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最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

液状化対策の是非?基礎の基礎の話

2011-06-26 22:53:25 | ■建築話
非常に悩ましい問題に直面しています。。。
それは現在設計中の敷地が液状化しやすい地層だということが判明したからです。

通常液状化は埋立地などの人工地盤が問題視されていますが、近隣のボーリングデータ(地盤調査)の柱状図という土質分布を見てみると、今回液状化した地域と近い構成だったのです。
相談した構造設計士の方からも液状化の危険性がありますとの話があり、心配になって調べてみるると市の文献で過去に液状化被害の報告があったという記録が出てきたんですね。

私も埋立地でなければあまり心配しなくて良いと考えていたのですが・・・
液状化しやすい粒子が均一の砂層がとても厚く堆積している地盤だったんです。

構造設計士の勧めで新潟県中越地震の際に液状化被害を最小限に食い止めた実績のある基礎形状を採用したのですが、
いざ見積りを取ってみるととても住宅規模の基礎としては負担の大きすぎる額の見積りが上がってきたんですね。

さすがに非現実的な安全対策なので、もう一人ベテランの構造設計士に意見を求めるとやはりその方からも「震度6以上の地震が来たら液状化しますよ」という意見が・・・

こうなるとなかなか対策を講じないという選択が出来にくくなります・・・

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問題なのが液状化に対する対策方法や文献が少ないこと。
建築基準法でも液状化に対する対策について詳しい記載がないのと、安全基準がきちんと定められていないんですよね。
液状化がどんな地盤で起きるのか?
その詳しい計算方法があるわけではなく、過去にこういう地盤で液状化が起きたというデータ等があるぐらいで私自身も勉強不足な部分があります。

今回の液状化被害も震度という地震の規模だけで図ることが出来ないと思っています。
ゆれの時間や周波数など様々な要因がその地盤とリンクして被害が起きているので、過去(千葉県沖地震・震度5弱)で起きなかった地盤でも今回液状化したり、一度液状化した地盤は液状化しづらいといわれていたのに再度液状化した地盤などがあり、まだまだ予測・予防・対策において建築学は未熟なところがあるんですね・・・

とりえず、解らないこと=不安という状態を払拭すべくいろいろと調べてみたのですが、千葉県の環境研究センターのサイトが東日本大震災の液状化被害についてわかりやすくまとめてあるので紹介しておきます。

→千葉県の環境研究センターのHP

どういった地質や地域で液状化が起きたか?
また被害の状況など細かくまとめてあります。

また、液状化した地盤の柱状図などは千葉県インフォメーションバンクのHPにて閲覧が可能です。
→千葉県インフォメーションバンクのHP

二つの情報を併せると今回の震災ではN値20以上の砂質層では液状化の被害が少ない様子。
しかし、東日本大震災では浦安地域の震度は震度5強。
液状化の被害が拡大するといわれている震度6ではさらなる被害が予想されるので、今回液状化を免れた地質と近い地質構成だとしても安心できないわけで・・・

う=む。
判断に迷いますね。

不安を語るのは簡単だけど、安全だと思える証拠を集める作業は並大抵ではありません。
ここでコストを抑えるのがベストなのか?
将来役に立たないかもしれない安全対策に費用を講じるべきか?

周辺の家はどこもそんな対策を講じていないはずなので、不安に駆られて過剰設計になってもいけません。

しかし、液状化は想定外かというとそうでもない・・・

そもそもその前に地震で家が崩れても意味がないし、火災で燃えてしまっても意味がない。
直接目に見えない基礎のこと。

とりあえず、お施主さんにはじっくり内容を説明させていただき判断したいと思います。
家作りの要だけに本当に重要な話です。


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