条例制定しないところは相当出てくる。供託金だけを払い、公営されないことになる」と指摘。小此木八郎衆院議員(同)は「選挙公営は地域の実情に応じて」などとしか答えられませんでした。
【2020年6月7日付 しんぶん赤旗】
立候補するに当たって供託金という制度があります。
供託金とは、立候補者に法律で決められた金額を、一時的に法務局に預けるお金です。
一定の得票数を満たすことができれば返却され、規定の得票数に達しなかった場合や、途中で立候補をとりやめた場合などは没収されます。
立候補したくてもお金がなくては、出られない。
憲法44条違反です。外国と比べてみて下さい。
供託金なしの国が圧倒的に多い。
2020年6月5日 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会(公職選挙法の一部改正案の反対討論)
【伊藤岳参議院議員】
日本共産党の伊藤岳です。党を代表して、公職選挙法改正案に反対の討論を行います。
本案は、全国町村議会議長会が、議員のなり手不足の解消、多様な人材の議会参加促進などを理由に求めてきた町村議会議員選挙の選挙公営の拡大について、選挙用の自動車、選挙用ポスター、選挙用ビラを各自治体の条例により公費負担することを可能にするとともに、選挙公営と供託金はセットだとして、町村議選にはこれまでなかった供託金を導入するものです。
日本の選挙供託金制度は、国政選挙、首長選挙で数百万円、地方議員でも数十万円と、世界でも異常に高く、自由な立候補を制約する極めて非民主的な制度です。供託金制度の趣旨として、真に当選する意思のない候補者の乱立を防止するためとの説明がされますが、実際は、金がなければ立候補できないハードルとなっています。
本案において町村議選にも供託金制度を拡大する措置は、提案理由にある多様な人材の議会参加、立候補に係る環境改善に資するどころか、逆に反するものであり、認められません。
また、新たに供託金を導入拡大する理由について、候補者乱立の懸念を示す事実もなく、その必要性も合理性もないことが明らかになりました。質疑では、選挙公営と供託金は従来から関連して議論されてきたとされましたが、なぜ両制度がセットで実施されなければならないのか、道理ある明確な説明はありませんでした。現行でも町村議選の選挙はがきの郵送は選挙公営で行われているのですから、供託金が選挙公営の前提条件であるかのような議論も成り立たないと思います。
さらには、本案の選挙公営の拡大は条例制定により実施されますが、供託金は十五万円の納付が全国一律に義務化されます。町村によっては、供託金は導入されても選挙公営はなしということが起こり得ます。この矛盾を見過ごすこともできません。
最後に、全国町村議長会は、なり手不足の解消、選挙の活性化と自由化を図るために、被選挙権の引下げ、戸別訪問の解禁も要望しています。こうしたこととともに、文書図画の規制の自由化、立会演説会の復活、選挙運動期間の見直し、供託金引下げなど、国民、有権者が主体的に選挙、政治に関わりやすくするため、複雑な現行法の抜本的な見直しを求めて、反対討論を終わります。
世界一高い供託金の廃止を