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最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

■違反建築物と既存不適格~中古建売住宅購入時の注意点

2010-01-19 23:10:13 | ■建築話
先日友人の中古住宅探しにお付き合いさせていただきました。
そして、驚くことに市場に出回る違反建築物の多さに驚かされたのです。

具体的な場所や写真はもちろん掲載しませんが、物件や業者が特定されない範囲で記述させていただきます。

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中古住宅の購入を考えている方のほとんどは、エリアを決めて予算内の住宅をチョイスし、物件選びをはじめると思うのですが・・・
その中で、破格の値段で売りに出ている掘り出し物件がありますよね・・・
明らかに相場より割安で、面積も広い。
しかも、三階建て!

なんて物件。

友人も、競売物件を業者がリフォームして格安で売っているという話で、物件を見に行ったのですが・・・
その物件を見に行く前にアドバイスを頼まれ先に販売用のパンフレットを見せていただいたんですけど、パンフレットの図面を見るなりいろいろな疑問が浮かんだんですね。

ビルトインガレージの狭小物件。
間口が狭いので、体力壁を取りづらいのですが・・・
なんだか壁の量が足りない・・・

そして、ここは準防火地域であるため、三階建てであれば準耐火建築物という仕様にしなければならず、その場合耐震等級2レベルの構造強度を要求されるので、尚の事壁が足りないと・・・

しかも、柱壁が足りないほうにさらに建物が張り出して見るからに危ない間取りなんです・・・

もちろん、ただの単線で書かれた図面ですべては判断できないし、SE工法のような特殊な金物を使った工法であれば、可能かも知れない(キチンと検証はしてません)ので、見る前から決め付けることは出来ません。


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この時は立ち会うことが出来なかったので、まずは確認済み証があるか?
無いならば確認申請書の控えはあるか?
もし、それも無ければ建築概要書が手に入るかを聞いて欲しいと頼んでいたんですね。

案の定、検査済み証と確認済み証もなく概要書が後日手に入るとの事。
また、現地では不安な駐車場周りの柱と、建具の開閉のチェックを頼んでおいたのですが・・・
案の定、サッシがスムーズに動かないところが5箇所もあったようなんです・・・
(築浅物件なので戸車がおかしくなった訳でないとすると・・・やはり建物が傾いたか?)

コレも、実際自分で目にして確認してないので、いろいろな憶測が浮かんでしまいます。

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そして、後日。
不動産屋さんから手渡された建築概要書を見るなり唖然!!!

建物の階数が2階となっているじゃないですか!
建っているのは間違いなく三階建て!

そして、二階部分も、図面より大きくはみ出している・・・
どころでなく・・・
隣の建物と一体となった一軒として申請されているのです。

つまり、確認申請では長屋建ての二階として建てて、実際は建物を切り離して二軒家として建てているのです。

ううううう・・・
言葉がありません。

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その紹介して頂いた不動産屋さんはこういったそうです。
「こんなのたいした違反じゃありませんよ。」
「建蔽率バルコニー分オーバーしているだけですから。」


いえいえ違います。
道路斜線も大きくオーバーしているし、容積率も建蔽率もバルコニーだけじゃありません。
そして、準耐火構造も何もかも守ってない(断定できませんが)じゃない。
コレがたいした違反じゃないって・・・
宅地建物取引主任者なら、きちんと伝える義務があるはずなのに・・・

※ストリートビューで確認したところ周辺の建物より大きく飛び出ていました・・・

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残念ながら、十数年前までの建売住宅では結構横行していた手口のようで、長屋二階建てを→三階建ての戸建として新築して売られている物件がよくあったそうなんです。
そういう物件ばかりを扱っている不動産屋さんは少し感覚が麻痺してしまったのでしょうか?

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違反建築物を購入するということは、新たに購入した人が違反建築物に対する是正や撤去の責任を負う事になります。
ですから、中古住宅を購入する際はキチンとした知識を持って判断していただきたい。
そして、そういったいわく付の物件をリスク等を考えずに購入してしまわないようにもう少し掘り下げて書こうと思っています。

でも、今回はここまで。
こういった内容の文章はじっくり時間のある時に考えて書かなければ誤解を招く文章になってしまうので、時間があるときにこっそりと?まとめさせていただきます。

→HPでは同様の題材をもう少しキチンとまとめてあります。
※書き挿しだった部分も更新しております。


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