住宅のプレタポルテ～建築家住宅の既成品化

高級既製品住宅と銘打った建築家住宅が出来つつあります。
いろいろな方面でそのような噂を聞き、私自身もそういうビジネスモデルに参加しないかとお誘いを受けたことがあります。
たぶん、ここ一、二年で急に数が増えるような気がします。

しかし、なんともしっくりこないのがこの建築家の既製品住宅。

趣旨は、建築家の極め細やかな注文住宅を安価に手に入れられるように、標準化し間取りをパターン化し工務店ネットワークで販売するといったようなもの。

有名な所で無印の家（建築家・難波和彦氏、隈研吾氏）といった建築家住宅がありますが、以前大和ハウス工業が販売した（まだ売っているのかな？）エディーズハウス（建築家・鈴木エドワード氏）というのがありました。

どれも、素晴らしい成功は収めていないようですが、こういった建築家住宅が増え、選択肢が増えることで建築家高級既製品住宅が普及し、建築家の仕事が減ってしまうのではないかなと思うところもあります。

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恐らく、これらの建築家住宅の企画に参画している建築家は、一般のユーザーを志した高い住宅に引き上げるというのが目的であったかと思います。
しかし、なんとなくコレは建築家住宅のデフレで・・・

もっと志しの高い施主を「建築家高級既製品住宅」で満足させてしまって、日本の住宅の質を落とす事に繋がっているのではないかと思う所があります。

なんとなく、こういったことを私が書くと、ただの妬みのように聞こえてしまうかもしれませんが・・・
別にそういう気持ちはなく、ただ勿体無いという気持がしてしまうんですね。

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建築無料相談を行っていると、良く聞くのがこういったお施主様。
建売住宅を購入して、「自由設計だからなんでも設計できますよ」という口車に乗せられ購入したもの、いざ打合せを進めると、提案はないし、オプションでドンドンと高くなるし、出来ない事も多すぎる。。。
という方。
自分が主導権を握ればきっと理想の家が出来ると思っていたのに、なんでもイエスマンの設計士で家が建つにつれ不安になる方が多いのです。

家は建ち始めると簡単には後戻りが出来ません。
きちんとした図面や打合せがなく契約してしまうと、現場が進むうちにイメージと違う部分が多く出てくるものなんです。
しかし、現場をストップさせるわけにいかないし、変更も掛けられない状況に陥ってしまうのです。

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建築家の仕事は、図面を書き、模型やパースを作成する事も重要な仕事の一つですが、私は一番重要な仕事はコミュニケーションだと思っています。

お施主さんがどのような暮らしをしたいのか？
また、どんな夢を持っているのか？
子供の将来をどのように考えているか？
老後の暮らしは？
家での時間の使い方、趣味を楽しむ工夫。

そういった話に一つ一つに耳を傾け、建築家の考える暮らしを提案する。
そこが重要だと思っています。

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建築家住宅のカタログ販売はいわば衝動買いです。
その時の気持や年収、家族構成の中で自分が好きな物を指差して買うやり方です。

そんな衝動買いの失敗はどなたでもあるかと思います。

自分は失敗しない。
そう思いつつも、やはり他人の意見（建築家の家の意見）をキチンと聞くことが重要です。

流行やその瞬間の気持だけで家は選んではいけないと思います。
特に、住宅はその建物の建つ土地の形状や周辺環境によって全く在り方が変わってくるものです。

建築家が家を設計する場合はまず土地を見に行き考えるのですが、そのプロセス抜きに家を建てるべきなのか？

そういうところがしっくりこないんですね・・・

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体調が悪いから「風邪薬を下さい」とお医者に行って、問診なしに薬を処方してくれないのと一緒です。
キチンとお施主様の意見を伺い調整する事。
様々な角度から要望を掘り下げ、シンプルかつ深みのある空間を創出するか？
そういったやり取りが重要だと思っています。

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そうそう、その規格化の話の中で一番ひっかかった話が、
「信頼できる工務店に依頼する事で、現場監理などを簡略化し設計料を安くしても、掛ける時間は少なくなりますのでメリットがあります・・・」という話。

なんともうそ臭い。。。
なんか、すぐWinWinの関係という言葉を使いたがりますが、違う気がするんですよねぇ～。

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と、やっぱり妬みのような記事になってしまいましたね（笑）
おそらく、こういった高級建築家住宅の一部は成功すると思います。
そして、概ね施主の方も満足すると思うのです。

しかし、本当はもっともっと素晴らしい家を手に入れるチャンスがあったのに、その機会を失う方も多いと思うのです。

それが、勿体無いと思うんですよね・・・・
そこが、私の思想と食い違うのです。。。