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元禄型関東地震想定被害について~地震・津波の被害は免れても燃えちゃったら・・・

2012-04-19 11:09:52 | ■建築話
またまた新しい大地震被害想定が出ましたね。
政府の地震調査研究推進本部によると品川区で約2.6mの津波被害に襲われるというもの。
津波による死者は出ないというもので、あまり注目しなくても良い気がしますが。。。
津波以外の被害想定にも目を向けなければなりません。


※首都直下地震等による東京の被害想定より


私の住む荒川区ではゆれによる全壊7180棟、液状化による全壊32棟と発表されていました。
そして、火災による類炎被害は風速8m/Sの時で13.7%、4m/sの時で13.3%とかなりの高確率で燃えてしまう事になるんですね。
ちなみに区部では8m/Sの時で11.1%、4m/sの時で10.4%
多摩地区(区でない東京都の市町村)では8m/Sの時で0.6%、4m/sの時で0.6%
と、なっていて住宅密集地がいかに危険かがわかります。

※消失の定義が不明ですが、多少の類炎はもっと多いと想定されますし、地震による倒壊家屋は分母に加算されていないそうですので、いかに震災時の火災が恐ろしいかわかる筈です。

その他、電話やガスなどのライフラインの被害想定や、復旧に関する情報などかなり多くの情報が報告書には掲載されています。


これから家造りをする方は当然ですが、是非自分のお住まいの地域の安全性について今一度ご確認ください。

→首都直下地震等による東京の被害想定はこちらからご確認ください(平成24年4月18日公表)

---余談---

建築相談でよく地震に対して木造とRCではどちらが強いですかなどの相談を受けるのですが、これらのデータを見る限り火災についてもっともっと踏み込んで考えなければいけないような気がします。
新築であれば木造家屋でも人命に係る倒壊の可能性は低いと考えていますが、火災に対して通常の戸建て住宅の場合、一番厳しい条件でも45分火災に耐える設計となっています。
それは、消防車が到着する時間等から算出された防火基準であって、震災時に消防車がたどり着けない状況は考慮されていないのです。

そう考えると、やはりRCに軍配が上がりますが、コストが高い点、地盤が良くないとさらに建設が困難な点等から住宅密集地では木造家屋で設計をしなければならないというジレンマがあります。

現在国土交通省の「都市防災総合推進事業」に基づき、東京都では「不燃化特区制度の先行実施」を行って不燃化促進に向け動き出しています。
詳細はまだ出されていませんが、

2012年に先行実施する3区が決まるそうですが、
申請予定は、6区(豊島、品川、大田、墨田、荒川、北)だそうです。
先ほどのデータを見ると品川区、大田区、墨田区が有力な気がしますね。
もし、これらの不燃化特区に含まれている場合は、詳細によっては設計変更の可能性もありますよね。。。
杉並区、目黒区も火災延焼リスク高いのですが、下記のPDFを確認すると申請はしているのかな?

→木密地域不燃化10年プロジェクト(PDF)はこちらでご確認ください

整備地区の範囲が出ていますので、ご確認ください。
戸建て住宅ではなかなか難しい条件になると思いますが、マンション等の新築を考えている場合は、もう少し待った方がよいかもしれませんね。
※不燃化特区の範囲にあるかは行政に問い合わせしてみてください

※以前、中野区で不燃化助成を受けてマンションを設計したことがありますが、その時は数百万円バックされました。
しかし、いろいろ条件はつきますので、それは詳細しだいといった感じです。参考まで

---蛇足---

一部の建築家の中には防火基準等を無視して家造りすることが見受けられます。
開口部などに編み入りのガラスが入るのがヤダ、木のサッシを(安く)使いたいなどといった理由からです。
もちろん、ただ違反しているのではなく。。。
建築家の考えによって大丈夫だと判断して行っているケースもあるかもしれませんが、こういった震災の時に果たしてどうなのか?
と考えさせられます。
もちろん、法律どおりの基準で作っても足りない場合もあるわけで、その基準に対して家を建てる人がどういったリスクを考えるか?が重要かと思います。
防火性の高いガラスでも割れてしまったら一緒ですしね・・・


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