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最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

木造耐火建築物講習会~日々勉強

2017-10-02 23:59:25 | ■建築話
先日、木造耐火建築物の講習会に参加してきました。

平成12年の基準法法改正の時に木造でも耐火建築物が建築可能となり、防火地域でも木造の三階建て以上の建物が建てられるようになりました。
しかし、緩和からもうだいぶたっているのですが全国で耐火の木造建築物が建てられたのは約5000棟ほど。(大規模建築含め)
様々な改善が行われてきたのですが、やはり高くなりすぎて木造で耐火建築物を建てるメリットがほとんどないというのが私の印象だったのですが・・・

ついに、「木造耐火建築物」でないと新築することができない案件ができたため、勉強中です。

そんな勉強は普段からしてればいいのに・・・
と思われてしまうかもしれませんが、木造の耐火建築物は特殊すぎるのと、耐火の認定が次々と新規取得され、日々進化しているため常に最新情報を手に入れる必要があるんですよね。

もう、大分年月も経ったので、以前調べた時に比べたらかなり改善されているのを期待したのですが・・・

コレ、本当に大変ですね。


日本木造住宅産業協会「木造軸組工法による耐火建築物設計マニュアル」より


ざっと、準耐火構造の2倍の厚みの耐火被覆(燃えにくいもので包む)が必要なのですが。
思ったより認定を取得した仕様が少ない為、選択肢がほとんどないんですよね。

その仕様を使うと天井だけでも重さが約6倍になるなど施工の手間も大変。
とても重いボードを施工しなければならないため、作業効率も落ちることになります。

また、壁の厚みも増す為に通常のモジュール(設計の基本となる柱間の寸法)では様々な問題が起きるため、設計側にも負担がかかります。

約4時間にわたる講習会でだいぶ理解したつもりですが、分厚いテキストが3冊も有り、まだ全部目を通せていないのでまだまだ勉強中です。

しかしね~~~
何が言いたいってとにかく理にかなわないことを手間とコストをかけて行わなければならないという事。
(ちょっと愚痴です・・・)

そもそも木造の耐火建築物にしなければならないというのは・・・
敷地に都市計画道路の一部が入っているからなんですが、
その緩和要件が木造なら3階建てが建築可能となるのですね。
ただし、防火地域でもあるため3階建てだと耐火建築物にする必要があるために「耐火の木造三階建て」とする必要があるのです。

しかし、都市計画道路内に木造なら建ててよいという要件は、減築や解体が容易だからなんですよ。

でも、耐火の木造建築物は解体も容易でないし、解体分別を考えるとRCや鉄骨造のほうが低コストで解体できるのでは?とも思ってしまいます。
法律を作る側も大変で他の関連規定と組み合わせてこのような不条理なことになることは想像しきれないんでしょうね。
だからといって、耐火木造を規制されても困りますが、本来の木造なら撤去が容易という趣旨がゆがめられてしまっています。



しかも、その原因となる計画道路は昭和21年に計画が決定され、これまで整備が行われず放置され続け、平成38年までの優先整備路線にも含まれていない計画道路なんですよね。
昭和21年というと終戦の翌年で、戦後復興の為に整備する予定で計画決定されたものなのですが、
約70年間整備されなかった道路が果たして必要なのでしょうかね?

道路拡幅の予定がない土地に制限を付け続けるのもなんだかなぁと思います。
一度、計画決定されたからとそのまま放置するのではなくなんらかの対策を行ってもらいたいものです。


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